佐野 景子
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日本のことば×現代アート 「いんすぴ」
放送作家の倉本美津留さんが手がける「倉本美津留のえりすぐり”これやん”」。倉本さんオススメのアーティストや作品を対談形式でひとつずつ紹介し、webで展示販売するというアートサイトで、実はわたしも2019年6月より掲載してもらっています。
そして、そんな「これやん」が仕掛ける新しい試み「いんすぴ これやん展」が2020年2月17日より汐留のパークホテル東京 Corridor Gallery 34に
マチネの終わりにスペイン料理
台風が来て、大雨が降って、電車に乗ればみんなのスマートフォンから一斉に避難準備情報発令のアラームが鳴るような日。
そんな日の夜(9月9日)、平野啓一郎さんが現在連載中の小説「マチネの終わりに」のコラボレーション企画に参加している作家のみなさんと、担当のスタッフの方々とスペイン料理を食べながら、小説や、今後の作品制作のことなどを話しました。スペイン料理(蒔野と洋子がはじめて出逢った日に行ったのがスペ
息の保存 と 未来の博物館
前回の投稿 息 と 美術作品 で、「自分の息」そのものが、いわゆる「美術作品」と呼ばれるものになる可能性があるのでは、という(図々しい)試みをした作品について書きました。
言い換えると、吹きガラスという技法を用いることで、自分の息が「美術館」に収蔵されるような代物になるんじゃないか、という純度が高いんだか低いんだかわからないような妄想を出発点にしています。
それを経て、今回は、いま取り組んでいる
「プチ《ヴェニスに死す》症候群」
平野啓一郎さんが現在連載中の小説、「マチネの終わりに」の中に出てくる「《ヴェニスに死す》症候群」なるもの。
小説に登場する、洋子の父ソリッチの造語で、定義は『中年になって、突然、現実社会への適応に嫌気が差して、本来の自分へと立ち返るべく、破滅的な行動に出ること』だそうです。
小説を読み進めながらも、この症状、自分にも無関係ではないぞという気がして、ずっと引っかかっていました。「ヴェニスに死す」
息が かたちをつくる
「もの」や「かたち」のつくり方つくられ方は本当にたくさんあります。
削る 彫る 付ける 塗る 切る 折る 貼る 打つ 伸ばす などなど
(きっと、いや、絶対もっとありますが、語彙の乏しさお許しください。)
その中でも「吹く」ことでかたちをつくるのが吹きガラスは、自分の息が直接かたちをつくることのできる、ただ唯一の方法ではないかと思うのです。
当たり前と言えばそうですが、その何とも独特なダイナ