若林明良

わかばやしあきら と読みます。

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  • NHK俳句・短歌・文芸選評、💢没った💢エッセイ

    NHK俳句・短歌・文芸選評投稿作や、没になった300字のエッセイです。 自分の記事の中ではそこそこ人気です。

  • 創作短編・短歌・俳句・川柳・詩

    恋愛あり、ナンヤコレ?っていうのもあり。短めです。

  • エッセイの数々

    日々思うことのつれづれ。短歌・俳句もたまに入ってます。

  • 140字小説

    140字の小説を3編づつ掲載しています。

  • 音楽に寄せる愛シリーズ

    音楽に寄せる愛を、短歌・俳句・エッセイなどで綴りました。

最近の記事

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余白の神様 #短編小説

 夏。僕は「豚の警察」という本をお母さんに買ってもらった。読んでいて、僕はだんだん腹が立ってきた。話のすじ自体は面白いのだが、余白があまりにも多すぎるのだ。上下、左右、そして段落の間の余白が。 「なんだよ、これ。1760円もするけど、ぼったくりじゃん。余白をぎゅっと縮めたら、半分になるよ。そしたら880円で買えるのに」  僕は本の最後に印刷されている出版社の電話番号に電話した。 「はい、夏耳社でございます」 「こんにちは。中学一年の近藤貴志といいます。あの。『豚の警察

    • 自民党総裁選

      暑いです。いや、熱いです。自民党総裁選が熱いですね。私、特に支持する政党はないんですけど、今回ばかりは私の中で今までになく盛り上がっております。というのもコバホークさん。私はこの方をみると高校の同級生だったK君を思い出すのです。道徳の授業中に女性教師に教科書の背で頭を殴られその後教師とディベートしていたK君。K君もコバホークさんと同じ東大へ行きました。いまどうしているのかわかりませんが・・・ 内閣総理大臣指名選挙を経てからの話ですが、考えてみれば、同級生が総理大臣になるよう

      • ノブレス・オブリージュ

        サトウのアイスクリーム屋がオープンして一ヶ月が経った。おかげさまで連日大繁盛している。 それもそのはず、原価千二百円のものを百円ポッキリで売ってるのだから。大赤字だが遺産はまだふんだんにあるので運営資金には困らない、しかしサトウは悩んでいた。というのもサトウが目指していたのは「マクドナルドのツイストのように食べたそばから食べた記憶がサッパリ消える、前に出ない、本物のアイスクリーム」なのだから。 銀龍ラーメンの芳醇なスープの味を邪魔しない。刺身と一緒に食べても刺身の味を邪魔

        • 銀龍の尻尾

          大阪ミナミ・道頓堀すぐそばの銀龍ラーメン道頓堀店。言わずとしれた人気観光グルメスポットである。二十四時間営業、ラーメンは一杯八百円から。一九八二年より営業するこの店はミナミ界隈で働く庶民の胃袋を昼ともなく夜ともなく支えてきたのである。さて秋晴れの正午、店舗前の路上にて僧侶十名による読経が行われていた。店の壁に立てかけられた長脚立には電動鋸を担いだ屈強な男が立ち、彼もまた神妙な面持ちで念仏を唱えている。 この異様な光景を取り巻く群衆、マスコミで路上はごった返し、上空にはヘリが

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        記事

          ひとり大喜利3

          ウフフフフフフフフフーッ まーまーまーまーまーまー 昔は野原を遊んでて、どぼんと肥溜めに、 こうなることはふつうでした。 NHKマスコットキャラクター 没作品 猛暑で変形したソファ 猛暑で収縮したいのちの輝きくん アルテミス計画公式宇宙服 動いたら漏れそうでトイレ行かれへん

          ひとり大喜利3

          公募ガイド8月「小説でもどうぞ」感想

          今月はだめでした。残念、でもここ最近続いてたのが奇跡のようでした笑。今後もアイデア出る限り出し続けます。今月のテーマ「最後」、何作か感想書かせていただきました。 佳作「嘘ばかり」有原野分さん 一番気になったのがこちらです。私、ぎくりとしました。この回の締め切りが5月31日。上司のパワハラにより鬱になった主人公は復讐のために偽装自殺を企てます。で、いまニュースで上げられている某地方自治体首長に関する騒動(敢えて詳しくは書きません)が起こったのがその後。なんだかオーバーラップ

          公募ガイド8月「小説でもどうぞ」感想

          NHK文芸選評への投稿作・7月

          自作を載せてない回は出しそびれました。 7/6 短歌 選者:川野里子先生 兼題:スプーン 実家から一緒に越したスプーンはひとりの部屋でもすくってくれる 鹿児島県 佐藤橙さん ひとりで、ひとりを感受している作品にどうも惹かれます。スプーンなんか引っ越し先で百均で買えばいいのに(と考える私は何かが貧しい)、持っていったのですね。小さい頃から愛用しているものなのでしょうか。あるいはプレゼントされたとか、思い出のスプーン。なじんだ材質や窪みのかたち、とにかくそれでないと自分の心

          NHK文芸選評への投稿作・7月

          ラージャ、デパートへ行く #童話

          ユミは今日、どうぶつえんに来ています。お母さんがトイレへ行っているあいだに、ユミはラージャのおりへ戻りました。 ラージャは先月、インドのジャングルからこのどうぶつえんへ来たばかりの、若いオスのトラです。ネコが大好きなユミは、大きなトラネコみたいなラージャに、どうしてももういちど会いたかったのです。 ラージャったら、大きなあくびをしたあと床にごろんところがって、くねくねして、本当に大きなネコみたいにかわいい。 ユミがじっとみていると、ラージャと目が合いました。 「そこの

