シャボン01

「未来は常に過去を変えてる」

渋谷ヒカリエにて4月8日から始まった「マチネの終わりに」展、昨日の4月18日をもって会期が終了いたしました。
お越しいただいた皆さま、noteにスキのリアクションをしてくださった皆さま、どうもありがとうございました。

今回は、展示した作品「未来の空気」についてちょこっと書きたいと思います。平野啓一郎さんの小説「マチネの終わりに」とのコラボレーションということで、なけなしの感受性をフル稼動させながら小説を読み進める中で、一番引っかかった「未来は常に過去を変えてる」という言葉。
一見、あまりにピンポイントな発想源にも思えますが、この過去に対する認識の在り方は、主人公2人を深く繋ぐきっかけになっていたり、ストーリー全体を通じてモグラたたきのモグラのように度々顔を出してきたり、私自身の経験でも「過去は更新されつづけている」という意識が強くあったので、この言葉を自分なりに解釈して作品をつくろうと思いました。

私は近頃の作品で、吹きガラスという自分の息が直接かたちをつくる技法を用いて、またそれを長期保存する容器と捉え、「自分の息」を「美術作品化する」という図々しい試みをしています。

でも、素材はガラス。宅配便ではコワレモノのシールを貼られるような素材です。(嗚呼、矛盾!)

私の息を封入したガラスのしゃぼん玉は、その時の「現在」を内包したまま未来へと向かい、いつか割れることで再度空気に戻る可能性を持っています。そしてその空気がまた誰かの息になったりもするのです。途方もない過去、現在、未来の関係です。「同じ釜の飯を食う」ということわざがありますが、「同じ地球の空気を吸う」という言葉も同義語、もしくはそれ以上の様に思えてきます。(佐野の独断につき、異論はおおいに認めます。)

自分の息を作品化した先にある様々な可能性について、考えるきっかけになる作品となりました。この様な機会をいただき、平野さんをはじめ、コルク、ピースオブケイク、モーフィングの皆さま、ありがとうございました。そして同じ出展作家の皆さま、ありがとうございました!

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