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ホリエモン新党と東京都知事選挙 ④

2020年07月05日、東京都知事選挙は現職 小池百合子氏が大方の予想を大きく上回る得票で再当選を果たした。選挙そのものの総評などは大手メディアや専門家がすでに報じているので皆様もご存知のことだろう。

ホリエモン新党と東京都知事選挙 ③ では、N国党 代表 立花孝志氏 が新しく設立した「ホリエモン新党」から出馬した3名の立候補者と、ホリエモン新党と立花孝志氏の目的についての見解を述べさせていただいた。本記事は、投開票の結果を受けて、彼らにとっての東京都知事選挙とは何だったのか、立花孝志氏をはじめN国党とホリエモン新党が今後どのような動きを見せるのかを考察して、「ホリエモン新党と東京都知事選挙 シリーズ」を締め括りたい。

東京都知事選挙 開票結果

まずは結果をおさらいしておこう。上位6名の開票結果は以下の通りだ。

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事前予想では”現職 小池百合子”氏は、「女帝 小池百合子(著:石井妙子氏)」の影響も考えられ200万票を切るのではとの見方も少なくなかった。しかし、蓋を開けてみれば結果はご覧の通りであった。

3位に破れた山本太郎氏は、小池百合子氏の再選確定後に会見を開き、独自に事前調査を行っていたことを明かした。

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野党一本化を望む声も多い中、単独で出馬した理由は「野党一本化しても勝てる状況では無いのは明らかだった」と語り、「であるならば、れいわ新選組としての主張を訴えるための出馬を」と判断したとのことであった。

※公職選挙法 第百三十八条の三 人気投票の公表の禁止に抵触する怖れがあるため、上記の調査結果は小池百合子氏再選確定が出るまでは公表されなかった。大手メディアの世論調査でも、現行の選挙に絡む場合はグレーゾーンであるとの指摘はしばしば見られる。

ホリエモン新党公認 N国党推薦の3名の結果は以下の通り。
立花孝志氏 得票43,912票(0.72%)
※前回の2016年は 得票27,242票(0.42%)
服部修氏 得票5,453票(0.09%)
斉藤健一郎氏 得票5,114票(0.08%)

投票日直前の愚行、北海道へ

東京都知事選挙告示の一週間後から同時に行われていた東京都議補選北区選挙区(06月26日告示 07月05日投開票)に、ホリエモン新党から出馬していた「N国党 次期衆院選立候補予定者 新藤加菜氏」のアベノマスクブラポスターに関して、06月30日にツイッターで起きた”立花孝志氏による嫌がらせ”ともとれる騒動が起きた。(詳細は下記、N国党 ホリエモン新党 代表 立花孝志氏 ツイッター嫌がらせでコピペ連打 をご覧ください)

そんな出来事も束の間、07月03日にはなんと、東京都知事選挙の立候補者 立花孝志氏と斉藤健一郎氏、都議補選大田区選挙区で立候補していた小林隆弘氏の3名が、選挙期間最終日を待たずしてアドベンチャーレースに参加するために北海道へ旅立ってしまったのだ。

※小林隆弘 氏
N国党 次期衆院選立候補予定者。都議補選 大田区選挙区の立候補では、ホリエモン新党公認 N国党推薦。立花孝志氏の秘書。

東京都知事選挙、都議補選ともに残すところあと2日と迫った状況で、またしても界隈では「また選挙を放棄したのか」との声も多く、アベノマスクブラポスターで燻っていた火種に油を注ぐ格好となってしまったようだ。

得票から見る、ホリエモン新党と立花孝志氏

東京都知事選挙、都議補選におけるホリエモン新党の全結果は下記の通り。

東京都知事選挙
立花孝志氏 得票43,912票(0.72%)
服部修氏 得票5,453票(0.09%)
斉藤健一郎氏 得票5,114票(0.08%)
都議補選
北区 新藤加菜氏 得票6,125票(4.04%)
大田区 小林隆弘氏 得票11,573票(3.94%)

東京都知事選挙での3名の得票合計は54,479票、得票率は 0.88%。
都議補選での2名の得票合計は17,698票、得票率は3.97%。

東京都知事選挙の服部修氏と斉藤健一郎氏に関しては、インターネットでの討論番組等への出演はあったものの、政見放送でのアピールも無く、選挙ポスターでの実質広告もなかったため、当然の結果と言えるだろう。
立花孝志氏については、前回の2016年よりも約1.6倍の得票にはなっているものの、現在は公党の党首であること、元国会議員であること、全国的な知名度を以前から得ていることなどを加味すると、驚くほどの低い得票となったのではないだろうか。

都議補選の北区では、アベノマスクブラポスター騒動を発端として、討論会での一般撮影者のカメラアングル問題なども話題となり、その関係で「N国党とホリエモン新党は立憲民主党や共産党を敵視している」とする流れにまで及んだようである。結果、奮闘空しく、新藤加菜氏は最下位落選となってしまった。
大田区の小林隆弘氏は、インターネットの中での活動は目立ったものはないまま、街中に選挙ポスターを貼り数度街頭演説を行っていたようである。終盤でこそ北海道への旅立ちがあったが、他に騒ぎも無かったためか、立候補者6名中5位、11,000票を超える得票となった。

