nana

日常と音楽。 やや頻繁にスピッツ。

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マガジン

  • 美しい癒しの風景

最近の記事

ひとを好きになるのには時間がかかるけれど、そうでなくなるのには... とぼんやり思う真夜中 変わらないものなんてないのだけれど 少し寂しいね 〜時間は流れていくし、人も流れていく。  変わらずにはいられないんだよ     江國香織『きらきらひかる』

    • 永遠解く力をください

      26年間の命から溢れ出る言葉はキラキラと涙の雫となって心の深い部分へ染み透っていく。   切れやすい糸でむすんでおきましょう   いつかくるさようならのために 作者の笹井宏之さんは26歳という若さで2009年に夭折した歌人。身体表現性障害という病で療養されていた。 身体表現性障害とは、自分以外のすべてのもの、例えば本や音楽、街の風景、誰かとの談話、木々のそよぎ...どんなに心地よさや楽しさを感じていても、それらは痛みや吐き気、痺れなど耐え難い症状をひき起こし、心身に苦痛

      • 猫を追いかけて(2)

        2024年、元日早朝に家のインターフォンのベルが鳴った。静かな朝の住宅街、もしかしてという胸騒ぎに階段を駆け降りる。 玄関を開けると知らないご婦人が車を停めて立っていた。 「あの、探されていた猫は見つかりましたか?」 あの子の情報⁉︎ひょっとして保護して連れてきてくださったのだろうか。 「いいえ、まだ...」車の方に思わず視線が走る。ご婦人の方も興奮気味にスマホをなぞり、画像を探っている。 「今朝うちの庭にね、似ている子がいて写真を撮ったんです!」 スマホを覗き込むとそこには

        • 猫を追いかけて(1)

          あの日から私の生活は一変した。我が家の大切な家族だった猫が突然姿を消したのだ。何の手掛かりもないまま、昼夜の区別なくひたすら捜索する日々。あの子を再びこの胸に抱きしめることを信じて、そして今、またこれから同じ思いをするかもしれない猫飼いさんへの共有として捜索の日々を記録しようと思う。 あの日の午後、私は買い物に出かけた。いつものように玄関で見送ってくれた2匹の猫達に「すぐ帰ってくるからね。美味しいものを買って帰るよ」と頭を撫でて。 2時間後に帰宅した時、しばらく旧実家に戻

        ひとを好きになるのには時間がかかるけれど、そうでなくなるのには... とぼんやり思う真夜中 変わらないものなんてないのだけれど 少し寂しいね 〜時間は流れていくし、人も流れていく。  変わらずにはいられないんだよ     江國香織『きらきらひかる』

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        • 美しい癒しの風景
          3本

        記事

          ある昼下がり

          「美味いチキン南蛮といえば◯◯なんだよね」 話好きの先輩の声がする。パソコンから顔を上げるとどうやら私に話しかけているらしい。 「◯◯ってどこにあるんですか?」 聞けば毎日通っている通勤路、そんなお店あったっけ...?と思い巡らしつつも店名をメモる。 「いや、汚い店なんだけどさ、美味いんだよ。ラーメンもあってさ。ただ量が多すぎるんだよね」 帰り道、教えられた場所には看板が剥げて店名もよくわからない小さなアジトのような建物が佇んでいた。 そして日曜日の昼、私はこの列に並ん

          ある昼下がり

          コトバ以上のもの

          いつも見てくれてありがとう 本の感想も 小さなタグさえも肯定してくれるあなたへ 心が痛む日があっても 私の小さな呟きに 気づいてくれるあなたがいるから 私はまた前へ進める あなたは今 幸せでしょうか 私の知らないあなたの日常のなかで あなたの見ている風景を いつの日か また一緒に眺められたら コトバは大切だと思って生きてきたけれど コトバ以上に人の心を温かく包み込み または傷つけるものがあることを知った 魔法のコトバ / スピッツ

          コトバ以上のもの

          あなたのコレクション 

          今日は少し否定的なことを書く。と、前もって書いておこうと思う。 度々『X』(元Twitter)でアップされる、さる人物の『本棚?』を見かけるたびに心が曇る。 うず高く天井まで届きそうなくらいに積み上げられた本たち。一部屋はそのような本のかたまりで占領されている写真を定期的に出すのは自慢のコレクションなのだろう。 賞賛やいいねが多い中、私は1番下の本はどうなっているのだろうと考えてしまう。長らく読まれることもなく、押しつぶされかろうじて書物の一部として存在するもの。図書館に

          あなたのコレクション 

          君のいた夏

          どこまでも続く青い空に、眩しいほどの白い積雲が広がる。78年前、この地から多くの若い命が空へ向かって飛び立った。 17歳から最年長でも32歳。平均21歳の彼らに会うために4度目の鹿児島知覧特攻平和会館を訪れた。初めて入館した時は、おびただしい遺影と朽ちかけた零式艦上戦闘機に足がすくんだことを覚えている。館内をじっくりと回って改めて思うのは敗戦を迎えるまでの半年間にいったい何が起きていたのかということだ。 一人一人の写真と名前を辿る。凛々しい写真の中の若者の目に絶望の色は見

