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(旧)N国党 (旧)NHK党 代表 立花孝志氏とは ① -法解釈-

2019年07月の参議院選挙、2020年07月の東京都知事選挙、2021年10月には衆議院議員総選挙が行われ、2022年06月に参議員選挙が迫っている。
この約3年間での(旧)NHKから国民を守る党(現)NHK党の支持率は、選挙結果を見る限りでは右肩下がりだ。
この驚くべき低支持率となるに至った要因とは。

「(旧)N国党 (旧)NHK党 代表 立花孝志氏とは シリーズ」は、3部作として「法解釈」「免罪符」「関係者」の3つに焦点を絞り、本記事では、代表 立花孝志氏と孤軍奮闘を続ける石渡智大氏 (以下”ちだい氏”)の間で争われた裁判を中心に刑事裁判第一審も含め、立花孝志氏の「法解釈」について考察する。
チダイスム:選挙ウォッチャー ちだい」の名で現役活動中。

"ちだい氏"の note 「チダイズム」については私も目を通してはいるが、客観的な視点を保つために本記事では彼の記事には触れないでおく。また、本記事では”ちだい氏”の心情なども考慮せず、彼以外の専門家の意見や、報道された内容からの考察であることをご理解された上でお読みいただきたい。

本記事は2020年08月に公開したものです。2022年04月20日追記するにあたり、一部内容を修正して再構成を行いました。
追記は、章題「刑事裁判第一審 有罪判決」以降です。


N国党 立花孝志氏と”ちだい氏”

因縁のはじまり

2017年11月、東京都葛飾区では区議会議員選挙が行われていた。当時からすでに選挙ウォッチャーとして活動をしていた”ちだい氏”は、その葛飾区議会議員選挙で多くの立候補者の取材を行っていた。そんな中、立花孝志氏もその葛飾区議会議員選挙へ立候補をしており、当選を果たしている。
この時”ちだい氏”は、立花孝志氏の言動や様子からすでに違和感を覚えていたという。

その後、N国党から幾人かの地方議員が誕生しつつ約半年が過ぎた頃の2018年06月、千葉県松戸市で市長選挙が行われた。この選挙の最中に起きたある事件を切欠に、立花孝志氏と”ちだい氏”の運命の歯車が動き出すのである。

この松戸市長選挙にN国党から出馬をしたのは、中村典子氏(現 松戸市議会議員 2018年11月当選)であった。
選挙運動で街頭演説をしていたN国党陣営を取材するため、あるフリー記者2人(”ちだい氏”ではない)が中村典子氏に公約を尋ねた。しかし、中村典子氏は答えられず、傍にいた立花孝志氏と大橋昌信氏(現 N国党副党首 柏市議会議員 当時は朝霞市議会議員)が割って入り押し問答になったという。
そこで立花孝志氏と大橋昌信氏は、「選挙妨害」を主張し「私人逮捕」と称してフリー記者らの手首を掴み、ひねり、引っ張り、倒し、地面を引きずったとされる。

この件については、N国党側が警察へ被害届を提出したとも、フリー記者側が暴行を受けたと被害届を出したとも、裁判で暴行の事実が認められたなど噂されているが、(私の知り得る範囲では)その詳細を伝える報道記事等は見当たらないため、その後の事実については不明だ。

動き出した歯車

そして、現場でその一部始終を見ていたのが”ちだい氏”であった。

”ちだい氏”は、現場で直に見た事件の成り行きや当時のN国党 立花孝志氏の状況などを細かに記した記事を執筆し、その記事はハーバー ビジネス オンライン(運営 扶桑社)に掲載された。

▼2018年06月11日 ハーバー ビジネス オンライン

この記事が事実無根の名誉毀損だとして、N国党 立花孝志氏は ハーバー ビジネス オンラインの運営元である扶桑社を東京地裁へ提訴したのだ。この裁判こそが、今もなお続いている立花孝志氏と”ちだい氏”の長い戦いの幕開けとなったのである。

