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(旧)N国党 (旧)NHK党 代表 立花孝志氏とは ② -免罪符-

2019年07月の参議院選挙から1年。2020年07月05日に投開票を迎えた東京都知事選挙で、この一年間でのNHKから国民を守る党と新しく設立されたホリエモン新党、そして、立花孝志氏への一定の評価が示された。都知事選へ(旧)N国党関係で立候補をした3名の合計得票率 0.88% 。
2021年10月の衆院選では、諸派党構想で臨んだ比例得票率 ”1.39%” 。2019年参院選時に比べると、得票率は ”22%” ダウンした。
この3年間で驚くべき低支持率となった結果が浮き彫りとなった。

「(旧)N国党 (旧)NHK党 代表 立花孝志氏とは シリーズ」は、3部作として「法解釈」「免罪符」「関係者」の3つに焦点を絞り、本記事では、代表 立花孝志氏のこれまでの戦略の正当性を主張するために使われた「免罪符」について、その移り変わりなどを紐解いてく。

本記事は2020年08月に公開したものです。2022年06月21日追記更新するにあたり、一部内容を修正して再構成を行いました。
追記は、章題「繰り返される便乗、暴露系Youtuber」以降です。


目的と手段、免罪符とは

まず「免罪符」とは、厳密には、16世紀にカトリック教会が発行した罪の償いを軽減する証明書のことで「贖宥状(しょくゆうじょう)」という。免償符(めんしょうふ)・贖宥符(しょくゆうふ)ということもある。
日本では、これを「免罪符」と呼び、「罪であるとわかっていても正当化される」(事前)や「罪の許しが与えられる」(事後)といった解釈の言葉として用いられることが多く、如何なる行為も責めを受けることなく罪を免れる「理由」また場合によっては「行為」そのものを指す。

もう少し具体的に例を挙げると、裁判における「情状酌量での減刑」がそれにあたるといわれることもある。
暴力事件などで、自身の身を守るための抵抗で相手を傷つけた場合には「正当防衛」が認められるケースがある。喧嘩の際は先に殴ってはいけないと言われるのはそのためである。「正当防衛」という「免罪符」を相手に与えてしまうと、相手はその後の手段の自由度が格段に上がり、その場でもその後でも相手方が有利になるというわけだ。(過剰防衛であったり計画的な場合には正当防衛が認められないケースもある。)

法的な例を挙げたが、社会の中でこの「免罪符」は「○○だから、○○してもいい」という解釈として利用されることが少なくない。その拡大解釈の行き着く先が「テロリスト思考」である。

今から20年程前の2001年09月11日、アメリカ合衆国がイスラム過激派テロ組織”アルカイダ”による同時多発テロ攻撃を受けた。一連のテロ攻撃による死者は約3,000人とされ、負傷者は約6,000人以上、インフラ等への物理的損害による被害額は最低でも100億ドル(日本円で1兆円)以上ともいわれた。
1990年の湾岸戦争以後、サウジアラビアと周辺諸国ではイスラムに対してアメリカ軍による弾圧が続いたとされている。それに反発し、自由を掲げ報復を行ったのが「9.11 アメリカ同時多発テロ事件」である。
アメリカ軍とアルカイダのどちらに原因があるか、という話をここではしないが、「免罪符」を掲げた報復行為が如何に犠牲者を生むのか、その最たる例として挙げたことをご理解いただきたい。

※アルカイダ
正しくは「アル=カーイダ」。アルカイダは、イスラム主義を掲げるスンナ派ムスリムを主体とした国際テロ組織。ソ連・アフガン戦争中の1988年、ソ連軍への抵抗運動に参加していたウサーマ・ビン・ラーディンとその同志らによって結成された。1990年代以降、2001年のアメリカ同時多発テロ事件や1998年のアメリカ大使館爆破事件等、アメリカを標的とした数々のテロを実行した。
(by Wikipedia)

規模の問題はともかくとして、「○○だから、○○してもいい」という思考で行われる行為は、多くの場合で犠牲者を出す。物理的な攻撃でない限り傷を負ったり命に関わることは無いが、「迷惑」や「不利益」を無関係の他者へ与え、その償いをする気が無いという意味では「テロリスト思考」なのだ。

さて、話を本筋に戻そう。
(旧)N国党 (現)NHK党 代表 立花孝志氏は、これまで様々な「免罪符」を掲げ活動を行ってきた。2019年の参院選以前、その数年前からその傾向はすでに見られたが、参院選以前の出来事はニュースソース等は現存するものも少なく、細かいものまで挙げるとキリがないので参院選以後、しばらくして立花孝志氏が参議院を辞職してからの主立った出来事に絞り、主張・目的・その後について時系列で見ていこう。

「違法ではない」、予備校前演説騒動

2019年07月21日に参議院選挙で当選し、その約2ヶ月半後の10月08日参議員を辞職、その後12月08日までの2ヶ月間で立花孝志氏は「参院埼玉選挙区補欠選挙」「神奈川県海老名市長選挙」「奈良県桜井市長選挙」「東京都小金井市長選挙」と、4つの選挙に出馬している。(4つの選挙についての詳細は、N国党・立花孝志氏の選挙戦略とは:驕り、気付けなかった転機 をご覧ください。)

