N国党・立花孝志氏の選挙戦略とは

「選挙は儲かる」と得意気に話し、公金ビジネス・選挙ビジネスだと指摘されても尚、その手法を変えようとしないNHKから国民を守る党・立花孝志氏。彼の掲げる「選挙戦略」とは如何なるものなのか。

全国規模で展開する数多の地方選挙の目的と意味とは。そして、以前は「NHKスクランブル放送には、衛星放送で20年かかる」と言っていたはずだが、あるときから言わなくなってしまったのは何故かも含めて、紐を解いていってみよう。

公党の誕生、地位と名声を得た者

2019年07月、夏の暑さが日増しになろうかという頃、124の議席を巡る第25回参議院選挙が行われた。この選挙では既存の与野党の他に、山本太郎氏率いる「れいわ新選組」と、立花孝志氏率いる「NHKから国民を守る党」の新勢力が一部で注目を集めていた。この2つの政党(当時は正しくは政治団体)の選挙手法は対照的であった。

山本太郎「れいわ新選組」は、正攻法とも言うべきドブ板戦術であった。とにかく目的と必要性を訴え、政権を取らせてほしいと懇願し続けた。20代を中心とした年齢層の支持を獲得し、山本太郎氏本人は当選には届かなかったが、見事2議席を獲得して晴れて公党となった。参議院となった2名(舩後靖彦氏、木村英子氏)の仕事ぶりは、時折大手メディアのニュースや新聞等で報じられている通りである。
その後、山本太郎氏は、国会での仕事を議員の2名に任せ、再び全国を飛び回って「れいわ新選組」の目的と必要性を説くことに全力を注いでいる。

片や、立花孝志「NHKから国民を守る党(以下、N国党)」は、前代未聞の奇抜な戦術を行った。それがインターネット活用である。NHK問題(集金人や受信料制度など)のみを取り上げたワンイシュー政党(単一争点政党)として活動を続けてきたN国党は、NHK問題以外の政策や方針を打ち出さず、とにかく目立って名を売ることに注力した。もちろん街頭演説なども他党同様に行っていたが、その演説内容は異質であった。なんと、発せられる言葉のほとんどがNHKの悪口だったのである。その異質な演説は、インターネットの動画サイトやSNSである程度の話題となり、ある種のエンターテインメントとして広がりを見せた。
参議院選挙への立候補当初から立花孝志氏は、「公党になるための得票率2%が取れれば良い。」と発言していた。2%であれば、興味を示してくれた人々や、NHKを良く思っていない人たちのみの支持で達成できるという読みは的中した。演説内容の具体的な事例はここでは割愛するが、その異質さを面白さと受け取った有権者とともに、NHKという巨大組織を忌み嫌う民衆心理を一定数掴むことに成功したのだ。
そして、立花孝志氏は、見事に参議院選挙で比例当選を果たし、N国党は公党となったのである。

N国党・立花孝志氏のその後の国政での働きなどは、辞職するまでの期間が短かったこともあり特筆すべき点もないと思われるため、本記事では、立花孝志氏の選挙活動と戦略、それに関連する出来事や人物なども含め、下記の参考一覧の中から大きな動きや話題になったものに焦点をあてていく。
「選挙をすることが活動だ」と主張する立花孝志氏の言葉通り、選挙を追うことで、N国党・立花孝志氏の本質を探っていきたい。

【 参考:NHKから国民を守る党・選挙結果 】
下記一覧は、モンキーポッドが把握しているもののみ記載しております。
(2019年07月 参議院選挙以降 )
※01 2019年07月 参議院議員選挙 立花孝志氏 当選
※02 2019年08月 千葉県柏市議選 大橋昌信氏 当選
※03 2019年08月 埼玉県知事選 浜田聡氏 落選
※04 2019年09月 栃木県鹿沼市議選 あわや光太郎氏 落選
※05 2019年09月 大阪府交野市議選 信時一智氏 落選
※06 2019年09月 長野県長野市議選 ゆりゆりえ氏 落選
※07 2019年09月 山形県天童市議選 五十嵐浩之氏 当選
※08 2019年09月 大阪府東大阪市長選 浜田聡氏 落選
※09 2019年09月 大阪府東大阪市議選 嶋谷昌美氏 当選
※10 2019年09月 愛知県小牧市議選 春日井孝氏 落選
※11 2019年10月 高知県南国市選 上岡啓介氏 落選
※12 2019年10月 参議院埼玉補欠選挙 立花孝志氏 落選
※13 2019年10月 茨城県ひたちなか市議選 川崎穂高氏 落選
※14 2019年11月 神奈川県海老名市長選 立花孝志氏 落選
※15 2019年11月 神奈川県海老名市議選 三宅紀昭氏 当選
※16 2019年11月 千葉県我孫子市議選 坂本雅彦氏 落選
※17 2019年11月 埼玉県桶川市議選 町田紀光氏 落選
※18 2019年11月 栃木県太田原市議選 猪瀬正郎氏 落選
※19 2019年11月 奈良県桜井市長選挙 立花孝志氏 落選
※20 2019年12月 東京都小金井市長選 立花孝志氏 落選
※21 2019年12月 埼玉県上尾市議選 佐藤恵理子氏 当選
※22 2019年12月 埼玉県朝霞市議選 原田きみなり氏 当選
※23 2020年01月 茨城県取手市議選 岡本ゆきのぶ氏 落選
※24 2020年01月 埼玉県吉川市議選 鬼沢ひろたか氏 落選
※25 2020年02月 群馬県前橋市議選 前田みか子氏 落選
※26 2020年02月 埼玉県新座市議選 小野沢たけし氏 当選
※27 2020年02月 愛知県弥富市議選 宮部英雄氏 落選
※28 2020年03月 広島県福山市議選 加陽輝実氏 落選