以下、名誉毀損の訴訟を4件ご紹介するが、名誉毀損の訴訟では「(違法性)阻却事由」が考慮され、名誉毀損の要件を満たしていても、次の3つの条件を満たしている場合は名誉毀損が成立しないとされていることを知っておいてほしい。
1、公共性がある
2、公益性がある
3、事実である(真実相当である)
以下、この「(違法性)阻却事由」を念頭に置いて読み進めていただきたい。

法廷闘争の幕開け

名誉毀損で扶桑社を提訴

N国党 立花孝志氏は、ハーバー ビジネス オンラインに掲載された”ちだい氏”の記事に関し、「選挙妨害への対応だった」と暴行を否定、事実無根で名誉を傷つけられたとして運営元の扶桑社に対して200万円の損害賠償請求の訴訟を起こした。

この裁判から、ちだい氏”の名前はインターネット内のN国党界隈では急速に広まっていく。まだ小さな政治団体であったN国党に対し、有権者を軽視した選挙手法や主張の強引さを疑問視、危機感を世に訴える者として徐々に名を馳せていくことになったのである。

▼2019年11月15日 産経新聞
東京地裁での判決で裁判官は「立花氏は記者の右手首をつかんでおり、暴行との表現が誤っているとは言えない。」と指摘。東京地裁は判決で「記事の内容は真実と認められる」として、”ちだい氏”の記事が概ね真実であると認め、N国党 立花孝志氏側の請求を棄却した。

この後、東京地裁の一審判決を不服としてN国党 立花孝志氏は控訴、舞台は東京高裁へと移された。しかし、N国党 立花孝志氏の主張は、東京高裁でも認められることはなかったのである。

▼2020年07月01日 佐賀新聞
東京高裁でも記事の内容は真実と判断され、裁判長は「当時、東京都葛飾区議だった立花氏の言動を報道することに公益目的があるのは明らかだ」と述べ、N国党 立花孝志氏の請求を退けた一審東京地裁判決を支持、N国党 立花孝志氏側の控訴を棄却した。

▼2020年07月01日 愛媛新聞

この扶桑社に対する「名誉毀損 損害賠償 訴訟」の判決は、N国党 立花孝志氏が「扶桑社側へ金銭を支払う」ことを伴う判決であったという。しかし、その支払い命令が履行されたかについては、明らかにされていない。

この裁判は、最高裁へは上告されておらず、高裁判決で確定している。

スラップ訴訟

立川市議会議員の居住実態疑惑

2018年06月、東京都立川市では市議会議員選挙が行われていた。時期的には、上記で紹介した ハーバー ビジネス オンラインに”ちだい氏”の記事が掲載される一~二週間ほど前のことだ。

当時の立川市議会議員選挙には、N国党からは久保田学(芸名:横山緑)氏が出馬、当選を果たしている。が、この久保田学氏の当選に異を唱えた者がいた。”ちだい氏”である。

2018年06月17日に行われた立川市議会議員選挙の投開票の後、”ちだい氏”は「久保田学氏には立川市での居住実態がほぼ無い」という内容のWEB記事を公開した。それを受けた久保田学氏は、事実無根だとして名誉毀損で提訴を行った。

裁判では、久保田学氏は代理人(弁護士)を付けなかったという。
そして、居住実態を示す資料としては住民票のみを提出、選挙前に自身が行ったライブ配信の中でも、立川市に居住していないことをほのめかす発言をしていたという事実もあったことから、2019年09月19日千葉地裁松戸支部で判決は、名誉毀損を認めず久保田学氏の訴えを退けた。

”ちだい氏”の弁護人は、「たとえば、公共料金の領収書など、格別の負担もなく証明できるのに、証拠を出さなかった」と指摘している。

また、2019年5月12日(審理期間中)に公開された動画の中で、久保田学氏の傍らにいた立花孝志氏が「この裁判は、そもそも勝って”ちだい君”からお金を貰いにいくためにやった裁判じゃなくて、いわゆるスラップ訴訟、スラップっていうのは、裁判をして相手に経済的ダメージを与えるための裁判の事をスラップ訴訟と言うんですよ。」という発言をしており、提訴自体がスラップ訴訟(恫喝・威圧目的・不法行為)だとして”ちだい氏”が反訴を行い、”ちだい氏”の主張が認められて久保田学氏の請求は棄却された。
提訴自体が不法行為とされた久保田学氏には、約78万5000円の支払いが命じられた。