この2ヶ月間、各選挙では「選挙運動」と称して”NHKへの嫌がらせ街宣”が繰り返されていた。出馬した選挙の対象地域外にあるNHK施設や事務所の前で「NHKへの糾弾」をマイクを使った街宣運動を行っていたのだ。
当時、「対象地域外の住民に迷惑だ」との指摘も多かったが、その指摘に対する立花孝志氏の反論は「NHKが悪だからやっている」「(選挙対象地域外での選挙運動は)違法ではない」であった。「あなたの行為で住民が迷惑をしている」という指摘に対して、住民が迷惑と感じているかどうかを考慮していない理論で反論した。しかし、違法でなければ止める術は住民には無かったのである。(NHK側が真摯に対応していれば済んだ話だとも思われるが、それはNHK側の問題であり、近隣住民には関係が無い。)

そうして、立花孝志氏の選挙対象地域外での選挙運動は「迷惑街宣」と呼ばれたが、「違法ではない」ために咎めを受けることなく継続された。そんな中、4つ目の選挙「小金井市長選挙」で事件は起こった。

2019年12月の出来事である。
東京都の小金井市長選挙の選挙運動と称して、埼玉県川越市にあるNHK営業センター前で立花孝志氏が街頭演説を行っていたときだ。

川越市のNHK営業センターのあるビルの隣には、受験を控える高校生が通う予備校があった。そこではそのとき受験生が自習をしており、予備校の教師が立花孝志氏へマイク演説止めてもらうよう直接抗議を行った。立花孝志氏は、抗議に来た予備校教師に対してもマイクで受け答えをし、「授業中はわかっています。NHKに文句を言ってください」「申し訳ないけど、やめれない」「正義のためだから」と言って追い返したのである。このとき、実際にその予備校で自習をしていた高校生がツイッター投稿をしており、その迷惑さ加減がリアルに伝えられた。

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(上記の投稿は、現在ツイッター内では見当たらない。)
この投稿は実に大きな反響を呼んだ。この頃はまだ「N国党人気が衰えた」とは言われておらず、面白がって興味を持つ若者にもそれなりに好かれていた。しかし、この予備校前演説騒動を機に風向きが大きく変わっていく。

当時の上記の投稿には、同じ受験生である者たちの励ましの声や、立花孝志氏を批難する声など、多くのリプライやリツイートが行われ、その数は数万件となった。一方で、立花孝志氏を擁護し「このくらいで受験失敗するなら所詮その程度」「正義のために我慢してください」「NHKが悪いので文句はNHKへ」「合法だから」などのN国党支持者の声も同時に寄せられていた。そうした擁護の声は更なる反発を招いた。「目的で手段を正当化するべきではない」と指摘され始めたのはこの頃からである。それまで興味を示していた未成年層は、受験生たちを中心にN国党離れが進んだと言われている。

▼ 当時の様子を伝えるツイッター投稿

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この騒動があった数日後、立花孝志氏は自身の動画でこう語っている。「私自身が迷惑をかけたと思っていない。その自覚が無いから私は謝罪をしない。そもそも公職選挙法で認められた選挙運動であり、合法行為です。少なくとも違法行為ではありません。」(要約)

動画をご覧になられた方はおわかりになられただろう。立花孝志氏は、選挙に立候補した政治家の理念や政策を訴える権利を主張している。その部分だけを見るならばその主張に間違いは無い。選挙運動での街宣活動で大音量のマイク演説が許可されているのも、その権利ゆえである。それは一般市民も理解している共通認識と言っていいだろう。ではなぜこの件はこれ程の騒動となったのか。それは、選挙該当地域外(無関係地域)であったからに他ならない。

通常の地方の選挙運動とは、選挙が行われている地域(市区町村)や、その住民が多く訪れると思われる近隣地域(駅など)で行われる。これは、該当地域の住民たちに声を届けるためである。そして市民も、自分たちの町のことである以上、それを少しでも聞かねばならないことを理解している。だからこそ許容の心が働き、(ヤジや苦情はどこでもあるだろうが)この件のような騒動にまでは発展しないのである。いわばこれは、モラルによって保たれてきた暗黙のルールと言っていいだろう。

しかし、自分たちの地域に関係の無い選挙であったならば話しは別である。選挙が行われていたのは「東京都小金井市(下図赤丸)」街頭演説が行われていたのは「埼玉県川越市(下図赤文字)」だ。

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ご覧の通り、川越市は小金井市の近隣地域でもなければ、住民の多数が相互に出入りしているとも考え難い場所にある。いわば、川越市民にとっては小金井市長選挙は(ほぼ)無関係であった。

自分たちに関係の無い選挙で、ある日突然自分たちの町に来られ、自分たちに直接関係の無い主張を大音量で聞かされ続ける。これでは許容の心が働かないのも無理はない。なぜ自分たちが我慢させられなければならないのか、(法的にはではなくモラルの観点から)その理由が川越市民や実際に近隣にいた受験生には無かったのだ。

当時、インターネットの中(特にツイッター等SNS)では、騒動は川越市と小金井市だけに収まらず全国的なものとなり、モラルを説いて立花孝志氏やN国党関係者を批判する多くの者たちと、「違法ではないから」と批判に対して反論するN国党関係者とその支持者たちとの論争が巻き起こる場面もあった。しかし「違法ではない」ために取り締まることはできないため、この論争は最後まで平行線となっていた。

