無明の業火

お経を唱えて 木魚を叩いて
人の軌跡を聞いて 聞いて
こゝろの刃に 説経を説き
なだらかな平らに導いて

修行の隨(まにまに) 容貌(みめかたち)珍しい
吾(あれ)を小姓に 院主は修行も怠り
深く愛される

去年(こぞ)の春 櫻うららかに
振る舞いし 出逢いは麗しい戀ごゝろ
無我夢中に成りしもの見っけ
云わんばかりに裳着(もぎ)を着た

とうに忘れてる修行の意味すら
託言(かごと)のともを 云うて 云うて
もぎ取れぬ程の愛の深さに
吾(あれ)は素直に院主を纏(まと)う

勿(まな)な事だとも なだむ二人の行為
小姓の吾(あれ)は院主の掌(て)の中に居も
燃え滾(たぎ)る愛

今年の孟夏(まうか) 病が蝕み
椎(しひ)を実を喰(くろ)うては業とも戀ごゝろ
寝ずの番で介抱してくれる
それにの吾(あれ)は思い死ぬ

愛は止まらない 深き隨(まにまに)
吾(あれ)の屍肉を喰(くろ)うて 離(か)れなでの契り
挿頭(かざし)の花 風に散らされた思いで
吾(あれ)の躯(むくろ)さえも喰(くろ)う尽くした

「お住持さまは鬼に成された」と愛が故の

愛欲邪念の業に惹かれて
ひとたびに 愛欲に彷徨いし者ならば
無明(むめい)の業火に盛んに燃えし
鬼と成るのは戀ごゝろ

"こゝろ許せば妖魔となり
こゝろ収めるは仏果を得る"
院主のいいたしめに 尊(たっと)し志を起こしは
本源(もと)のこゝろに朝日を 吾(あれ)の願(ぐゎん)

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