利用する者、される者

2019年07月 参議院議員選挙(参考※01)で立花氏は、地位と名声を手にすることに成功した。それまで立花氏は、何度か非道ともとれる発言や行動はあったものの、今ほど目立って話題にはなっておらず、何かにつけて話題に挙がるようになったのはこの頃からである。立花氏本人は、ことあるごとに「悪名は無名に勝る」と言い続け、とにかく売名に必死であった。
売名の意図として、「党の勢力を大きくしなければ、国会議員1人では何もできない。」と発言している。その勢力拡大活動の一環として、丸山穂高議員の入党や渡辺喜美議員との会派結成が行われた。

この頃、立花氏は、「NHKのスクランブル化には衛星放送で20年かかる」「このポジション(公党の党首・国会議員)はめっちゃ儲かる」と発言しているが、他の発言も合わせ「公金ビジネスで20年遊んで暮らすつもりか」との批判が飛び始めた。立花氏は金と名声の亡者ではないかとの批判が増え始めたのも、この発言からである。

そして時期を同じくして、有名となった立花氏を利用する者たちが現れる。
当時、立花氏の活動の比重はYoutubeに重きを置いていた。同じくYoutubeや他の動画サイトでも活躍していた著名人たちが、立花氏に近付き、取り上げ、持ち上げ始めたのであるが、一通り儲けさせてもらったと見るや、彼らは次々に立花氏から距離を取りはじめ、後述する数々の騒動が起こるに連れ、しばらくすると話題にも取り上げなくなってしまった。さすが成功者の嗅覚とでも言うべきだろう。

複数の著名人が、立花氏との対談や自身の動画の中で「彼はかしこい」「彼は天才だ」などと、とにかく誉めちぎった。それを受けて立花氏も、「○○さんに誉められました!」「○○さんにかしこいと認められました!」と何度も自慢気に語るようになった。
そんな昇り調子の日々がしばらく続くが、「悪名は無名に勝る」と言い続けて広めた名は、やはり悪名でしかなかったと後に多くの人々が気付くことになるが、この頃すでに気付いていた者は、まだ極少数だったのである。

参院選後間もなく、あるTV番組でマツコ・デラックス氏が「気持ち悪い人たち」と発言したことを受け、立花氏はTV局前に抗議に行き、TV番組のスポンサーの不買運動をするなどの行動に出た。記事の本筋から逸れるため詳細は割愛する。この件で立花氏はさらなる売名に成功するが、同時に、その広げた領域に自ら地雷を埋めてしまっていたのだ。
そして立花氏はこのとき「投票してくれた有権者1万人を集めて、名誉毀損で1万人集団訴訟をします!」と宣言した。しかしその後、数ヵ月後に発表された人数は「今のところ200人くらいは集まりそう」という希望的観測にしても低い数字であった。さらに、「100人くらいになりそう」「1人千円で」と、日を追うごとに話は小さくなっていってしまう。
最終的に発表された人数は、なんと82人であり、100人にも満たなかった。
そして提訴は実現されたものの、「却下される」「棄却される」「反訴リスクが高すぎる」など、専門家の間でもこの提訴自体を「不当提訴」だと指摘する声は少なくない。

立花氏は後に、「売名のためにマツコさんを利用させてもらった」「マツコさんのおかげで儲かった」などの発言をしているが、もうこの頃から、立花氏の「誇張癖」については知る人ぞ知るものとなり、自己中心的で他人を軽視する立花氏の本質とも取れる部分が強調されはじめた出来事と言える。

自称・法律のプロ、自称・裁判のプロと豪語する立花氏だが、「法律の条文を覚えているだけ」「法律の趣旨を理解していない」などの厳しい意見と指摘が後を絶たない。

本性の片鱗

参議院選挙の翌月、当時はN国党のNo.2と言われていた大橋昌信氏が、千葉県柏市議会議員選挙へ出馬した。(参考※02)
この選挙演説の最中に、その後語り継がれてゆく事件が起こった。それが、「柏市議選私人逮捕」である。

日も落ちた頃、マイクを握り演説をしていたのは、大橋氏の応援に駆けつけた立花氏(当時はまだ現職国会議員)であった。そんな中、通りすがりの年配の男性が「嘘つき!」とひと言ヤジを飛ばした。普段から目にしている他党などの選挙演説から考えると、聞き流して知らぬふりをすればそれで済んだ話しのはずが、思いもよらぬ展開を見せた。

立花氏はヤジられてすぐ「誰や!」「嘘つきって誰や!」とヤジを飛ばした年配の男性を探しはじめた。そしてそれが号令であったかのように、選挙演説を突然中段し、その場にいた大橋氏や他のN国党現職地方議員、支持者も含め、10人程で追いかけた。しばらくその年配の男性に付きまとうかたちで、集団で歩き続ける中、立花氏は自身で警察に「選挙妨害」として警察に連絡を行っていた。また、他のN国党現職地方議員は、年配の男性に近寄って「お前が悪いんだろうが!」「犯罪だぞ!」と罵倒を浴びせるように威圧したのである。