この予備校前演説騒動を切欠に、立花孝志氏とN国党関係者や支持者に対して「モラルを無視して目的で手段を正当化する者たち」という認識が広がっていくこととなる。また、その者たちを指して「N国信者(N信)」という呼び名が(一部ではすでにそう呼ばれていたが)さらに広く使われはじめたのもこの頃からである。

小金井市長選挙の結果は、立花孝志氏 得票678票 得票率1.7%、国政政党の党首とは思えぬ驚くべき汚点となる数字を残した。(詳しくは、N国党・立花孝志氏の選挙戦略とは:転落の兆し、遅すぎた自制 をご覧ください。)

この件からしばらくが経過した正月休みの後、それまでは「違法ではない」と言い繰り返された振る舞いは減り、立花孝志氏は「動から静へ」と方針転換を打ち出したのである。

後に、立花孝志氏は「私はモラルと道徳を重視する政治家です」と主張するようになるのだが、「違法ではない」限り捕まることはないが、モラルを無視し続けると自分が糾弾されることに気付いたのも、この頃であったのかもしれない。しかしながら、今もまだ「目的で手段を正当化する」本質に変わりはないように見受けられる。

「人が死んでいる」、森友学園問題

2020年04月、衆院静岡4区補選が行われた。
当初、立花孝志氏は自身が出馬する意向を示していたが、事前の会見の最中に森友学園問題の当事者である”籠池泰典”氏を擁立すると急遽変更をした。(詳しくは、N国党・立花孝志と衆院静岡4区補選 ① をご覧ください。)

”籠池泰典”氏を擁立するにあたって立花孝志氏は、「森友学園問題は人が死んでいる、解明しなければいけない問題です。当事者の籠池さんの主張を多くの人に知ってもらいたい。」(要約)と語った。

※籠池泰典 氏
森友学園を巡る補助金詐欺事件で詐欺などの罪に問われ、2020年02月19日に大阪地裁から懲役5年の実刑判決を受けたが、(控訴中)また、2020年02月23日には、森友学園系列幼稚園の元PTA会長の男性に、「補助金詐取事件に長女の診断書を悪用され精神的苦痛を受けた」として、損害賠償を求める訴訟を大阪簡裁に起こされている。

「まだ一審での判決とはいえ、有罪判決を受けた被告人を公認して立候補するとは何事か」という批判が出たことは言うまでもないが、立花孝志氏は、「籠池さんはハメられて被告人になった。人が死んでいる問題で、森友問題は追及していく。」(要約)とした。

※亡くなった人 = 故 赤木俊夫 氏
学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた当時の財務省近畿財務局職員。森友学園問題の公文書改竄に関して記された遺書を残し、自殺した(当時54歳)。その夫人である赤木雅子氏は、佐川宣寿元国税庁長官と国に約1億1000万円の損害賠償を求めて提訴している。

赤木俊夫氏の遺書が夫人によって公開されたのが2020年03月であり、衆院静岡4区補選はその翌月の04月である。世間の話題性としては有効であったと思われ、立花孝志氏も「自分が立候補するより話題になると思う」と発言していた。この頃、まだ立花孝志氏は「選挙は売名目的」という主張を崩しておらず、当選するための選挙ではなく、売名をするための選挙であった。

しかし、「一審で有罪を受けた被告人の擁立(公民権の問題)」や「売名目的の選挙」は静岡のみならず全国の有権者の市民感情を逆撫でし、批判が止むことはなかった。

※公民権
公民権とは、公職に関する選挙権・被選挙権を通じて政治に参加する地位・資格、公務員として任用される権利(公務就任権)などの総称で、参政権、市民権とほぼ同じ意味である。刑事裁判で有罪判決が確定すると、犯した罪や刑期に応じた期間、公民権が停止される。

それでも立花孝志氏は言う。「人が死んでいる。もっと森友問題は注目されていい。」(要約)

”籠池泰典”氏の擁立は、静岡地方紙を中心に新聞報道が各社で行われたが、発表がなされた僅か数日で”籠池泰典”氏の立候補は取消された。理由は、「野党統一候補になれなかったため」としているが、”公民権”を考慮すると野党統一候補になれかったのは当然と言えるだろう。

その後、衆院静岡4区補選には、無所属で立候補していた田中健氏(当時42歳)と同姓同名の、当時はN国党 浜田参議員の政策秘書であった田中健氏(当時54歳)となった。この同姓同名の擁立は偶然ではなく、意図的な実験だと言い放った。結果、惨敗となった。(詳しくは、N国党・立花孝志と衆院静岡4区補選 ③ をご覧ください。)

衆院静岡4区補選の後も、立花孝志氏は森友学園問題を扱う際には、「人が死んでいる問題だから」と発言するようになったのである。

森友学園問題とは別件であるが、2020年06月末(07月初め)に行われていた東京都議補選でも立花孝志氏は”人の死”を利用する一面を見せた。(詳しくは、N国党 ホリエモン新党 代表 立花孝志氏 ツイッター嫌がらせでコピペ連打 をご覧ください。)

衆院静岡4区補選の”籠池泰典”氏の件も、東京都議補選の騒動も、森友学園問題の追及も、その理由では枕言葉のように「人が死んでいる」という言葉が幾度と無く使われた。そこだけを聞くと立花孝志氏の主張は正しく聞こえるだろう。だが、やっていることそのものは「売名行為」であった。それは立花孝志氏自身が認め、公言していたのである。

