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(閲覧注意)【解説】令和5年司法試験刑法
設問1 特殊詐欺の実行の着手時期の問題。小問(1) 「実行の着手」の一般的見解からの説明
実質的客観説から説明することが求められる。
すなわち、①構成要件的結果発生の現実的危険性、及び②構成要件該当行為に対する密接性という2つの観点から検討することが第1に考えられる。
(なお、樋口亮介教授らが提唱する進捗度説による総合考慮型の検討をすることも妨げられないが、通説化してはおらず、適切に当てはめ
未遂犯論と不能犯論の位置付け
(結論だけ知りたい人は、最後に図示したものをご覧ください)
1 不能犯論の問題点
不能犯論は落としやすい論点の一つです。
不能犯とは、たとえば、甲がベッドの中にいるVを殺そうと思いV宅に侵入し銃を発射したが、実はベッドの中にはいなかったという場合に、未遂犯の成立を肯定できるかという問題です。
つまり、行為者がある犯罪の結果を発生させようと思ったが、結果を発生のための基礎事情について犯