警察が駆けつけ、年配の男性は連行されてしまうが、問題はそこではない。
この件から見えてくるのは、立花氏をはじめN国党という集団の自己顕示欲の強さと、批判を許さず、認めない者は排除しようとする狂気にも似た危険な性格である。
法律上は確かに選挙妨害は罪である。しかしながら世の中というのは、法の前に、些細なことなら許す許容の心やモラルがあって成り立っている。人として大切であるはずのその部分が欠落しているのではないか、と多くの人々に疑念を抱かせたのが、この「柏市議選私人逮捕」だ。
今も尚、立花氏やN国党の現職地方議員たちは、さも武勇伝のように本件を語っている。しかし、この疑念の火種はこの後も消えることなく燻り続け、やがて大きな炎となっていくのだが、彼らはまだ知る由も無い。

年配の男性はその後、起訴されること無く釈放されている。

自己正当化と後付け癖

「柏市議選私人逮捕」の後、翌月の09月に行われた長野県長野市議会議員選挙(参考※06)には、N国党からはゆりゆりえ氏が立候補していた。
結果は落選であったが、開票時に会場に足を運んでいた立花氏をライブ中継で見ていた限りでは、当選を狙っていたようだ。落選が濃厚となってからは、驚きと予想外という表情が隠せていないようだった。
そして口をついて出た言葉が、「田舎だからしょうがない」である。
それまで「田舎だから当選は難しい」などとは言ってこなかったはずだ。

この立花氏の発言に対して、様々なところから指摘が飛んだ。
「田舎者をバカにしているのか」「だったら最初から出るな」「後付けも甚だしい」「これが民意だろ」。後になって思えば、実はもうこの頃から、N国党・立花氏に対する疑念はある程度まで人々の中で膨れ上がっていたのかもしれない。

この後、事あるごとに至る所で立花氏の「後付け」とも取れる理由付けが展開されていくことを、どれだけの人が予想できただろうか。

ずさんな立候補者たち

同09月、大阪府東大阪市議会議員選挙にN国党から嶋谷昌美氏が出馬していた。(参考※09)結果は当選ではあるが、河内新聞で、「居住実態無し」として選管に当選無効の異議申出書が提出されたと報じられた。

他党の地方選挙でも度々見られることではあるが、N国党の地方選挙ではその指摘頻度は他党よりも高いのではないか。これまでN国党の地方選挙では、新宿区・足立区・立川市などでも指摘され、中には裁判になっているものがある。

理由はどうあれ、足立区議選に立候補した司法書士の女性においては、住居がカプセルホテルであったという。これでは、「有権者をバカにしている」との声が上がっても仕方が無いと言わざるを得ない。また、立川市議選の指摘の件では、指摘した一般人のフリージャーナリストの男性を名誉毀損で訴えたものの、スラップ訴訟(恫喝・威圧目的)に認定され、不当提訴として敗訴している。(後述)

驕り、気付けなかった転機

10月となり、参議院1議席を争う参議院埼玉補欠選挙が行われることになった。(参考※12)なんと立花氏は、参議員を辞職してその選挙に出馬したのである。理由は立花氏が主張した通り、当選して議席を増やすことであっただろう。そして、この参議院埼玉補欠選挙に、もし当選していたのであれば、まだ少しN国党・立花孝志氏の威厳も長く続いたのかもしれない。

まず誤算だったのは、先の参議院選挙(参考※01)において、有権者の多くが、「N国党・立花孝志氏に何を期待したのか」を読み違えていたことだと思われる。
参院選当時、有権者の声で多かったのは、「この人なら何かやってくれる」であった。立花氏が現職だった頃、「陳情の電話がひっきりなしにかかってくる」と漏らしたことがあった。つまり、自分たちの希望を叶えてくれる可能性を立花氏に見ていたのだ。しかし立花氏は言う「自分はNHKの事しかやらない」「他の事はできない」と。元々ワンイシューで当選しているのだから、当然と言えば当然の主張であるが、投票した有権者との意識の乖離が顕著になりはじめたことに、立花氏は気付かない。

そのタイミングでの突然の辞職であった。
それでもまだ、当選の可能性もあるため、辞職の時点ではまだ批難の声は多くは無く、まだ応援の声には勢いがあった。その状況が、立花氏の気付きを遅らせることになってしまったのである。

選挙戦は、対立候補と立花氏の一騎打ちとなった。
対立候補は、与野党の応援もあった前埼玉県知事でだった。選挙演説や広報活動にこれといって花は無かったものの、大方の下馬評では前埼玉県知事の候補者が優勢であった。
対して立花氏は、先の参院選(参考※01)同様、主にNHK批判、そして「既得権益をぶっ壊す」と連日街宣運動を行った。確かに、対立候補者は噂では「既得権の塊」と言われている部分もあったようだが、このとき主張した「既得権益をぶっ壊す」が、後にブーメランとなって立花氏自らに刃を突き立てることになるのだが、それはまた別の話としてここでは割愛する。

この参議院埼玉補欠選挙(参考※12)は1議席の争いとはいえ、テレビ局をはじめ、大手のメディアではほとんど報道されなかった。NHK関連以外の具体的な政策が無いワンイシューであったため、「悪名は無名に勝る」を謳い、ほぼ売名のみが武器であった立花氏は、深刻な劣勢状況を悟り、またもや奇抜な作戦に出る。