「多様性を認める」、低支持率の自覚

上記で触れた東京都議補選と同時期、2020年06月末(07月初め)東京都知事選挙が行われていた。

東京都庁前で行われた立花孝志氏の街頭演説第一声は、「新型ウイルス対策の自粛で影響を受けている少数派を尊重し、多様性を認める」であった。そして、「少数派は賢い人たち」「多数派はバカな人たち」と主張した。少数派とは、いわゆる低支持率で支持者の少ないN国党(都知事選立候補はホリエモン新党)のことであろうと誰もが思ったはずである。つまり、「N国党(ホリエモン新党)は支持者も含めて数が少ない少数派で賢い、自分たちを認めるべきだ。」という主張であると私は受け取った。

「多様性」という言葉自体は、これまで会見などで立花孝志氏は使ってきているので珍しいというものではなかった。しかし、いざ選挙での主張として大々的に言い出したのがこの東京都知事選挙からである。

「今の政治はバカな政治家を多数のバカが支持して多数決で決まっていき、賢い少数派が虐げられている」「少数派でも賢い人たちの多様性を認める世の中にする」と、声高らかに演説をし続けた立花孝志氏。演説の中では何度も”堀江貴文”氏の名前を連呼し、「少数派は賢い、多数派はバカ」と繰り返した。

どちらがバカかどうかはともかく、これまでこの国では果たして多様性は認められてこなかったのだろうか。否である。少数派の意見や意思が通り難いということはあるが、認められないわけでも虐げられているわけでもない。明確に何かを定めなければいけない場合、多数派の意見や意思が採用されているだけである。少数派の意見や意思は、何も不当に弾圧がされているわけでも、無条件に否定されているわけではないのだ。

N国党(ホリエモン新党)に対する批判が多く、認められない理由は少数派だからではない。他人を軽視し、傷つけ、欺くような手法が認められないのだということに立花孝志氏は気付かない。

そして、「少数派の多様性を認める」と主張していた立花孝志氏は、いつの間にか「若者の代弁」と言い出していたのである。東京都知事選挙期間中、突如思いついたかのように連呼し始めた「若者の代弁」。その後「迫害されている若者や少数派の多様性を認める」と主張は変化したのである。

「若者の代弁」、美男美女作戦への布石

2020年06月18日、告示日当日に届出を済ませた直後に東京都庁前で第一声を行った立花孝志氏は、その日の夕方には渋谷で街頭演説を行っていた。そこで、スーパークレイジー君(政治団体名)の西本誠氏と出会う。

※西本誠 氏
東京都在住の(当時)33歳。宮崎県出身。新宿歌舞伎町に店を持つ実業家。政治団体 スーパークレイジー君 代表。

西本誠氏は、「前回の東京都知事選挙には年齢制限の問題で立候補できなかった。」と、立花孝志氏との会話の中で語っていた。選挙の立候補への年齢制限については、立花孝志氏も以前から訴え、憲法違反の制度であると裁判も起こしているが、現在のところ一審では棄却されている。

※被選挙権の年齢制限裁判
平成31年04月の鎌ケ谷市議会議員選挙に立候補の届出行ったが、受理されなかったことを不服として国家賠償を求めていた。N国党 立花孝志氏の私設秘書である”粟飯原美佳”氏(当時22歳)が提訴。東京地裁で棄却され、高裁へ控訴された。

その後、東京都知事選挙の間に前途した「少数派の多様性を認める」という主張に「若者の代弁」というフレーズが付けられ、「若者が年齢制限で選挙に立候補できず、若者が選挙で迫害されて自分の主張ができない。」と言い始め、「選挙で迫害されている若者や少数派の多様性を認める。我々は若者の代弁をしている」との主張を作り上げたのである。

そうして新たな主張を展開したが、東京都知事選挙では立花孝志氏率いるホリエモン新党3名、都議補選2名、全5名が惨敗の結果となった。(詳しくは、ホリエモン新党と東京都知事選挙 ④ をご覧ください。)

東京都知事選挙と都議補選が終わって一週間後、都議補選北区選挙区で立候補していたホリエモン新党 新藤加菜氏が「選挙で迫害されている若者や少数派の多様性を認める。我々は若者の代弁をしている」という主張を全面に出し、千葉県印西市長選挙に出馬した。

この印西市長選挙への立候補の成り行きは以下の通りだ。
東京都知事選挙の投開票から3日後の2020年07月08日、上記”被選挙権の年齢制限裁判”で原告である粟飯原美佳氏が、東京地方裁判所から棄却の判決が出たことを受け、「若者が選挙で迫害されていることを訴える」として、近日告示日となっていた印西市長選挙に急遽出馬が決定した。しかし、やはりまだ23歳では立候補の届出が受理されない可能性が高かったため、受理されなかった場合は、代打として新藤加菜氏が立候補をするという話しになっていたのだ。斯くして、粟飯原美佳氏の届出は不受理となり、印西市長選挙にはN国党公認・ホリエモン新党推薦で新藤加菜氏が都議補選に続く連闘出馬となったのである。

※粟飯原美佳 氏・新藤加菜 氏
両名ともに、N国党の選挙戦略である「美男美女作戦」のために集められたうちの2名と見られるが、粟飯原美佳氏は現在23歳で次期衆院選には出ることができず、新藤加菜氏は現在27歳で次期参院選に出ることができない。
衆議院選挙は満25歳以上、参議院議員・都道府県知事は満30歳以上、都道府県議会議員・市区町村議会議員は満25歳以上、という立候補者に関する年齢制限がある。