          ラージャ、デパートへ行く #童話

          夏の夕ぐれ #エッセイ

          二十年ほど前、当時飼っていた犬を連れて、夕方、散歩をしていた。 いつものように村の周囲をぐるっとまわって、いつもの竹藪の手前まできた。 竹藪の前は農道を挟んで田んぼになっている。 農道のきわには大きめの石が置かれている。 そこに、小さなおばあさんが座っていた。 普通に洋服をきているが、その姿をみた瞬間、全身総毛だった。 このおばあさん知らない。村の人じゃない。 というか、なんだか違和感があって、たぶん ――生きている人じゃない―― 恐怖で硬直して、足が進まない。 犬も

          夏の夕ぐれ #エッセイ

          お盆の茶色いおかず #NHK俳句季節往来

           子供の頃、お盆の食卓に必ず二品があった。「ずいきの和え物」と「ぜんまいと厚揚げの炊いたん」である。ずいきとは里芋の葉柄。皮を剥き、茹でて生姜醤油で和える。  皮を剥くのは私たち子供の仕事だったが、指が痒く、黒くなるし手間がかかる割においしくない。炊いたんも茶色×茶色の地味なおばんざいで、ただ甘辛いだけの退屈なおかずだ。  大量にあるこれらを三日かけて消費しなければならない。一方、この期間は集まった親戚の男たちの酒盛りが煩く、罰当たりだが、お盆とはただ面倒な行事だなあと思って

          お盆の茶色いおかず #NHK俳句季節往来

          光る君へ #書く人視点での感想

          藤原賢子が産まれ話も後半へ。自分の子じゃないのに妻・まひろへの宣孝の「一緒に育てよう。それでよいではないか」。左大臣(妻の不倫相手の道長)に引き立てられる計算高さが確かにあるかもしれないけど、これを言える宣孝の懐の深さと佐々木蔵之介さんの表情。涙腺崩壊しました。 さて、まひろと同じく・・・とはいっても私は創作の端っこの端っこにいる人間ですが、「物語を書く」立場から見て、これまでの萌えた場面を挙げてみました。 1.少女時代のまひろ、自分はやんごとなきお姫さまであると三郎(後

          光る君へ #書く人視点での感想

          新築の一番風呂 #SS

           昔、新聞の悩み相談コーナーで見たある投書は非常に印象深いものだった。 「念願の新築を建てた。さっそく一番風呂に入ろうと思い急いで帰宅したら、義母が来ており『お風呂、先にいただきました』と言う。主の私を差し置いて、なぜ勝手に先に入るのか、それも新築の一番風呂を。それを許した妻に対しても怒りの収まりようがありません」。  これに回答したのはさる著名な男性作家※であった。彼いわく「昔から『新築の一番風呂に家主が入ると災いが起こる』との言い伝えがあります。お義母様はこれを知っていた

          新築の一番風呂 #SS

          垢男 #SS #公募ガイド佳作

          昨日発表の「小説でもどうぞ」にて、佳作をいただきました。 おおおお良いことが続いております! 公募ガイド様、スタッフ様、選考に残していただいてありがとうございます😄 今回は選外佳作から一段階ステップアップして、なんと高橋源一郎さんと江國香織さん両者から評をいただきました! 江國さんの評がハッキリしすぎていてすごい。「ばかばかしいことをまっすぐ書いているところがいい。」「正論すぎる、骨格だけで血肉なし」。えぇ!💦 垢男へは「嫌いじゃないですが、すごく面白いとも思えない」。すご

          垢男 #SS #公募ガイド佳作

          短歌で光る君へを10倍楽しもう!感想

          NHK短歌特番(6月30日放送)。もちろん見ました! 俵万智さん&渡辺祐真さんの感想がすごい面白いんですよ。 渡辺さん「藤原公任は祖父も父も有力政治家であったが早めに引退し、彼は政治的にはあまり成功できなかった。しかし今なお、文化人としてはこうして名前が轟いている。そんな公任に重ねて読みたくなる歌です」 俵さん「実態がなくなっているのに名前だけ轟いているっていうのは、いいことなの? って思ってしまう。かつては轟かせてた実力があっても、歌人だったらいい歌人として評価されてい

          短歌で光る君へを10倍楽しもう!感想

          あやめさん #SS #公募ガイド選外佳作

          本日発表の「小説でもどうぞ」にて、選外佳作いただきました。 先月に続いて公募ガイド様、スタッフ様ありがとうございます!😄 今回も選外佳作ですが、プロの下読みさんに「残していいでしょ」と判断していただいたこと、全文載せていただけたのが私、すごく嬉しいんです。 NHK短歌様にも御礼言わなければいけません。おもいっきりネタにさせていただいたので・・・笑。数か月前に、到着日間違いで投稿はがきが(たぶん)締切日に届いてない話をnoteにアップしました(郵便投稿で見落としがちな絶対に気

          あやめさん #SS #公募ガイド選外佳作

          NHK文芸選評への投稿作・6月

          自作を載せてない回は、出しそびれました。。 6/1 俳句 選者:阪西敦子先生 兼題:金魚 叱られて田んぼに流す金魚かな 景品は金魚要らんと言えんわな 大雨のどぶを流れてゆく金魚 すぐ死ぬと云はれすぐ死ぬ金魚かな 神奈川県 横浜J子さん おお、身も蓋もない。夜店で子供が釣った金魚。「どうせすぐ死ぬのにこんなもん買ってきて!アホやなあ」とお母さんに小言を言われ、本当にすぐ死んでしまった。でも、いいのです。かような悲しい経験を経て、生き物は全て死ぬものと子供は悟るのですから。

          NHK文芸選評への投稿作・6月