立花氏は、こともあろうか選挙期間中に突然、徹夜で麻雀を打ったのである。これにはさすがに賛否両論が巻き起こった。
「諦めるの早い」「ふざけるな」「笑える」などの声があった。
立花氏は、「奇抜な事をしたらメディアに取り上げてもらえるかもと思った」と語っているが、もしメディアが取り上げていたとしても、当選までの票に繋がっただろうか。もうこの時点での立花氏は「無名ではない」との見方もあった。悪名で広めた名前に悪名を上塗りするとどうなるのか、少しずつ、それは知ることになる。

そして同時期、立花氏の参議院埼玉補欠選挙(参考※12)の裏で行われていた地方選挙があった。茨城県ひたちなか市議会議員選挙(参考※13)である。N国党からは、党の内外で一定の評価を得ていると言われる川崎穂高氏であった。川崎氏は、カルト化していると噂されるN国党の中にあって、N国党を危険視する一部の者たちからも人柄を評価されている人物である。

その川崎氏の選挙の応援に行った者たちに対し、後日(補選も終わって数日後)、立花氏は信じられない発言をしている。「ひたちなか市に応援に行った奴はバカ。除名したい。」「負けるに決まっていた。」など、いくら負け濃厚の選挙に出ること自体が戦略であろうとも、一生懸命にやってきた者に対して言う言葉がこれとは、呆れる以外の表現が見つからない。まるで「埼玉補選に負けたのはお前たちのせいだ」とでも言いたげである。

負け濃厚の「ビジネス」目的の選挙は、立候補者1人と他数人だけで遊んで過ごしていろということなのだろうか。

負け濃厚の「ビジネス」目的の選挙は、選挙で得られる公金目的のビジネスであると立花氏は言う。
しかし、立候補者やボランティアの方々は、様々なところで自腹を切って活動しているのだ。当選しなければ当人たちは大赤字のはずである。
この立花氏の選挙ビジネスについては、一部では「宗教的要素を含んだ貧困ビジネス」として語られている。

「党首を崇拝している者たちは、自分たちがただの駒として扱われていることに気付かず、見返りの無い仕事に金を使わされ、党首とその身近な人間だけが儲かっていく。」

転落の兆し、遅すぎた自制

参議院埼玉補欠選挙(参考※12)の翌11月、神奈川県海老名市長選挙(参考※14)へ立花氏は出馬する。この出馬の目的は、 同時に行われていた神奈川県海老名市議選(参考※15)に出馬していた三宅紀昭氏の応援であった。
立花氏本人は最初から、市長選は当選しない、と自らその可能性の無さを認めていた。しかし、まだ「悪名は無名に勝る」と言い続ける立花氏は、奇抜な戦術を取る。「海老名をドバイに」「お金持ちの国を作る」など、非現実的と思われる主張を繰り返した。
立花氏の経済的見識の無さは、あちこちで指摘されているので、もうここでは深くは触れないでよいだろう。

立花氏は、「海老名をドバイに」「お金持ちの国を作る」の政策主張を本気だと言うが、聞いた有権者の多くは本気にはしない。仮に冗談や話題作りのためであったとしても、それはそれで有権者をバカにしていると取られても仕方が無いことに全く気付いていないのは、もはや不憫であった。

神奈川県海老名市長選挙(参考※14)を終え、立花氏は同月、すぐさま次の選挙へ手を出した。奈良県桜井市長選挙(参考※19)である。
この頃から、公選法を利用した立花氏のNHK攻撃が激化する。

知事選や市長選といった選挙では、地方議会選挙とは違い、該当地域での居住実態は必要無いのだ。そして、その類の選挙では選挙活動を行う地域は限定されないのである。この公選法の抜け道を使い、なんと奈良県桜井市で出馬しておきながら、東京にあるNHK支局や営業所の前で選挙演説と称して「実質・嫌がらせ街宣」を行ったのである。

これには、有権者からの批難の声が上がったが、誰が見ても当選はしないことが明白だったので大きな問題とはされなかった。しかし、実際に選挙が行われていた地域ではやはり、「有権者をバカにし過ぎだ」「無駄に税金を使うな」などの批判も多く見られた。

もうこの頃には、選挙に出る度に評判が悪くなっていることに多くの人々が気付いていたはずだが、立花氏本人はまだ気付かない。
しかし、この時点でもう、手遅れだと言う意見も散見された。

続いて翌12月、知る人ぞ知るあの騒動が起こる。
立花氏のモラルの無さ・自己顕示欲の強さが完全に露呈したと言われる、「予備校前演説騒動」だ。

それは東京都小金井市長選(参考※20)の選挙演説とは名ばかりの、「実質・嫌がらせ街宣」の最中に起きた。

立花氏が、東京都小金井市以外の地域にあるNHK営業所の前で演説を開始、しばらくして、NHK営業所の隣のビルの予備校から「受験生が勉強中だから控えてほしい。」とのお願いがあった。しかし立花氏は、「NHKが悪いことしてるからこんなことしてるんですよ!」「文句あるならNHKに言って!」「違法じゃありません!」もう滅茶苦茶である。
仮にNHKが悪の組織だったとしても、それを咎めるために他人を犠牲にして良いわけがない。他者に迷惑をかけて良い理由にはならない。
立花氏の主張は、違法ではないだけで、モラルに反しており非常識だという指摘は多くあり、その批判はそれから数日間続いた。