そして、印西市長選挙が始まると立花孝志氏や新藤加菜氏は、「自分たちは若者の代弁をしている」というアピールで選挙戦を展開した。

印西市長選挙での主張文言は、東京都知事選挙のときのそれとは少し変化をしていた。上記で記載した通り東京都知事選挙では、「選挙で迫害されている若者や少数派の多様性を認める。我々は若者の代弁をしている」であったものが、印西市長選挙では「選挙で迫害されている若者の代弁」となり、東京都知事選で強く主張していた「少数派の多様性を認める」というフレーズは、回を追う毎に主張されなくなってしまっていたのだ。

話しが少し前後してしまうが、東京都知事選挙の当時、立花孝志氏が事前に「当選が目的の選挙ではない」という発言をしていたにも関わらず、「皆様の清き一票を立花孝志へご投票ください」という旨の選挙演説を行っていたことが指摘されていた。東京都知事選の投開票翌日、立花孝志氏は「当選する気が無いのに投票をお願いする立候補者は、有権者を愚弄している」という発言を納めた動画を公開し、さらに批判を呼んだ。こんな経緯もあってか、印西市長選挙へ立候補をした新藤加菜氏は、「当選するつもりで立候補しています。」と頑なに主張していたのである。
上記した”印西市長選挙への立候補の成り行き”を見て、皆様はどうお考えになられるだろうか。

さらに、印西市長選挙当時、インターネットの中の一部では「本当にこの人たちが自分たちの代弁をしてくれていると思っている若者がどれ程いるのか」という疑念の声が上がっていた。

結果、現職市長と一騎打ちの選挙であったが、新藤加菜氏の得票率は約9%となり供託金は没収。「若者の代弁」という主張も印西市民には受け入れられなかったと言って良いだろう。

この「若者の代弁」というフレーズには、おそらく、立花孝志氏の今後を見た思惑が込められている。印西市長選挙の惨敗の後「美男美女作戦も見直さなきゃいけないかもしれない」と発言しているが、東京都知事選挙や印西市長選挙当時はまだ”美男美女作戦”が通用すると考えていた節があったのだ。直近で行われる次期衆院選は間に合わないとしても、その後の参院選までに被選挙権の年齢引き下げが実現しなければ、美男美女作戦のために集めた人員が何名か立候補ができないのだ。そのためにも、「選挙から迫害されている若者の代弁」として主張する必要があったように見受けられる。

少し話しの本筋からは外れてしまうが、被選挙権の年齢制限に関しては、満何歳以上という制限の引き下げを求めると同時に、”65歳以上は引退”するよう求める主張をしていたのだ。印西市長選挙に新藤加菜氏以外で立候補をしていたのは、現職市長ただ1人。現職市長は印西町議・市議を10期務め、2012年に印西市長に当選してから2期連続で務め、3期目の選挙であった。そのような相手との一騎打ちで票を取る見込みなど無いとの大方の予想もあってか、立花孝志氏と新藤加菜氏は供託金の回収に必死であったように思われる。そのため、現職市長(当時73歳)の票を少しでも削るために”65歳以上は引退”との主張も強く行ったのだ。

しかし、思い出してほしい。
以前、2020年03月に広島県福山市議会議員選挙にN国党公認で立候補をした加陽輝実氏(落選)は、当時69歳。今後の国政選挙に擁立を予定しているとされる”籠池泰典”氏、彼は今67歳である。”65歳以上は引退”という主張は、いつ思いついたのであろうか。

「NHKの被害者をお守りする」、原点回帰

2019年07月の参院選以降、方々の選挙で様々な主張を繰り広げてきた立花孝志氏だが、印西市長選挙を終え、しばらく経ったある日の会見では「うちはNHKの被害者をお守りする、これ一本でいく」と発言するに至る。これまでも支持者の中には「NHK問題だけに集中するべき」という意見は多く見られたが、その声を聞き入れたというニュアンスの発言ではなかった。

昨今のN国党の人気低迷の原因については、「新型ウイルスの影響でNHK問題の優先順位が低い」(要約)と語った。確かにそれもあるだろうが、果たしてそれが主な原因だろうか。

立花孝志氏が参議員を辞職して以降、「○○市をドバイに」「法律は守らなくていい」「違法ではない」「人が死んでいる」「多様性を認める」「若者の代弁」と、選挙の度に様々な主張を繰り出してきたが、その成り行きと効果の程は前述した通りである。ざっと主立ったこれまでの主張を並べてみたが、いつから主張されはじめ、今もまだ続いている主張はどれであろうか。
今まで出されてきた主張、その言葉とは、いったい誰のために、何のために主張されてきたのか。皆様はおわかりになられただろうか。

そういった自身の発言や行動を省みず、「新型ウイルスの影響」だと語る立花孝志氏と、その言葉に異を唱えない関係者や支持者たち。立花孝志氏は事ある毎に「有権者の多くはバカ」と罵ってきたが、その多くの有権者が下した決断が昨今の選挙でのN国党の低得票率なのだ。

最近では、「国政選挙で今後2%を下回るようなら、実質解党して最低限の活動だけにすることも考えている」(要約)と語る立花孝志氏。
その思考の中には、常に指摘されているお金の問題も組み込まれているようではあるが、借金返済のための活動停止と公党維持など、いったい誰のための、何のための政治政党だと言うのか。(政党交付金がそのまま借金の返済には充てることができないという話しは置いておくとして)

