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NHK俳句への投稿作・6月号

選者:堀田季何先生 兼題「石鹸玉」
しゃぼん玉大人をさぼりたい時間
まろびあふ蝶を掠めてしゃぼん玉
しゃぼん玉年表所々に余白あり

一句目は佳作に採っていただきました。ありがとうございます!


夏蝶の一翅破れてより美し
堀田季何

完璧な状態って美しいことは美しいけれど、人工的過ぎて何か物足りない。だからほくろを付けたり片方の眉を少し上げて描いたりしたりしてわざと崩したと、昔の女優さんの話を読んだことがあります。または美しいけれど性格の悪さゆえにさらに美しく見える妙な感覚とか笑。翅の破れた蝶。そこからが美しいという。均衡の崩れゆえに出現した美。



選者:西山睦先生 兼題「クローバー」
愛さるる怖さ十葉のクローバー
ハンカチを広げ校舎のクローバー
どこまでも犬転がれる苜蓿

一句目は佳作に採っていただきました。ありがとうございます!


銀河系からの着信めだか散る
西山睦

地球以外に生命は存在するか? そりゃーいますよ! 広大な宇宙の中の一個の惑星だけが特別なんてありえない。宇宙飛行士(世界最高峰頭脳の一人)野口聡一さんもワイドナショーで「いるでしょう」と仰ってましたから。銀河系のどこかにいる生命体からの電波をごくごく小さなめだかが受信した。この巨大な絵を想像したらすごくおもしろい。メッセージとしたらどんな内容だったのでしょうか。私も受信したい。

1977年に打ち上げられたボイジャー1号2号に積まれたゴールデンレコード(表題画像)。地球外生命体に向けて地球の様々な言語、音楽や大統領の挨拶、地球人はこういう形してますよっていう男女のシルエットが収録されています。冷静に考えたらとんでもないことするなあと思うんですが、だからね、向こうだって同じことを考えてるかもしれないわけですよ。で、私がはい?と思ったのはこれ、

ビートルズの「ヒア・カムズ・ザ・サン」も収録される予定だったが、レコード会社のEMIが許可しなかったとされる。

なんでやねん。どこかにいる誰かにも聴いてもらったらええやないの?

Here comes the sun, doo-doo-doo-doo
Here comes the sun, and I say
It’s alright

太陽が出てきた
太陽が出てきた そして僕は言う
大丈夫だ

いやちょっと、この歌詞涙出てきたわ。



選者:木暮陶句郎先生 兼題「菜の花」
菜の花の入りて花束軽うなる
菜の花や向こう岸から雨にとけ
菜の花やひとつの町を雨包む

沈黙にジャズ滑り込む秋の宵
木暮陶句郎

ふだん饒舌でも本命の前では寡黙になっちゃう男性が、いますね、この作中主体も、そうなのでしょう、会社の飲み会のあと、思いを寄せる女子を誘って、こっそり、二次会に流れてゆく皆から離れ、バーへ、ついてきた、この時点で脈ありと考えてよいでしょう、よしよし、ギムレット(なんかかっこよさげだし)、と、私はチャイナブルーで、チャイナブルーか、この子のチャイナドレス姿すてきだろうなあ、なんて妄想しつつ、マスター、ギムレットとチャイナブルーで、マスター内心、あほやなあ〈長いお別れ〉やのに、饒舌な男、意識すると急にしゃべれなくなってしまった、先輩さっきまでうるさかったのにどーしたんですか、女子が、しかたなく仕事の話なんかする、ぼそぼそと、会話、相槌、沈黙・・・そこへ、マスターが気をきかせたのかもしれぬ、いい感じのピアノが、流れてきた、夜は闌けてゆく、秋だ。



選者:高野ムツオ先生 兼題「辛夷」
花辛夷付箋あまたの全句集
花辛夷栞に記す詩のかけら
花辛夷ゆれて校舎を遠ざかる


電車つて熱帯魚だと思はない?
千葉県 岡本恵さん(7月号)

この句、見た瞬間に惚れました。電車が熱帯魚ってなんちゅう発想や! とにかくモダンで素敵! ってびっくりして。色とりどりの電車が駅に入ってきてまた出ていく、環状線ならぐるぐる回ってる、あの様子は上から見たらなるほど水槽の熱帯魚に似ていなくもない。こんなん思いつきませんよ。思いついてもこんな気怠げで魅力的なセリフ仕立てにするの天才じゃないですか?

旧仮名で雰囲気たっぷり、瞬間的に私の好きな紅の豚のジーナさんが言ったらぴったりだと思って、コラボしちゃいました。勝手にごめんなさい💦