実際に選挙期間中の地域内での街宣活動であったならば、おそらくこの騒動は起こらなかったはずである。「その地域が選挙中である」という認識がある場合は、事前にそうなることが予想できるし、仕方ないという許容の心がはたらく。そうして普段の選挙は特に問題が起きずに行われている。
この騒動が起きた一番の原因は、NHKがそこにあったからではない。予備校が隣にあったからではない。選挙が行われていない地域で街宣活動を行ったから、という以外に有り得ない。
選挙地域内ではあるはずの、事前の心の準備が、地域外ではなされていないのは当然である。その気配りすら理解できない者が、多数の有権者に認められることは無いだろう。

結果、立花氏は、得票678票、得票率1.7%、国政政党の党首とは思えぬ驚くべき汚点となる数字を残してしまった。(総有効投票数40415票)
これが、「悪名で広めた名前に悪名を上塗りした結果」の民意である。

この後、立花氏は、「こんなに嫌われているとは思わなかった、もうしばらく選挙には出ません」と、方向転換を余儀なくされたかのように見えたが、「予備校と受験生に謝るべき」という意見に対し、「悪いと思っていない」と発言している。本質は何も変わっていないようだった。

一連の騒動の動画は至る所で拡散され、多いものは1本で百数十万再生されている。立花氏は以前から「数年後に選挙権を得る世代の子たちや、20歳前後の若い世代から支持を受けている。」と語っていたが、この件以降、若い世代からの支持については徐々に語らなくなった。

選挙とは違う別件だが、同月23日、一足早いクリスマスプレゼントとしてN国党・立花氏へ向けて、ある記事が公開された。あの有名な「地裁(一審)と高裁(二審)ともにスラップ訴訟(恫喝・威圧目的)認定」を受けて、N国党・立川市議会議員が裁判に負けた相手の男性からであった。

簡単にだが要点だけを説明すると、その男性は以前からN国党・立花氏を取材しているフリージャーナリストであった。その男性は早い時期からN国党・立花氏の危険性を指摘しており、双方の間で裁判を含む様々な諍いが起きている。その男性には、あるときから自宅に大量のパンフレットや試供品などが届き始めた。中には代引きの物や生き物まであったという。
その早目のクリスマスプレゼントの記事には、なんとその大量パンフレット送付に関する犯人に迫る内容が暴露されていたのだ。これが一部でしばらくの間騒動となった「大量パンフレット送付犯人暴露騒動」である。

その男性は記事の中で、「立花氏、及び複数の党員と関係者が関与していることが判明した」と記している。

この件に関しては、本記事の選挙の話とは逸れてしまうので、記事の内容や成り行きなどの詳細は割愛するが、立花氏は同日中にライブ放送で反論、その男性を名誉毀損で訴えることや、「その男性の記事を拡散することに協力したとみられる他の一般人も訴える。」と発言した。
その男性への提訴についてはその後の進捗は不明であるが、「協力したとみられる他の一般人」相手の訴訟については、その後一切触れられていない。
もうお気付きの方もいらっしゃるだろうが、それら全ての提訴はまたしても「スラップ訴訟(恫喝・威圧目的)」となる可能性が高い。

一般人の意見の中には、立花氏に対して、「言ったことをすぐ忘れる」「自分が何を言ったか覚えていない」「思いつきでしゃべり過ぎ」という辛辣なコメントも散見される。そしてその数は、日々増していっているように見受けられる。

その男性は「あとは法的にやるべき事を粛々と進める」と明言している。

そのような出来事もあり、少なからず世論の動きに気付きはじめたようだが、流石に遅すぎる。それから間もなくして、自らを省みることができないN国党・立花氏は、過去と現在において、その是非が問われることとなる。

低迷と迷走、別角度からの刃

年が明けて2020年01月10日、例の少し早かったクリスマスプレゼントの余韻も冷めやらぬ中、またしても、モラリストたちの矢が打ち込まれる。

NHKから国民を守る党、及び立花孝志党首、所属の現職議員、それに近しい支持者に至るまでが偽計業務妨害で刑事告発されたのである。
告発の際、司直に持ち込まれた証拠資料は、複数の弁護士の指導の下で作成され、なんとダンボール16箱分にも及んだという。

本記事の本筋である選挙とは別件の話しではあるが、N国党・立花氏を語る上で大切な事柄なので触れておきたい。

以前から、N国党の行っているNHK集金人撃退行為については批判があった。確かに、威圧的であったり横暴な集金人も中にはいるのであろうが、大半の集金人は善良な普通の労働者である。極一部の悪質な者だけを取り上げて、あたかも全体がそうであるように思わせるやり方は、日頃からN国党や立花氏が批判していた印象操作そのものではないか。
そしてその指摘を終始無視し続け、自分たちの主張と行為を強引に正当化してきたのがN国党と立花氏である。

そもそも、「NHK受信料は支払わなくても良い」という発言と主張をする際、こと細かな説明は絶対義務であると考える。それは、法律違反の可能性や、延滞金の発生、支払いを求める裁判になる可能性とその負担、ひいては銀行口座や財産の差し押さえ、そこまでいってしまうと信用情報にまで関わってくる可能性まである。とにかく問題点が多い。
下手をすると、一般人の人生そのものまで壊しかねない。

