丸窓席(当麻寺中之坊書院の茶室)

画像1


「丸窓席(まるまどせき)」

奈良県葛城市の当麻寺(たいまでら)最古の塔頭である中之坊に現存。

庭園は大和三名園にも数えられ、書院・庭園ともに江戸時代初期に後西天皇行幸の際に片桐石州が現在の姿に改修したとされています。(諸説あり)

書院には「後西天皇行幸の間」があり、そこから連なって庭園に突き出た部分にあるのがこの茶室で、後西天皇(第111代)をもてなすためにつくられたとされています。

別名は双塔庵(扁額あり)で、茶室からは東西両塔を観覧することから名付けられたそうです。

内部は四畳半で、直径1.8メートルにも及ぶ大円窓がまず特徴的です。円窓の向こうが従者の控室であったこともあり、天皇の行幸を意識したものと思われます。

水屋は異例の十畳という広さで、隣には茶道口を隔てて五畳の席が接しています。この面の壁は給仕口と襖壁、茶道口と壁の大部分を白とした独特な趣向。

入口は三枚障子の貴人口と躙口の両方が明けられ、躙口はまさかの開き戸で内側には片引きの明かり障子というここもまた破格な構成。

そして、床の間も独特な三角形の出床。利休のあまり好まなかった竹をあえて床柱・蹴込に用いています。三角形の部分は板敷です。

ここまで見てきた丸窓席ですが、利休の侘びを深化させ、広く石州好みとして知られる「慈光院の高林庵」との関連性は低く、石州好みを裏付けるような部分を見出せないのが実状で、石州の関わりは疑問視されています。

一方で、行幸のための茶席として独特な構成、文化財としての価値は十分に見出せるかと思います。

この茶室は重要文化財に指定されており、四年に一度書院は特別公開してるそうです。

(国宝・重文の茶室をまとめています↓)

(茶室の間取りや復原図を元にしたグッズをつくっています↓)

・・

▼茶室建築のおすすめ本一覧です!↓


最後までお読み頂きありがとうございました🍵 記事にスキ(♡)を押すと、「茶室建築のおすすめ本」を紹介します(&励みになります❤)