          君のいた夏

          昨日のままの自分だと、少しつまらないよ

          タイトルは最近読んだ林真理子さんの『成熟スイッチ』からの言葉。 林真理子という人は私にとっていつも新しい視点を与えてくれる作家さんだ。 考えればどうしようもない深みに心が沈んでいきそうな時がある。そんな時に彼女の文章は私の手を掴み、深みから引っ張り出す。 「世の中には耐えなければならないこと、自分の思い通りにはならないことがあることを知りなさい」 自分で選んだ人生は、自分で落とし前をつけなければならない。運の総決算は、いい運と悪い運でいずれはプラスマイナスになるのだと。

          昨日のままの自分だと、少しつまらないよ

          言葉はなくとも

          ぼんやり考え事をしている時に温かく体に触れるもの。気づくと2匹の猫がいつのまにか両側に寄り添っていた。 「どうしたの?」と私に尋ねることもなく無言のままで。 でも彼らの体から「よかったら撫でてもいいんだよ?」のオーラが出ているので、その湿った鼻先に頬を寄せる。ふわふわとした柔らかな胸にたっぷりと顔をうずめる。 ひなたのいい匂い。ぷにぷにした癒しの肉球をそっと握り、その体を抱きしめる。 されるがままを許してくれる愛しい者たち。 自分も無言のまま猫たちの顔にゆっくりと指を滑ら

          言葉はなくとも

          ラジオデイズ

          先週の金曜日は憂鬱な日だった。なぜなら遠く離れた2つの銀行、郵便局に行き、面倒な手続きの数々を済ませなくてはならなかったから。 どこから先に行けば効率的なんだろう。慣れない街中の混んでいる道を思うと気が重い。 車に乗りこんでとりあえず出発。憂鬱な時は関係のない面倒なことまでさらに思い出すもので、車窓の風景が流れる中、小さくため息を漏らす。 運転中は考え事をしてはいけない。気分転換にいつもは聴かないカーラジオに手を伸ばす。 ♬ I know it's a bad idea

          ラジオデイズ

          お忙しい中、いつも読んでくださり、ありがとうございます🙏 ホームに伺うのですが、記事のない方や、全部♡を押してしまっている方はいいねを押す所がなく心の中でいつも感謝しています。 そしてあなたのこれまでの記事とお写真を辿っています。 あなたがお元気でお幸せでありますように🍀

          お忙しい中、いつも読んでくださり、ありがとうございます🙏 ホームに伺うのですが、記事のない方や、全部♡を押してしまっている方はいいねを押す所がなく心の中でいつも感謝しています。 そしてあなたのこれまでの記事とお写真を辿っています。 あなたがお元気でお幸せでありますように🍀

          病室の風景

          このたび2度目の入院、手術を受けて週末退院した。昨年末1ヶ月余りの入院生活に比べれば短い1週間。 出血があるので頭痛や体の怠さはあるけれど、まあまあ本も読めるし昨年よりはまし。と、あの精神的にも辛かった1ヶ月とつい比較してしまう。 「熱が38.5を上回ったら退院は見送りましょう」との主治医の説明に焦る。看護師さんが体温を測りに来るたびにドキドキする。 今回は2人部屋、90近い高齢の女性と同じ部屋だった。 彼女は一日の大半をビーズを使って絵を描いている。右手でニードルを持

          病室の風景

          すべてを嫌う幼さを隠し持ったまま

          様々な文章を読む日常。 簡潔に要点のみ伝えるニュース記事から、好きな作家の作品、また個人で書いた物語まで。 多いのはやはり作家と呼ばれる職業の方々が書いた作品だろう。才能に溢れたその文章は現実を超えた世界を見せてくれたり、静謐な精神世界へといざなったりしてくれる。文章は作家の、というより執筆する人間の根幹となるものを宿すと思っている。 中にはもちろん自分には合わない作品だってあるだろう。人間がみんな同じ価値観ではないように。 まずその作品が嫌いだと思うに至るには、たぶん自

          すべてを嫌う幼さを隠し持ったまま

          自分が幸せを感じるのに必要なのは現実を見つめること。自分の生き方を誇りに思い、自分を大切にすること。 そしてそれは他人に誇ることではない。 自分を現実以上に大きく見せることでもない。 他人から認められるのではなく、自分が自分を認められたらいいではないか と、最近思うのです。

          自分が幸せを感じるのに必要なのは現実を見つめること。自分の生き方を誇りに思い、自分を大切にすること。 そしてそれは他人に誇ることではない。 自分を現実以上に大きく見せることでもない。 他人から認められるのではなく、自分が自分を認められたらいいではないか と、最近思うのです。

          去り際

          三月は別れの季節だった。リアルな生活だけではなく、Twitterで長年フォローしていた方々もアカウントを次々に閉じ、去っていった。 これまでの交流への感謝をツイートに残す方、最後に温かく別れがたい気持ちを残してくださる方... リプしてお話したことや紹介された本を読んだことなどが懐かしく思い出される。 そんな中でアカウント名を変えて思いがけないことをされた方がいた。詳しくはあえて書かない。なぜならアカウント名を変えれば相手に何をしてもわからないと思っている方を責めても仕方

          去り際