しかし、「NHKを見ている人は払いましょう」「テレビを持っている人は払いましょう」という説明が、時折立花氏が動画の中で言うだけで、街中で活動中の現職議員や支持者、党のコールセンターも含め、説明義務を常に果たしているという主張を見かけることは多くは無い。

こういった事情、本記事で述べてきた事も含め、全体的に様々な事を考慮し、この危険な活動を続ける集団を放置することはできないとして決行されたのが、この告発であると思われる。

そしてこの告発後、しばらくは一部界隈が騒然としていたが、立花氏や党員現職議員などから、一度としてこの件について語られたことは無い。
知らないはずは無いのだ。立花氏本人は常に関連動画や記事での自分の評判や扱いを気にする性格であるし、知らせている者たちも多いはずなのだ。
知らないわけがないのに、知らないフリをしている。この意味とは。

実はこの告発から後、立花氏の発言が至る所で変わっていく。
例えば、「NHKのスクランブル化には衛星放送で20年かかる」と言わなくなったのである。その後のある会見で立花氏は、「早くて3年」と言い方を変えている。この「3年」という期間、後述でも出てくる期間なのでしばらく覚えておいて欲しい。また、「ゆっくりのんびりやっていく」と何度も繰り返し余裕を見せて語っていたが、「自分がいなくなったら」「自分が逮捕拘束されたら」など、危機感を持ち始めたことを匂わせる発言が増えていったのだ。

N国党・立花氏への告訴・告発に関しては、複数の者たちから複数行われているとされている。しかし、国政政党であること、国会議員擁する公党の党首であること、公共放送局であるNHKに関わっていることなどもあり、警察や検察としても慎重に成らざるを得ないのは素人目にも明らかである。
だが、数多行われたとされる告訴・告発に対し、「不受理の連絡」を受けたという発表も知らせも、噂すらまだ見当たらない。告訴・告発からの経過日数が長ければ長いほど受理率が上がっていく、という点を考えるならば、N国党・立花氏としては、静かに月日が過ぎていくのは恐怖であるはずだ。

しかし、一部の信者と呼ばれる熱狂的支持者は、この「何も起きずに過ぎていく日々」を楽観視する者も多い。
最初の告訴が行われた脅迫罪の公訴時効は3年。その後の複数の告訴・告発を考慮するとプラス数ヶ月である。日本の検察が起訴した刑事裁判の有罪率は99%と言われている。複数の告訴・告発が同被疑者であった場合の扱いとは、なぜ99%もの有罪率があるのか、なぜ告訴・告発からすぐに起訴されないのか、少し考えてみればわかりそうなものである。

そして、告発を行った人物はこう語っている
「立花氏が怖れているのは、逮捕だけだ。」
もう一度記す。公訴時効は3年だ。

話を選挙に戻そう。
告発騒動で揺れる中、2つの地方選挙にN国党は出馬を行っていた。
茨城県取手市議会議員選挙(参考※23) 岡本ゆきのぶ氏の出馬と、埼玉県吉川市議会議員選挙(参考※24) 鬼沢ひろたか氏の出馬である。

茨城県取手市議会議員選挙(参考※23) 岡本ゆきのぶ氏に関しては、選挙期間中にインフルエンザにかかったらしく、それでも休まず選挙運動を行ったという意気込みは素晴らしいが、インフルエンザは感染病である。他者への影響も考慮するならば休むという選択肢もあったはずだが、ここではこれ以上問わずにおこう。
注目したいのは、公党党首・立花氏が現地へ応援に行った選挙で落選したという事実である。立花氏が応援に入るということは、ビジネスとしての選挙ではなく当選目的であったと思われるが、結果は落選である。
立花氏は応援演説で、「法律なんて守らなくていい」と連呼しており、自らの遵法精神の無さを主張して回った。勢いと人気の在った先の参院選時(参考※01)ならいざしらず、散々評判を落とした状況でのこの発言は、自分で自分の傷口に塩を塗っているようなものであった。他人から自分がどう見られているか、状況を理解できていなかったようだ。

吉川市議会議員選挙(参考※24) 鬼沢ひろたか氏の選挙は、「ビジネス」としての選挙だと位置付けされていたが、一部では叛乱とも言われる出来事があった。選挙をビジネスとして成り立たせるには、党お抱えの印刷会社などを使う必要があるが、鬼沢氏は党指定の印刷会社を使わなかったのだ。
党指定の印刷会社は、これまでの選挙で印刷ミスや誤記載などが数回あり、一部の候補者からの信用を失っていたと見られる。選挙において、印刷ミスや誤記載は、場合によっては大問題である。その点を懸念し、鬼沢氏は指定の印刷会社を使わず、別の印刷会社を使用したと言われている。
つまり、「ビジネス」目的の選挙として成り立たなくしてしまったのである。N国党・立花氏としては、ビジネスにもならず、落選濃厚の選挙では意味が無いとして、鬼沢氏を叱ったという。
現在も、党指定の印刷会社は変わっていない。