※スラップ訴訟
社会的にみて「比較強者」(社会的地位の高い政治家、大企業および役員など)が、社会的にみて「比較弱者」(社会的地位の低い個人・市民・被害者など、公の場での発言や政府・自治体などへの対応を求める行動が起こせない者)を相手取り、恫喝・発言封じなどの威圧的、恫喝的あるいは報復的な目的で起こすものをいう。

▼2019年09月24日 朝日新聞

▼2019年09月24日 弁護士ドットコム

▼2019年09月26日 毎日新聞

▼2019年10月02日 東京合同法律事務所

その後、久保田学氏は控訴を行ったが、東京高裁は一審判決を支持し、再び「スラップ訴訟」と認定され、提訴自体が不法行為だという判断は覆らず、支払い命令は78万5000円から95万円に増額された。

▼2020年03月04日 弁護士ドットコム

▼2020年03月10日 東京合同法律事務所

この判決の支払い命令については、一審の額は差し押さえられ、二審で追加されたものはN国党側(久保田学氏の代理人かどうかは定かではない)の弁護士が立て替えて支払われた。と、後に”ちだい氏”が語っている。

そして、この「スラップ訴訟認定の判決」は法曹界でも有名な判例となり、法科学科の教材としても扱われるようになったという。

この裁判も最高裁へは上告されておらず、高裁判決で確定している。

直接対決のはじまり

N国党 及び 立花孝志氏が名誉毀損で”ちだい氏”を提訴

この裁判については、詳細な報道はなされておらず、判決後に東京合同法律事務所が発表したのみである。この裁判の発端は、本記事で最初に挙げた「2018年06月千葉県松戸市で市長選挙」の記事、扶桑社の裁判までに遡る。

扶桑社の裁判とは別に、立花孝志氏が”N国党”として執筆者である”ちだい氏”個人を相手に損害賠償訴訟を起こしたのがこの裁判の始まりである。
しかし、他の裁判同様に”ちだい氏”の主張が認められ、また、N国党 立花孝志氏の主張はことごとく退けられた。裁判所は、「記載されている事項は、公共の利害に関するものであり、公益目的もあるので違法性がなく不法行為にはあたらない。」と結論付けたとされている。

この裁判、一見すると1つの訴訟のように見えるのだが、実は提訴は2回(2件、控訴ではない)行われている。まず、立花孝志氏は”N国党”として”ちだい氏”を提訴したが、”N国党”として受けた損害とは何かを明確に主張できなかったために、原告をN国党から立花孝志氏個人に切り替え、先の提訴を取り下げないまま改めて新たに提訴し直したのである。つまり、中身が同じ内容の2件の訴訟がほぼ同時進行していたのだ。

しかし他の判決からもわかる通り、この2件の裁判も例に漏れず、N国党 立花孝志氏の主張が認められることは無く”ちだい氏”の記事は真実であるとされた。

▼2020年03月24日 東京合同法律事務所
政党への批判など、公共の利害に関する事柄については、批判的なものも含めて多様な言説が流通することは、市民が多種多様な情報を加味した上で意思決定できることに寄与しますので、民主主義にとっても有益です。
批判的な表現の自由が守られたという意味でも貴重な判決です。

この2件の訴訟はともに控訴されず、地裁判決がそのまま確定した。

この訴訟を起こす際、立花孝志氏は提訴するために必要な”ちだい氏”の住所などの個人情報を自身の動画で一般に募集し、懸賞金10万円をかけたのだ。そして、この訴訟の提訴がなされた頃(2018年06~07月頃)から”ちだい氏”への「大量パンフレット送付」(後述)などの嫌がらせが始まったとされている。