2019年07月参院選当時、NHK問題に注目を集めることに成功し、さらに他の事まで何かやってくれそうという期待感まで一部支持者に抱かせた立花孝志氏。あの当時、N国党と立花孝志氏について詳しく知る人々はまだ少なく、ぼんやりとした期待感で投票をした人たちも多いと言われている。しかし、今はもうあの頃とは事情が違う、「悪名は無名に勝る」と言い続け、すでに全国区であった知名度に悪名を上塗りし、全国的に評判が悪くなり始めたことにも気付かず、さらにまだその上から悪名を上塗りし続けてしまった。
挙句、立花孝志氏自身が刑事裁判の被告人になるという始末。失った信用を取り戻すのは至難の業である。

今ようやく、「NHKの被害者をお守りする」という原点に立ち返ったところで、有権者はこれまでの出来事を忘れはしない。そもそも、N国党 立花孝志氏の公約は「NHKのスクランブル化」であり「NHKの被害者をお守りする」が公約だと言い出したのは、N国党関係先への警察の家宅捜索の後、立花孝志氏が刑事裁判に起訴されてからの話しだ。

最近では、「N国党コールセンターで”生活保護”についての相談も受ける」と立花孝志氏が言い出したことを受け、N国党所属議員も”生活保護”についての勉強を促されるなど、遊んでいられない状況へ変化してきたようであるが、N国党所属議員・関係者・支持者含め「国政選挙で今後2%を下回るようなら、実質解党して最低限の活動だけにすることも考えている」(要約)この言葉の意味をよく考えるべきではないだろうか。

国民の意志で「N国党は不要」との判断が国政選挙で明確に示された場合、その評価はそのとき所属している者たちに対しての評価になると言っても過言ではないのだ。

「免罪符」から見る、性格と思考の傾向

本記事の序盤で記述した「○○だから、○○してもいい」という解釈について、これは「情状酌量」をあてにする考え方であり、保身優先思考と言っていい。

違法ではないから、関係の無い地域で街宣をしてもいい。」
関係の無い地域の住民たちの迷惑よりも、自分の権利の主張と行使が優先している考え方である。捕まらないなら迷惑をかけても許される。という思考に繋がる。

人が死んでいるから、追求しようとする自分は正しい」
なぜNHK問題に関係の無いことに首を突っ込むのか、それは、人が死んでいる事件で有耶無耶にしてはいけないから。その真相を追究しようとする自分のやっていることは正しい。例え注目を浴びるための売名目的だとしても。
これは、言っていることが正しければ、目的や手法も容認されるべきという考え方であり、建前で批判をかわせるという思考に近い。

「少数派は賢いから、少数派の多様性を認める
人よりも秀でているから少数派になるのであって、賢い人たちが大勢存在するとそれが普通となる。そしてそこからさらに突出した者が優秀とされる。つまり、少数派だから賢いわけではない。そして、多様性が認められていないわけでもない。この主張は単に、低支持率の自分たち(N国党・ホリエモン新党)を認めろ。ということに他ならない。

「選挙で迫害されている若者の代弁
ある程度の経験と知識を積み、それから公人となれるかどうかの審判を有権者に問う。という年齢制限の意図を全て無視し、経験や知識の無い者が自治体の首長や議員になった場合にどんな弊害があるかということを全く考慮していない。”当選せずに主張したいだけ”ならば、デモ活動をすれば良い。
自分たちに都合の悪いことだけを悪法とし、公金を使った宣伝行為を正当化するための詭弁だという指摘は、あながち間違いではないだろう。

さて、本記事で取り上げた4つの主張をざっと並べてみたが、これだけを見ても立花孝志氏が如何に他人を軽視し、自分本位の思考に基づいているかが見て取れる。

立花孝志氏は、日頃から「公(おおやけ)に尽くす」「被害者を守る」と発言しているが、自身のその行動の裏でどれだけの他人が迷惑を被るのかを真摯に受け止めて(感じ取れて)いないのではないだろうか。考えていないわけではないのであろうが、やはり気配りや気遣いが足りていないと言わざるを得ず、これまで他の記事でも指摘をしてきたが、その自己顕示欲の強さや他者軽視の顕著さから察するに、他人の気持ちを推し量ることについては人一倍苦手のようである。
それは、すぐに他人を「バカ」や「病人」などと罵倒してしまうことからも見て取れる。言わなくても済むような罵詈雑言を好んで使う癖も、決して良いものではない。

立花孝志氏も、ただの個人として見るならば”普通のおじさん”のように思うのだが、”党首として目的に向かう”ことを求められるとき、その手法や手段で一般的な認識の差が露呈してしまうのではと思われる。

政治家でなくとも、立花孝志氏のような(それに近い)人たちは一般にも多く存在するだろう。しかし、その多くの人々は特に支障なく生活ができている。それは、影響を与える範囲の問題なのだろう。立花孝志氏は、公党の党首である。彼の一挙手一投足は常にどこかに影響を与えてしまう。(報道されてしまうことも含む)
確かに選挙については詳しく、どの選挙ならば当選しやすいかなどの分析に関しては評価できる点ではある。しかし、低支持率となった今、なぜそうなってしまったのかの彼の分析は、正しいようには見えない。

