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昨日のままの自分だと、少しつまらないよ

タイトルは最近読んだ林真理子さんの『成熟スイッチ』からの言葉。
林真理子という人は私にとっていつも新しい視点を与えてくれる作家さんだ。

考えればどうしようもない深みに心が沈んでいきそうな時がある。そんな時に彼女の文章は私の手を掴み、深みから引っ張り出す。

「世の中には耐えなければならないこと、自分の思い通りにはならないことがあることを知りなさい」
自分で選んだ人生は、自分で落とし前をつけなければならない。運の総決算は、いい運と悪い運でいずれはプラスマイナスになるのだと。

彼女は忙しい隙間時間に本を読み、自分に投資して、誰のせいにもせず自分を俯瞰的に見て楽しむ人。このブレない、したたかとも言える強さに、いつも背中を押される。こんなふうに歳をとっていきたいと、そして生きることを楽しみたいと思わせられる。

淡々と繰り返す日々。時間があっという間に過ぎると感じるのは人生にトキメキがなくなったからだとか。
たしかに「今トキめいていることは何か?」と問われると、即答できない。歳を重ねるにつれてトキメキは失われていくのだろうか。

夏のスピッツのLIVEまで元気に生きていようとか、せいぜいそのくらいだ。生きているのは薔薇色を過ぎたグレーの世界。これは病気を患ったことにも関係があるかもしれない。

ところが皮肉なことに、私は家族に言わせると「グレーがない性格」なのだそうだ。白黒がはっきりしている。

そしてここで言う白黒がはっきりしているというのはもちろん褒め言葉ではない。
何事も時間と共に変化していくものなのに、今すぐに結論を出そうとするところ。特に人間関係はこういうグレーで曖昧なものを残しておいた方があとあと良いのだといつも諭される。

本当にそうかもしれない。結論を急ぐと他者も自分も傷つけて追い詰めてしまう。将来に選択を残しておきたいのなら、今を保留してお互いの成熟を待つしかないのだろう。と頭では理解するのだが、心はそうは簡単に割り切れないから人は苦しむ。


けれどその悩ましい時間の中で毎日同じ日々を繰り返すのではなく、何かを自分にプラスしていきたいなとは思う。好きな料理だったり、外国語の習得だったり、いつか新しい世界を自分に見せてくれそうなもの。

「一つ何かをやると必ず何かを教えてもらえる。
つまりは、何もやらなかったら何も学べないということです」
    林真理子『成熟スイッチ』より抜粋

昨日よりも少し違う自分。そんな成熟スイッチを押してみよう。
ほんの僅かでも日々を重ねれば少しずつ何かが変化する。感動の分野が広がる。...かもしれない。


♬永遠に続くような掟に飽きたら
 シャツを着替えて 出かけよう
 君の青い車で海へ行こう
 おいてきた何かを見に行こう
 もう何も恐れないよ
 そして輪廻の果てへ飛び下りよう
 終わりなき夢に落ちていこう
 今変わっていくよ
          スピッツ『青い車』

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