ここまで挙げた4件が、”ちだい氏”に関わる裁判の成り行きと結末である。
判決と結末を見る限り、4件全てでN国党 立花孝志氏の主張は退けられ認められることはなく、”ちだい氏”の執筆した記事の内容は真実(相当も含む)と認められてきたということで間違いはないだろう。

考察①

立花孝志氏の法解釈

なぜ、ここまで立花孝志氏は簡単に名誉毀損での訴訟を起こすのか、そしてなぜ、これほど裁判に負け続けてしまうのか、以前は「法律のプロ」「裁判のプロ」を自称していたが、その後「法律に詳しい」という言い回しに変わり、刑事裁判一審で有罪となった他、また新たな”ちだい氏”との裁判にも勝てなかった立花孝志氏の法解釈とは如何なるものなのか。これまでの出来事も含め、彼の「法解釈」について少し考察しておこう。

立花孝志氏は常々「守らなければいけない法と守らなくてもいい法がある」との主張を繰り返している。これは厳密には、「守らなくても大事に至らない、または他に影響が無い法がある」が正しいのだと思われるが、彼の場合はそうではない。「罰則がない法は守らなくても問題は無い」という認識なのである。それはこれまで幾度となく立花孝志氏本人の口から発せられてきた言葉であることは、多くの方がご存知だろう。

「罰則の有無」は果たして判断基準としてどうだろうか。
罰則の有無を考えるということは、自分の被る不利益を考えるということである。つまり、自分の不利益の有無が「守らなくていい」かどうかの判断基準になっているのではないだろうかと推測できる。

また、予備校前演説騒動やNHK会長宅への深夜訪問、他者に対する悪口癖などを見ると、「他人の気持ちを推し量る」という感覚が(無いとは言わないが)足りていないと言わざるを得ない。

この2点だけを見ても、「まず自分の利益・保身が優先」であることは疑いようがない。そして、これまでの具体例は割愛するが(詳しくは、NHKから国民を守る党を疑問視する から各記事をご参照ください)、失言と思われる発言や、批難されてきた行動についても、真摯に謝罪を行ったことは私の知る限りでは皆無である。

さて、自己中心的とも言えるその本質は、「法」をどのように解釈させるのだろうか。「法」とは、まずは人を守るためのものである。人を守るということは、自分以外の他人も守るということだ。「法」で補えない問題に関しては、人々のモラルで解決されていく。おのずと、モラルの欠如している人間の周囲では諍いが絶えないということになる。

法とモラル

モラルとは、一般的に人々が備えているであろう良識のことである。人を傷付けず、人に迷惑をかけず、人を貶めない。それは、誰もが「自分と同じ程度で認識している」と思うことで保たれ、意味を成すものである。
しかし、自分の認識が他者とズレがあることに気付いたとき、他者に合わせて人を守ろうとする方向で修正していく者と、自分が正しいという考えで押し切ろうとする者とが存在する。より良いモラルの共有が可能なのがどちらかなど、言うまでもないことだろう。

「法解釈」とは、厳密には個々人で差異があるのは確かであり、その差や違いを補うものがモラルだが、そのモラルこそがそもそも法を解釈する根本なのである。法の前に、人はモラルで善悪を判断して社会生活を営み、より明確なルールとして法を作り、守る。そしてまた、その法で足りない部分をモラルで補っているのだ。

あくまでもこれは私の考察であることを申し添えておくが、立花孝志氏の「法解釈」は根本的に自己中心的過ぎる面は否めない。彼の言動や行動に対して批難や指摘が絶えないのは、他者を尊重する精神に欠けるからではないだろうか。

新たなる裁判

大量パンフレット送付事件

2020年07月24日、下記のようなツイートが立花孝志氏より投稿された。

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なんと、これまで紹介した判決が確定している4件の裁判で終わりではなかったのである。ここで、上記でも少し触れた「大量パンフレット送付」について簡単に説明をしておこう。