目的のためだから仕方が無い。と立花孝志氏は言うかもしれないが、仕方が無いではない。先を見通せばどうなっていくかの予測はそんなに難しいことではない。市民感情や人心をある程度読むことができたなら、昨今の驚異的な低支持率にはなっていないはずであろう。

立花孝志氏の説明や解説の会見や動画を見る限りでは、その多くは数字やお金の話ばかりである。人の気持ちを読み想いを巡らせると、問題はそこではないことに気付くのは難しくはないはずなのだ。ビジネスの世界では、数字とお金の話だけでも渡っていけるかもしれないが、政治の世界にいてそんな話しばかりでは、嫌気が差して離れる支持者も少なくはないように思う。

これは、単に向き不向きの問題なのかもしれないが、市民感情や人心を蔑ろにしてきたツケは、遅かれ早かれ支払わなければならないだろう。

※2020年08月本記事公開時はここまででした。以下は、2022年06月21日に追記したものです。

繰り返される便乗、暴露系Youtuber

立花孝志氏の「話題の人への便乗」はこれまでも数度繰り返されてきた。記憶に新しいところでは、窃盗罪で有罪となった”へずまりゅう”氏の参院山口補選、お金配りおじさんで有名な”前澤友作”氏、2019年まで遡れば”メンタリスト Daigo”氏、”マツコ・デラックス”氏などの件も著名人への便乗と言っていいだろう。
現在までの便乗作戦に利用された人物とはその後衝突して対立したか、それほど相手にされずにフェードアウトしたかという結末に終わっている。

そうして2022年 参院選が迫る中、Youtubeで彗星の如く現れた "暴露系Youtuber ガーシー" こと東谷義和氏に白羽の矢が立った。

東谷義和氏についての詳細はここでは割愛するが、彼がYoutuberになる切欠となったBTS詐欺(本人も認め謝罪・弁済済)については、「自ら自首して先に法の裁きを受けるべき」という意見は今も後を絶たない。謝罪・弁済が済んでいるとはいえ、詐欺罪は非親告罪であるため立件・摘発される可能性がある。そのため東谷義和氏は弁済が完了したあとも日本への帰国は叶わないでいるという状況だ。

本来であれば、「自首することで罪も軽くなり、弁済済みという事情も考慮されれば刑事起訴がなされたとしても執行猶予付きで済む可能性もある。早いうちに自首をしたほうが良い。」といった説得をするべきだと思われるのだが、立花孝志氏は間近に迫った参院選へ向けての話題作り・炎上商法を優先、「選挙に出れば逮捕されない。国会議員になれば逮捕されない。日本に帰って来なくてもできる。(要約)」を謳い文句に東谷義和氏を勧誘し、東谷義和氏もこれを承諾、NHK党全国比例での立候補をする運びとなった。

この東谷義和氏の擁立には、当然の如く批判の声も多く飛んだ。そんな批判の声に対する立花孝志氏の返答がこちら。

常日頃からNHK党 立花孝志らは、NHKを指して「犯罪者集団」と呼んでいるのだが、一般的に見てこれまでのNHK職員やその関係者(下請けや関連会社含む)のこれまでの犯罪数は確かに少なくはない。しかし、この理論で語ると、これまでのNHK党 立花孝志氏らの行い・裁判での判決・今回の参院選での立候補者たちを見る限り、NHK党がそもそも「犯罪者集団」と呼ばれても致し方なしということになってしまうのだが、立花孝志氏は自身への罵詈雑言に関しては異常とも言える過剰反応を示し、誰彼構わず訴訟を仕掛けてくることもあり、これまでNHK党 立花孝志氏らを指して「犯罪者集団」と呼ぶ者は今のところ見当たらない。

「公共の電波」、芸能人攻撃への便乗

約3ヶ月前に公開された東谷義和氏の「綾野剛氏の淫行疑惑」だが、立花孝志氏が政見放送やテレビ出演などでその件を取り上げ続けると豪語する理由は、公共の電波を利用して仕事をしている者だからだと言う。「公共の電波は国民の財産なので、その国民の財産を利用する仕事をしている者が、犯罪が疑われている自身の疑惑を説明も無く黙秘したままでいることはいるされない。(要約)」というのが立花孝志氏の主張だ。

一見正しいことを言っているように見えるかもしれないが、そもそも立花孝志氏自身が威力業務妨害・不正競争防止法違反・脅迫で刑事裁判一審で有罪判決を受けた身である。ならば、自身が二審以降で無罪を勝ち取るか、罪の償いが済む(執行猶予が明けるか、刑に服して刑期を終えるか)まで政見放送やテレビ出演を控えなければ筋が通らない。
この点について立花孝志氏は、「公の場で釈明・説明をすればよい」という独自理論で正当化しているのが現状だ。立花孝志氏は刑事裁判に限らず、何か疑いをかけられた場合や失敗などがあったときなど多くのケースで自身のYoutubeやTwitter等で釈明・説明を行っている。しかし、自身の釈明・説明は言ってみれば言い訳の類でもある。自分で喋るということは、自分に都合の悪いことは出さず、都合の良い理由をつけて都合の良い言い回しができるということである。そんな自身の釈明・説明にいったいどれだけの意味があるというのだろう。

今回の「綾野剛氏の淫行疑惑」については、綾野剛氏の所属事務所が法的措置に着手したという報道もある。問題解決を法廷の場に持ち込んだのなら、尚のこと法廷の外で騒ぎ立てることは控えるべきというのが一般的な感覚であると思われるが、立花孝志氏はおかまいなしに執拗に綾野剛氏へ個人攻撃を行い、東谷義和氏に便乗し続けている。