「ビジネス」目的の選挙が意味を成さず、当選目的の選挙も落選する。
N国党・立花氏の表情や態度からは、以前の余裕と威厳は感じられなくなってしまっていた。

信頼の崩壊と自己保身

翌02月となり、N国党内では期待されていたとされる選挙を迎える。
埼玉県新座市議会議員選挙(参考※26)小野沢たけし氏の出馬である。
党内では屈指の人格者と称され、評判も上々の小野沢氏の出馬ということもあり、応援に駆けつけた現職地方議員やボランティアは多かった。立花氏も応援演説に入り、総力戦であった。
そんな中、他党の者が挨拶と質問という名目で、選挙運動中の小野沢陣営を訪れていたときに事は起こった。
小野沢氏と他党の者が話す光景は、Youtubeでライブ放送されていた。2人の会話中、それまで小野沢陣営の者と思しき人物が、手に持ったスマートフォンに「わいせつ画像」を表示させ、それをライブ放送に写り込むように現われた。法的には、わいせつ物頒布罪、または迷惑防止条例違反である。

他党の者が「なんですかあれは!」「N国の人じゃないんですか!」と指摘するも、小野沢氏は、「あの人は関係ないから」と、その者の行為を静止も咎めもをせず、ただ無関係を主張した。

ここで考えていただきたい。このような行為が身近であった場合、まずは、その者に「やめなさい」と注意するのが先ではないのか。例え自分の知り合いや関係者かどうかに関わらずだ。たったひと言の注意すらせず、なぜ最優先で取った行動が無関係であることの主張なのか。
その後、その者と小野沢氏含む関係者やスタッフは、何事も無かったかのように仲睦まじく選挙運動を続けた。

総力戦で挑んだということもあってか、当落ラインから約70票を超え、小野沢氏は当選を果たした。

一方、同時期に行われていた選挙がもう1つあった。
愛知県弥富市議会議員選挙(参考※27)である。 立候補者は宮部英雄氏。彼はいわゆる落下傘候補であったが、選挙自体は「ビジネス」目的であったと言われている。選挙中や結果などは特に問題は起こらず、落選であった。
しかし終わってからN国党内部で、「ビジネス」目的の選挙に関して、立候補者とボランティアを含め、衝突が起きたのである。

組織内部での衝突、それ自体は、より良くしていこうとする意思によるものであるならば、特に問題視する必要は無い。今回のケースもそれに当たると思われるので、衝突の詳細には触れないでおく。

問題だったのは、愛知県弥富市議会議員選挙(参考※27)に応援にも入らなかった現職地方議員の発した言葉だった。
党の方針や自身の発言に従わなかった他立候補予定者やボランティアを、「虫ケラ」呼ばわりしたのである。
その現職地方議員は以前にも、「現職以外は党とは無関係」「現職党員以外は部外者」「部外者は黙ってろ。いちいち興味持つなカス」などと発言してボランティア含む多くの有権者との軋轢を生んでいる。
仮にもこれが、以前は党内No.2と言われた現職地方議員の発言である。

公党とは、そして議員とは、地域や国に住まう市民のために従事し、平和で安全な暮らしを守ることが仕事であり使命ではないのか。それが、自分たちを支持する者たちに対しても「部外者」と一蹴し、「虫ケラ」と罵り威圧する。市民の声を聞く耳を持っていないと言われても仕方が無いだろう。

これが、立花氏の育てた組織・N国党であり、その所属議員たちの実態であるのかもしれない。

有権者として、考えるべきこと

今年の秋以降と噂されている次期衆議院選挙、N国党・立花氏は「美男美女作戦」なるものを掲げ、そのための準備をしていると言う。

「美男美女作戦」とは、簡単には、とにかく若い候補者を立てることだ。もう少し詳しく説明すると、「若い候補者には、無党派浮動票でよくわかっていない人たちがイメージだけで投票してくれる(立花氏談)」ことを狙った戦略だ。これは投票データを分析すると、あながち間違った狙いではない。政界の若返りを望む人、自分の1票を軽く見ており人気投票気分の人など、この作戦により投票するであろう人々は一定数いることは事実なのだ。

では、その「美男美女作戦」の中身がどんなものかを解いていこう。
まず、小選挙区での立候補予定者たちの第一条件は「若い」こと。20代なら大歓迎、30代でも良し。といったところだ。次に、立花氏は性別を重視している。「女性」であることが重要だと立花氏は発言している。
大きな条件は上記2点だが、お気付きの通り、経歴や政策、信条といったものは考慮されていない。この「美男美女作戦」の大筋は、若い女性で票を釣ることにあり、小選挙区立候補者予定者は元々当選することを目的としておらず、作戦に釣られた比例票の獲得が目的とされている。これは、見た目やイメージだけで投票してしまう有権者を狙った戦略なのだ。

また、いくつかの小選挙区と比例名簿の上位には、著名人が名を連ねることを目指しているように見受けられるが、政治家に向いて無さそうな者や、政治に関心の無さそうな者も混在すると思われる。これもまた、見た目やイメージだけで投票してしまう有権者を狙う戦略の1つであろう。

有権者をバカにしているのでは。と、お思いになられた方も多いだろう。

もし、「経歴・政策・信条を不問で立候補した若い者」たちや、政治家に向いて無さそうな者や、政治に関心の無さそうな著名人が当選した場合、そのまま国会議員になって仕事ができるか。と疑問が出てくるのだが、そこでこの作戦の第二段階が発動するのである。

入れ替わり作戦である。
国会で働く能力の無い者や、政治家をする気の無い者が当選した場合、その者たちを辞職させ、比例の繰り上げ当選を利用して、わざと入れ替わるのが目的なのだ。故に、著名人なら誰でも、政治家に向いて無さそうな者や、政治に関心の無さそうな者、犯罪の前科者(裁判中や執行猶予中含む)まで、ただ有名であるというだけで勧誘して回っているのである。

