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【短編作品】ピンチパンダ



そのパンダはピンチであった。




ペンキを持った人間に追いかけられ、白塗りされそうになっているからだ。



このままではアイデンティティを無くしてしまう。




ん?待てよ?



自分のアイデンティティは、果たして本当にその程度のものなんだろうか?



見た目が少し変わったくらいでアイデンティティを失うなんてことはあるのだろうか?




いや、きっと違うはずだ。




そう思ったパンダは白塗りの男たちに真っ白にされることを受け入れてみた。




恐怖を乗り越えた先は面白く、これもありだなと自分で思った。




その程度でアイデンティティを失うことはなかった。




なにせ彼は何があろうが彼自身であることに変わりはないのだから。

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