もちろん、立花孝志氏のこのような振る舞いに苦言を呈する者も多い。
今回のような度を越えた追及が原因で不幸なことが起こってしまう可能性を危惧する声もある。そんな声に対する立花孝志の返答は以下の通りだ。

「人権」とは、「人の命」とは、いったい何なのだろうか。

「投票率を上げる」、全ての行為の正当化

2019年の参院選で(旧)N国党が公党となって以降、今まで絶えず繰り返えされてきた立花孝志氏による「炎上商法」。選挙がある度に彼はこう言い続けてきた。「投票率を上げるため」。

直近の日本の国政選挙の投票率は、2019年参院選 48.80%、2021年衆院選 55.93%である。海外と比べると、イタリア・ドイツ・イギリス・カナダなどは平均すると70%前後となっている。アメリカ・フランスは日本とそれほど大差は無い。上記した日本を含む7ヵ国は、世界的に国別投票率で見ると7ヵ国ともに(例年)50位以下である。ベスト10に入る国は、ラオス・ベトナム・シンガポール・オーストラリアといった国が投票率90%を超えている。
投票率上位に来る国では、投票を法律で義務付けている国や、投票に参加しない場合に罰則や罰金を設けている国もある。しかし、トップ3に入るラオス・ベトナムなどはいずれも罰則規定も義務化もされていない。それらの国民の基礎的な政治関心の高さが要因と言われている。
また、ランク上位に入る他の国々では、小学校の頃から「選挙」に関しての授業が行われている国も多い。このことからも、選挙での投票率を上げるということは国の政策そのものであるということが窺える。
(話が本題から逸れてしまうため詳細データは割愛)

各国と比較しても、現状の日本の投票率は確かに低い。有権者の約半数が投票を棄権していると云われて久しく、選挙の度に各党各候補者が訴えてはいるものの、これといって改善の兆しはまだ見えてはいない。

一般的にはこの国の現状・政策・その必要性を訴えて投票率アップを目指すものだが、NHK党 立花孝志氏の手法は別次元(良い意味ではない)だ。

立花孝志氏の手法は、とにかく話題性の高いネタに飛び付き便乗することで自身と党を目立たせ注目を浴びる。興味を持った者たちがどのような感覚で見るかは関係無く、「おもしろそう」「見てると楽しい」と感じた者が興味本位で立花孝志氏をその後も見続ける。すると、元々政治に関心の無かった者たちは立花孝志氏の主義主張ばかりが情報として入ってくるようになるため、あたかも立花孝志氏の考え・行いが全て正しいかのように見てくる。
そういった者たちを指して、SNSの(旧)N国党界隈では3年ほど前から「N国信者」と呼ばれてきた。そうして「立花孝志氏は正しい」と刷り込まれてしまうと、反対意見や批判には耳を貸さなくなってしまうのだ。元々が政治に無関心な者たちであるため、他党との政策・方針を比べたりもしない。こういった者たちがNHK党 立花孝志氏の周りには集ってしまい、同じ方向を向いて同じことを言う者たちに囲まれるため、自分の思い込みを全く疑うことが無くなってしまう。
彼らを数年間見続けてきた”選挙ウォッチャー ちだい”氏は、「反知性カルト集団」と彼らのこと呼んだ。
そして、以前から立花孝志氏はこう語っている。「うちの支持者は何があってもうちを支持してくれる。硬い硬い支持者だ。」上記の理由から、この発言が間違いではないことが推察される。

さらに、立花孝志氏の炎上商法の主な狙いは、エンタメとして立花孝志氏を見て喜ぶだけの「超ライト層有権者」である。

ただのエンタメとして見ているため、事の真偽や善悪には興味が無い。「おもしろそうだから投票してみよう。」という軽い気持ちで票を投じてしまう者たちが存在する。普段は選挙にも政治にも興味が無く、日本の選挙の投票率を抑えてしまっている人々の中の一部の者たちではあるが、その者たちが投票へ参加すれば一時的にではあるものの確かに投票率は上がるだろう。
この現象を指して、立花孝志氏は「投票率を上げる」と謳っているのだが、この国の状況を理解するでもなく、政策を吟味するでもなく、「おもしろそう」それだけで投票をしてしまう人々は果たしてその後も投票に参加していくだろうか。

そして、そういった人々の票を得続けなければ立ち行かなくなってしまっているのが現在のNHK党(多額の借金問題も含め)であるため、立花孝志氏は炎上商法をやり続ける必要に迫られていると見るのが妥当だろう。
そのため、上述したような「綾野剛氏の淫行疑惑」の名誉毀損や業務妨害にも成りかねない炎上ネタを繰り返すしかなく、一審判決とはいえ執行猶予付き有罪判決を受けた身でありながら、危ない橋を渡る手法を取らざるを得なくなっているようだ。

もちろん、こういった炎上商法に釣られる人々が全てそうであると言うつもりは無い。だが、選挙・政治に関心を持たせるとは、そういうことではないと私は考える。

また、立花孝志氏の炎上商法について、弁護士である福永活也氏とのTwitterでの会話が一部で話題となっているので紹介しておこう。
それが下記である。

一般の方からご提供いただいたスクリーンショット画像

福永活也氏の発言は今は削除されているようだ。
さて、あなたはどのように感じられただろうか。


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