ひとつ、質問。【超短編小説】
魔法は、ありとあらゆる所に在る。
魔法は、ありとあらゆる人に宿る。
魔法が単なる想像でしかなく、不存のものであるとされているのは、"夢"を見ることのない者、諦めた者、捨てた者が多いからだ。
よく目を凝らして見れば、それは足元にさえ転がっている。よく耳を澄ましてみれば、それは風の音にさえ混じっている。
「不思議に思ったことはないかな。電車の中にいる、何の本だかわからないものを読んでいる人。町中で見かける、瞬きの間にどこかへ歩き去ってしまった人。ふとした時に感じる、背後を通り過ぎ