仮に、都議補選の2名に投票した有権者が東京都知事選挙での投票に立花孝志氏の氏名を書いて投票したものとすると、立花孝志氏が単独で獲得できた票数は26,214票である。逆に、都議補選両名が、立花孝志氏のおこぼれで得票できたと仮定しても、それにしては少な過ぎるように見える。昨今の立花孝志氏の人気低迷を考慮して、どちらがどちらに寄与した可能性が高いのかを考えると、やはり前者だろうか。

街頭演説は行っていたがほとんど報道はされなかった服部修氏と斉藤健一郎氏も、2人の合計は10,567票と都議補選2名の合計17,698票にも満たない。

堀江貴文氏のネームバリューを多少は受けるホリエモン新党から合計5名がそれぞれ出馬し、3連選挙ポスターを貼り、立候補していない堀江貴文氏と籠池泰典氏の写真を掲載し、日本第一党の桜井誠氏に喧嘩を売り、批判覚悟でアベノマスクブラポスターまで敢行した。その結果が上記である。

都合16連敗、敗者の弁

2020年03月14日のN国党 関係先への警察の家宅捜索以後、N国党関係者(ホリエモン新党含む)の選挙は先の港区長選挙でちょうど10連敗であった。
その後、千葉県野田市議会議員補欠選挙でホリエモン新党から渡辺くにひろ氏が出馬したが落選となり11連敗。今回の東京都知事選挙で3名、都議補選で2名、合計5名5敗が加算され、16連敗となってしまった。(私が知る限りである)

上記で記述した山本太郎氏と前後して、立花孝志氏も北海道の宿泊先で開票ライブ配信を行った。明けて翌日、立花孝志氏は改めて得票や今後の展開についての動画を公開した。

「N国党や自分に人気が無い。」
「この結果は粛々と受けとめる。今後の戦略も考え直す。」

と、終始殊勝な趣であった。しかし、また一夜明けて東京へ戻った立花孝志氏は新たな動画を公開したが、その態度は以前と変わらぬものであった。

これまで幾度となく繰り返されてきた”お金の話”を熱弁し、N国党とコールセンターの存在意義を説く。

「間違った法律で苦しめられている人(NHK訪問員被害者)を救うのにお金が(コールセンター運営費や裁判費用)必要であり、それを税金で賄うために(選挙で勝って)政党交付金が欲しい。」
と、立花孝志氏は視聴者に理解を求めた。
東京都知事選挙から2日、その間、堀江貴文氏の37の提言や、最初に掲げた9つの公約などについては、語られることはなかった。

消えぬ自己顕示欲

同動画で、立花孝志氏は”れいわ新選組 山本太郎氏”の寄付金集めや、今回の東京都知事選挙で使用した金額について批難した。

「ホームレスや苦しんでいる人を助けたいと言うなら、そういう人たちから金を集めるなよ。N国党は寄付金を集めずに全部税金で回している。」

まず、山本太郎氏は、ホームレスやそれに近いほど苦しんでいる人々に寄付を呼びかけた話は、私の知る限りでは聞いたことがない。山本太郎氏は、「余裕の無い人はチラシを持って帰ってくれるだけいい」と街頭演説の度に言っているはずである。それでも、裕福ではない人々からの寄付が止まないのは、彼に対する期待の表われとも言えよう。

対して、立花孝志氏とN国党はどうか。
「法律によって苦しめられている被害者を守る」と言うが、まずここから誇張である。悪いのは、法と制度を”悪用する一部の訪問員”である。大多数のNHK訪問員は法もモラルも守り、真っ当に仕事をされている方々だ。
その”一部の訪問員”の被害を受けた一般市民の数が少ないことは、立花孝志氏自身が以前に認めていることでもある。そして、その”少ない被害者”を救うためにわざわざ数千万~億を超える政党助成金(税金)を得ようとする方がおかしな話に聞こえてしまう。それこそ、「その被害者を救ってあげてほしい」という支持者たちからの寄付金で賄うのが筋ではないだろうか。
なぜ、支持者でもない関心もない関係のない国民の税金を、そこに投入する必要があるのだろうか。

さらに言うならば、立花孝志氏やN国党によって悪者扱いを受けてしまっている”真っ当なNHK訪問員たち”は全国でおよそ4~5,000人と言われている。生き辛くなってしまったその”真っ当なNHK訪問員たち”は、いったい誰が救うというのだろう。
「悪質訪問員から被害者を救う」と言いつつ、その裏で”真っ当なNHK訪問員たち”が、立花孝志氏とN国党の”ある意味で被害者”となってしまっていることに、彼らは目を向けない。

東京都知事選挙も終わり、一定の民意は示された。合計得票率0.88%。都民の大多数は、彼らの行いと存在に「No!」を示した。


ホリエモン新党と東京都知事選挙 ④(終)
ホリエモン新党と東京都知事選挙 シリーズ(完)