大量パンフレット送付
予備校や専門学校などの入学案内書、様々な商品の購入案内書など、WEB上で申し込むと案内書や申込書(パンフレット)が送付されるサービスを悪用、受取希望者を装ってあちこち大量の送付申込(偽装申込)をし、対象者の自宅や勤務先などへ大量の書類や広告・試供品などを無作為に送り付ける嫌がらせ行為のこと。
送付される物の中には、書類や広告・試供品の他に、果物や小動物といった類の物まであり、受取時に代金引換を要求される事例もあるとされる。

”ちだい氏”によると、この「大量パンフレット送付」の嫌がらせが始まったのは、2018年06月千葉県松戸市長選挙でのN国党による暴行の記事がハーバー ビジネス オンラインに掲載された後、提訴のために立花孝志氏がWEB上で”ちだい氏”の個人情報に懸賞金をかけて募集し、そうして知り得た”ちだい氏”の(本名・住所等)個人情報を立花孝志氏が公開した頃からだという。

それから約1年半の間、ほぼ毎日”ちだい氏”の自宅へ大量の書類や広告・試供品が届き続け、酷い日には60件を超えることもあったと言われている。
また、この「大量パンフレット送付」の嫌がらせを受けた者は、N国党界隈では”ちだい氏”だけではなく、他にもN国党に異議を唱えた数人が被害にあっているとされる。

界隈騒然

そして2019年12月23日、”ちだい氏”は自身のWEB上の記事で「大量パンフレット送付」の嫌がらせを行っている者の特定に目処が立ったと明かし、事態は急展開となった。詳細は割愛するが、”ちだい氏”は記事の中で一連の件に関わった者を名指しし、それはN国党関係者であるとした。その”ちだい氏”の記事を受けて、立花孝志氏は同日深夜にライブ配信で反論を行った。

その立花孝志氏のライブ配信に合わせ、他の無関係だと思われるYoutuberが「嫌がらせを行ったのは自分です」との声明を出し、立花孝志氏はその声明を受けて「嫌がらせをしていたのはこの人です。自分で言っています。私たちではありません」と発言。そして朝となり、界隈がまだ興奮の冷めやらぬ中、立花孝志氏は下記のようなツイートでN国党の無罪を主張した。

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上記のツイートは”ちだい氏”の記事が公開された翌朝のものであるが、記事が公開された同日深夜の立花孝志氏のライブ配信直後にもツイートをしており、それが下記である。

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当時、”ちだい氏”の記事は今では想像がつかない程の反響を呼び、N国党に疑念を抱いていた者たちは皆リツイートや記事引用紹介などで拡散に手を貸していた。当時のN国党支持者の中にも、一抹の不安を持っていた者たちがN国党関係者への注意喚起をする意図も加わり、その数は数千人ともいわれた。(上記の立花孝志氏の発言を受けてその後削除した者も多い)
立花孝志氏は、そういった一般の者たちに対しても上記ツイートの通り、「記事を信じて拡散する方に対しても法的措置をとりますので、覚悟してください。」と発言している。

「大量パンフレット送付」の嫌がらせに関わったと思われる対象者の個人名を出した”ちだい氏”本人はともかくとして、この発言は「一般人に対する弾圧」「公党の人間としてあるまじき行為」「言論封殺だ」などの更なる反発を招く結果となった。

[ 余談 ]
2016年、NHKは立花孝志氏らが勝訴の見込みがない裁判を他人に起こさせたとして、立花孝志らに弁護士費用相当額54万円の損害賠償を求め提訴した。2017年7月19日、東京地方裁判所は立花孝志氏らが「NHKの業務を妨害するために訴訟に関与しており、裁判制度を不当に利用する目的があった」と指摘。訴権の濫用による業務妨害であるとしてNHKの訴えをすべて認め、立花孝志氏らに54万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
(by Wikipedia)
すでに数年前から、立花孝志氏の「訴権の濫用」は指摘されている。

