国宝茶室 如庵(愛知犬山有楽苑)

画像1

▼最新バージョンはこちら↓
https://note.com/sakurada_wa/n/n902d73b4518a

「如庵(じょあん)」

四畳半(方形)にも見える二畳半台目のような空間です。炉は向切り。

利休と同時代を生き、織田信長の実弟でもある有楽の作です。

尾張に生まれ武将として兄・信長を助け、本能寺の変後は豊臣氏に仕え、茶人として実力を発揮して秀吉にも利休にも一目おかれる存在となりました。

有楽の茶の特徴は、慣習にとらわれず、自由な作意を働かせたことにあり、これはまさに、武将として数々のイノベーションを遂げていった信長にも通ずるかと思います。

若い頃から独創的な空間構成をつくりましたが、これは創意円熟した晩年の作です。

同時代の茶人・利休が生前取り組んでいた創作の一つに、「四畳半(方形)に中柱を立てる」というのがあり、残念ながら利休は創作前に切腹となりますが、それに思わぬ形での解となった茶室です。

全体は二畳半台目。ほぼ四畳半に台目床を取り込み、手前座には中柱を立て、風炉先一杯に杉板をはめています。ふつうは設けない火燈口を窓のように用いた、独創的な点前座の空間に。

中柱は、織部や遠州などが客座と点前座を隔てかつつなぐ台目構えを構成する中心的な要素として普及しましたが、有楽は座敷全体の床に対するもう一つの中心として中柱を設定することで、全体が統合された空間、独創的な中柱の構えをこの如庵でつくりました。

また、床脇にうろこ板を敷いたことにより、茶道口が給仕口としての機能も果たす優れた空間を演出しています。これも通常は見られない見事な着想です。

この茶室は現在、愛知の名鉄犬山ホテルの敷地内(有楽苑)に位置し、国宝に指定されています。

最後までお読み頂きありがとうございました🍵 記事にスキ(♡)を押すと、「茶室建築のおすすめ本」を紹介します(&励みになります❤)