さらに言うと、おそらく街頭演説などで人前に姿を現し、声高らかに演説を行うのは、「小選挙区で当選しない前提の若い男女」ばかりだと思われる。比例の繰り上げ当選を狙う比例候補者たちや、人気票集めのための著名人たちは、ほとんど顔を出さない可能性が高い。

学歴や経歴がそれなりの人物を比例候補として用意されているのかどうかは不明であるが、どこの誰かもよく知らず、何を考えているのか、何をしたいのか、その本人の主義主張を十分に周知されないまま、どこの誰かもわからない者が入れ替わって国会議員になる可能性。それが「美男美女作戦」であると思われる。
最終的に入れ替わる人物は、果たして、有権者に選ばれた議員なのか。疑念を抱かずにはいられない。

そして、小選挙区で落選した者たちには、「その後に地方議員の椅子を用意する」という条件で人数を募っている。まるで就職斡旋業者のようである。小選挙区の立候補予定者の中には、Youtuberや無職の者など、今後の先行きに不安を抱えている者も見受けられるようだ。そういった者たちには、この作戦は「地方議員への就職」として「棚からぼた餅」なのだろう。

政治家に向いて無さそうな者や、政治に関心の無さそうな著名人、今後の先行きに不安を抱えている者たちまで利用するこの戦術は、無知な民衆を対象にした公金ビジネス・選挙ビジネス、協力した者への就職斡旋までもを含めたものであるように見える。

NHKから国民を守る党には、総額5億円以上とも噂される借金があり、多くは一般人からの借り入れだとされている。「寄付を募るのは、忖度が生まれるからしない」と言いながら借金をし、借り入れた相手には高利の利子(初年・年利10%)を謳い文句に資金を集めているのである。
そして、その返済計画として語られるのは、要約すると「選挙に勝って政党交付金が入るので返せます」が大筋の説明なのだ。
別件であるが、立花氏は「この国の法律は借りた金は返さなくていい」「裁判に負けた金も踏み倒していいんですこの国は」と発言している。

一連の騒動の後、「しばらく大人しくしている」と立花氏は発言していたのだが、2020年03月14日、NHKから国民を守る党の関係先へ警察の家宅捜索が入った。容疑は「威力業務妨害罪」と「不正競争防止法違反」。本記事公開時現在、まだ捜査中であることや余罪についても現在は不透明であるため、今は詳しく扱わずにおきたい。

ここまで読みくださったあなたは、どうお考えになられるだろうか。

有権者の1票とは、自分の想いや願いを人に託すためのものだ。ただの人気投票でも、他人にビジネスをさせるためのものでも、ましてや、就職させるためのものでもない。だからこそ、自身の主義主張を唱え、政策や信条を訴える人に与えなければいけないはずなのだ。議員とは、名実ともに「有権者に選ばれた人」であって欲しい。皆様にも今一度、その点について考えていただきたい。


これまで、N国党・立花孝志氏、及び所属議員、立候補予定者などについて、その思想・信条・性質・あり方について、モンキーポッド(私)なりの見解を述べさせていただきました。

政界は問題だらけだと言われる昨今、何が足りなくて、何を間違えてこうなってしまったのか、しっかりと考えなければいけない時期にきているのではないかと思っています。

自分を含む人々が、平和で安全な生活を安心して送れるように、今、政界の内でも外でも活躍されている方々が沢山おられます。
そのような方々とは全く違うベクトルを進もうとするN国党・立花氏は、果たして評価するに相応しい人物なのでしょうか。立花氏の掲げる「NHK問題」が、仮に百歩譲って早急に必要だとしても、立花氏でなければ成し得ないことなのでしょうか。

立花氏の他にも、NHKに改革は必要だと仰っている政治家や活動家はおられます。そしてその方々は遵法精神を持ち、まず多くの市民を守ることを考えた上での政治を行っているのです。また、現在の総務大臣とともに総務省も着々と少しずつ進めていることは、周知の事実であります。

N国党・立花氏の立ち振る舞いは、奇抜で目を引くこともあるかと思われます。しかし、立花氏のこれまでの発言、行動、結果を追って見ていくと、多くの矛盾点や疑問点が浮かびます。皆様も、決して、昨日今日だけの発言だけを鵜呑みにせず、過去に遡って一貫されているのかも合わせて吟味されることを切望いたします。

(終)

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

モンキーポッド 関連記事

N国党・党員と支持者の問題行動
N国党・立花孝志党首の問題発言
N国党・立花孝志党首の裁判履歴
N国党・立花孝志氏の職歴詐称疑惑とは

本記事の続編はこちら
→ N国党・立花孝志 vs モラリスト ①

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
本記事を印刷して、ご家族や友人知人と意見交換をしてみてください。

インターネット上では、時折上記の記事内容のような事の是非を問う論争が起きていることを、日常的にあまりインターネットに触れない実社会の方々は、ご存知無いだろうと思います。そのため、なるべく印刷がしやすく読みやすい形で構成しておりますので、ぜひ上記の記事を印刷して、ご家族や友人知人と意見交換をしてみてください。

政治家や政党の思想・本質がいかなるものか、また、その判断をして答えを出すことも国民の義務だと考えています。