【短編小説】夜が見ている
カーテンの隙間から夜空が顔を覗かせていた。
そこに目があるわけないのに確かに目が合った。
夜の目は黄色くて、さながら黒猫のようだった。
夜空は泣いている自分に問いかけるわけでもなく、かと言って冷たく突き放すわけでもない。
ただただそこにいた。
話しかけても返事はない。
当然だ。夜なのだから。
私は泣いた。
ただただ泣いた。
夜に見守られながら泣いた。
泣いてる時に見られるのはあまり好きではないけれど、夜ならまあいいかと思った。
優しい夜と共にそのまま朝を迎えた。
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