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アンネ・フランクという少女 ~アンネの日記を読んで~

皆さんはアンネ・フランクと「アンネの日記」を知っていますか?
アンネ・フランクは第二次世界大戦中、ナチス ドイツ占領下のオランダでナチスからの迫害を逃れるために屋根裏の隠れ家で潜伏生活を送りながら潜伏生活の記録や自分の将来の夢や目標を日記に書き続け、やがてホロコーストの犠牲になり亡くなったユダヤ人の少女です。
「アンネの日記」はその日記を彼女の死後、父親のオットー・フランクさんが書籍化して出版され、世界的ベストセラーとして聖書の次に読まれているそうです。
私は、中学生くらいの頃に「アンネの日記」を読んだことがあったのですが、ものすごく長かったこともあり挫折していたんですよね。でもこの度、ふとまた読んでみたいと思い至り、読んでみることにしました。
読んでみると、当時の生活の様子や隠れ家の人々の精神状態、思春期の少女らしい親や姉や大人達への反抗心、恋愛や異性への興味、将来への希望などが赤裸々に、しかし、瑞々し文章で綴られていました。
読んでいてリアルに伝わってくる隠れ家生活の実状。隠れ家生活はもちろん一歩も外に出られない、見つかる危険性があるため大きな音を立ててはいけない、お手洗いやお風呂も不自由、病気になっても医者にかかれない、食料の確保もままならない、そして誰かに通報されたり、見つ見つかってしまえば恐ろしい強制収容所に連れいかれ殺されてしまう・・・そんな極限状態の中でアンネ一家をはじめ、オットーさんの同僚であるファン・ペルス氏と妻のファン・ペルス夫人、その息子ペーター、歯科医のプフェファー氏のそれまでの生活環境や性格や価値観の全く違う8人が2年以上もの間隠れ家で暮らしていたのです。その圧迫感 恐怖 ストレスは想像を絶します。実際、この8人は摩擦も多かったようです。
これは個人的な印象ですが、日記を読んでいるとアンネはお母さんをはじめ隠れ家のメンバーの大人達とぶつかる事もままあり、自己主張の強い性格だったのだろうという事が伝わって来ますが、彼女のそういった部分が生意気だと受け取られ、一番年下ながら自己主張が強くハッキリものを言うアンネが大人達からの当たられ役というかストレスの矛先みたいになってしまったのかなという印象を受け少しアンネが可哀想な気がしました。
それにしても、アンネの文章力と自分や他人を分析する力には感心することしきりでした。彼女は作家・ジャーナリスト志望とのことでしたが、生きていたら立派なジャーナリストになったことでしょう。もしご存命ならまだ90代。そう考えるとあの時代はそんなに遠い昔じゃないんだなぁ・・・そう思うと不思議な感じがします。
彼女は「ガァガァ アヒル」と呼ばれるほどとても明るくて面白い子だったようなので、お話ししてみたら楽しいだろうなぁと思ったりしました。
アンネは日記の中でこう言っています。
『私の望みは 死んでからもなお 生き続けること』
アンネは2年間の隠れ家生活の後ナチスに捕えられ、強制収容所に送られチフスにて15歳の若さで命を落としてしまいます。でも、アンネのこの願いと夢は長い時を経て叶えられていますよね。だって、アンネの思いや 夢や 願いは、このアンネの日記を通して世界中の人々に伝えられ、多くの人々が戦争の恐ろしさや人種差別の悲しさ、平和の尊さ、夢や希望を持つことの大切さ、平凡な当たり前の日常がありがたいのだという事・・・そんな色々な事を感じ、学んでいるのですから。そして、それはアンネが人々の心の中で生きているという事なのですから。
私はそう思います。


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