そして、その後「自分がやった」と声明を出したそのYoutuberは、その発言が嘘であったと謝罪・撤回をしてしまう。そのYoutuberとは、一部では有名な所謂「炎上系Youtuber」であると言われており、声明を出した直後から嘘であると見抜いていた者は少なくはなかった。

この「炎上系Youtuber」の謝罪・撤回に関して、私の知る限りでは立花孝志氏から何かしらの発言がなされたことは無い。また、上記のツイートの内容以外では、その後は立花孝志氏からの声明なども出されていない。
常々立花孝志氏は、「ジャーナリストを名乗るなら、事の真偽の裏を取ってから発言するべき」と語っていたはずであるが、この「炎上系Youtuber」の発言に関しては、なぜか反射的に乗ってしまったようである。

当時、「違うなら犯人特定に協力すべき」との意見も見られた。
確かに、一般的に何かしらの嫌疑をかけられた団体・組織・企業は、自らの無実を証明するために捜査に協力をしたり、情報提供などで真相解明に尽くすものである。しかし、N国党 立花孝志氏に至っては、嫌がらせを受けている被害者を助けるでもなく、真相を解明しようともせず、真犯人を野放しにしたまま、ただ自分たちの名誉毀損のことばかりを主張したのだ。真犯人が他にいるというのであれば、真相が解明されるのが名誉挽回のための最善手であり、汚名返上への近道のはずである。だが、彼らはそういった意向を示さず、”ちだい氏”と敵対し続けた。「それが公党の取る手段なのか」「政治家のやることがそれか」などの指摘が飛んだことは言うまでもない。

このとき”ちだい氏”は「あとは専門家に任せ、粛々と法的措置を進めます。今後この件に関しては事実のみの事後報告をします。」と語っていた。

(ちなみに、この件に関する当時の立花孝志氏のライブ配信動画などは、そのほとんどが削除されており、現在は確認することはできない。)

あれから半年以上の月日を跨ぎ、立花孝志氏 vs "ちだい氏"の5つ目以降の裁判が開かれていく。

考察②

期待と願望、真実の行方

N国党 立花孝志氏を支持する者たちの中に、「既存の政治家とは違う」ことへの期待や、「何かを壊す」ことへの願望があるのは察することはできる。
しかし、今まで彼らが「何を」「どのように」行ってきたのかという点に関しても、決して無視してはならないと私は考える。

上記で挙げた例の「一般人に対する弾圧」「言論封殺」「訴権の濫用」なども誇張ではないだろう。2020年06月末頃の「ツイッターでのコピペ騒動」(詳細は、N国党 ホリエモン新党 代表 立花孝志氏 ツイッター嫌がらせでコピペ連打 をご覧ください)もその一例に過ぎない。

既存の政治家と違う手法で何かを成そうとするのは結構なことである。問題があると思われる何かを壊そうとすることも、それ自体は批難されることではない。だが、そのために取られる手段が、それで全て許されるということにはならないのである。これは、目的で手段を正当化することはあってはならない。という考え方である。

上述した4件の”ちだい氏”に関わる裁判の判決を見ると、”ちだい氏”の執筆した記事を含め、”ちだい氏”の主張はその全てが認められる結果となっている。逆に言うと、立花孝志氏の主張は全て認められず退けられている。4件全てN国党 立花孝志氏側による提訴であるにも関わらずだ。

1、N国党 立花孝志氏 対 扶桑社(名誉毀損 損害 損害賠償請求)
高裁判決で扶桑社側勝訴 確定
2、N国党 久保田学氏 対 "ちだい氏"(名誉毀損 損害賠償請求)
高裁判決で”ちだい氏”勝訴 確定
3、N国党(党が原告)対 "ちだい氏"(名誉毀損 損害賠償請求)
高裁判決で”ちだい氏”勝訴 確定
4、立花孝志氏(個人が原告)対 "ちだい氏"(名誉毀損 損害賠償請求)
高裁判決で”ちだい氏”勝訴 確定

