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【短編小説】夕焼けぼっちのレモンサワー



彼女が家を出て行ってから一週間が経った。



特に理由はないと言われたが、それすら言いたくないほど嫌気が指していることは表情から容易に読み取れた。




そんな顔を見ていたら何も言えなかった。



きっとこういうところも嫌いなんだろうな。



最後の一滴を飲もうとして、グラスにへばりついていたレモンが鼻についた。



あー、またやっちゃった。



バイトがない日に昼から酒を飲んでいる俺を見て彼女はそういうところだよと笑うのだろうか。



それとももう笑ってくれすらしないのだろうか。



カーテンを揺らす夏風は夕方の音を運んでくる。




二人で住んでいたときは狭くてしょうがなかったワンルームがやけに広く感じた。









きっと主人公にふさわしい奴ならここで彼女を追いかけたり、新しい彼女でも見つけて来るんだろう。



あるいは、強くなるとか。なんだろ、筋トレとかかな。



考えても何にもならないことを考えるだけで何か行動を起こすわけでもない。




今の俺を見たらまた嫌気を刺されるのかな。




そうは言ってもこういう人間だし。





しょうがないんだ。

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