立花孝志氏としては、これまで”ちだい氏”のことを散々に罵倒してきた。その”ちだい氏”相手に、一度たりとも裁判で勝てず負け続けてしまっていることが癪に障っているのかもしれない。ただ一度だけでも、最後に勝っておけば「立花孝志氏が勝った」と世に印象付けることはできるだろう。
そのため、「一度でも勝っておきたい」という想いが立花孝志氏の中にあるとしても不思議ではない。

刑事裁判第一審 有罪判決

懲役2年6ヶ月 執行猶予4年

2022年01月、緊急事態宣言の影響で延期されていた裁判は次々に開かれた。立花孝志氏が「威力業務妨害」「不正競争防止法違反」「脅迫」で刑事告訴をされた裁判もその中に含まれた。その結果、「NHKの被害者のためにやったと主張する」としていた立花孝志氏の言い分は通らず、第一審では懲役2年6か月 執行猶予4年の判決が下された。(立花孝志氏は控訴した。)

これまでの(旧)N国党 立花孝志氏関連の裁判は大々的に報道されることは少なく、世間の認知としてはまだ知れ渡っているとは言い難かったが、公党党首の刑事裁判とあって大手メディアもこれを報道、公党党首の刑事裁判有罪判決の報は日本国民に広く知れ渡った。

一審判決後に立花孝志氏は会見を開き、「全く反省していない」「有罪判決は勲章だ」と開き直りともとれる発言を残している。ちなみにだが、立花孝志氏が「有罪判決は勲章」と言い始めたのは2020年04月に在宅起訴されてから少し後のことである。在宅起訴がなされる約1ヶ月前の2020年03月14日に(旧)N国党コールセンターへの家宅捜索が入る前までは、「罰則が無い法律なんか守らなくていい」「自分は何度か書類送検されているが1回も起訴されたことがない」「捕まらなければいい」と口癖のように繰り返し言っていた様子が自身の動画にいくつも残されている。また、家宅捜索後に公開した動画では、「自分は犯罪者でーす!反社会勢力でーす!」と目を見開いた状態で高揚した姿が見られた。(当該動画は現在は削除)

それから日が経つにつれ落ち着きを取り戻した立花孝志氏は、「いきなり実刑は無いと思っている」「起訴されれば収監される可能性はある」「有罪は覚悟している」と徐々に発言が変わっていき、最終的には「正当な政治活動で正当業務行為」「脅迫ではなく公人に対しての真っ当な警告」だと主張するとし、法廷でもそのように無罪を主張していた。が、結果は上述した通りである。

[ 余談 ]
脅迫罪は、2019年に中央区議の二瓶文徳氏(元(旧)N国党所属)から刑事告訴をされた。文徳氏と父親で江東区議の二瓶文隆氏(元(旧)N国党所属)ともに、区議会議員選挙で当選を果たした後に話が出た「党費として130万円の寄付(徴収)」について二瓶親子がこれを拒否し離党。それに腹を立てた立花孝志氏が「おっさんもう年だし、仕事できへんようにしてやるだけのことなんで。とことんかかって来いよ二瓶文隆。」「息子のほう25歳、こいつのほうが将来があるので徹底的に潰しに行きます。」「この子のお母さん彼女も知ってますよ。徹底的にこいつの人生潰しにいきますからね。二瓶親子、とくに息子、覚悟しておけ。お前ら許さんぞボケ!」と自身の動画(現在は削除)で発言したことを受けた刑事告訴である。
刑事告訴を受けた警視庁月島署は、2019年09月に立花孝志氏に事情聴取を行い、その後書類送検された。書類送検の後、立花孝志氏は東京地検へ電話、ときには直接訪問などで「起訴するんなら早くしてください」「いつ起訴するんですか」などの問い合わせを行った動画を数回公開し、その数ヶ月後、家宅捜索が行われる流れとなった。

(2023年03月23日 最高裁で棄却 懲役2年6月 執行猶予4年 有罪確定)

法廷闘争 第二幕へ

話を”ちだい氏”との法廷闘争に戻そう。
2019年12月23日の”ちだい氏”のWEB記事に関し、(旧)N国党および立花孝志氏側から「犯人としての名指しは明らかに名誉毀損」として名誉毀損 損害賠償請求の3件の民事裁判が提訴されていた。

これまで”ちだい氏”を相手にした裁判を見ても、悉くその認識と主張を否定されてきた立花孝志氏。そんな中で新たな3件の訴訟では、どのような判決が下されたのだろうか。
2022年04月現在、すでに3件の裁判ともに一審判決が下されている。

※参考
下記記事内「大量パンフレット送付に関する記事に対する裁判①~③」

この3件の裁判、原告は「①(旧)N国党」「②立花孝志氏」「③司法書士 加陽麻里布氏」のそれぞれの提訴による3件である。

立花孝志氏は、”ちだい氏”に対する大量パンフレット送付問題について、「党関係者が無実かどうかはわからないが、自分は無関係だ。(要約)」と主張、その後「真犯人は※恒心教である」との自論を展開していたが、3件の第一審判決は下記の通りとなる。

※恒心教
恒心教(こうしんきょう)とは、ハセカラ騒動から発生した弁護士 唐澤貴洋らをネタにすることを目的としたネット上のムーブメント、冗談宗教、いたずらのグループ。

(参考:唐澤貴洋Wiki / ハセカラ騒動

①(旧)N国党
2021年12月13日、千葉地裁松戸支部は、「原告関係者が被告にパンフレット等を送付したと信じるにつき、相当の理由がある。」として請求を棄却。立花孝志氏はその後控訴したが、高裁でも棄却され、上告無く確定した。
(高裁判決日等の詳細は、当人たちからは公表されていない。)

②党首 立花孝志氏
この裁判で、原告である立花孝志氏から結審前になって「犯人は恒心教なのだから素直に謝ってくれればいい。(要約)」と”ちだい氏”へ和解案が提示されたが、”ちだい氏”は拒否したとされている。
2022年02月16日の地裁判決では ”ちだい氏” が勝訴し、高裁でも棄却され、上告無く確定した。
(高裁判決日等の詳細は、当人たちからは公表されていない。)

③司法書士 加陽麻里布氏
上記2件同様に結審しており、一審判決では”ちだい氏”の勝訴となったが、加陽麻里布氏側は控訴した。
2022年06月07日 東京高裁で棄却され、上告無く確定した。

この3件の一審判決後しばらくして立花孝志氏は、「裁判のことを発表しても党のためにならない。」「裁判は続けていくけれども、今後は逐一発表することは控える。」との発言を残している。
2019年の参院選直後は、党の預金通帳や党役員会議などを公開し「N国党はオープンな政党。全て見せます。(要約)」を売りにしていたはずだが、ときが経つにつれその謳い文句も忘れ去られ、今となってはかつてのオープンさの影も見当たらない。

変わりゆく言動

これまでの本記事をご覧いただいただけでも、立花孝志氏の発言内容の移り変わりにお気づきになられた方も多いのではないか。
2019年の参院選で比例当選して以後、しばらくの間は立花孝志氏が「法律の専門家」「裁判の専門家」を自称していたことは、当時を見ていた方々ならばご存じのことだろう。それがいつの頃からか、「法律の専門家」「裁判の専門家」ではなく「法律に詳しい」「裁判に詳しい」という言い回しに変わり、そして”法廷闘争 第二幕”の一審判決が出揃った頃には、「法律を勉強した」「裁判に慣れている」という言い方が多くなっていたのである。

「〇〇の専門家」と胸を張っていた立花孝志氏の姿はもう昨今ではみられなくなってしまったが、それでも、刑事裁判(2023年03月23日 最高裁で棄却 懲役2年6月 執行猶予4年 有罪確定)をはじめ、動画削除義務不存在等確認訴訟(2023年06月07日 東京地裁で却下)など、今後も立花孝志氏の裁判は行われてゆく。

法治国家であるこの国で、誰の主張が正しく、誰の解釈が認められるのか、法による裁定が今後も1つずつ下されていくこととなる。


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