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京都にある茶室

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守るべき文化財の宝庫、京都に現存する茶室を集めました!
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2023年12月の記事一覧

蒲庵(京都大徳寺 大光院)

「蒲庵(ほあん)」

京都大徳寺の大光院にある茶室。

蒲庵は寺伝によると、もとは「三つ石の席」と呼ばれた黒田如水(官兵衛)好みの席で、加藤清正・福島正則の三人が露地に据える名石を一つずつ寄進したことに由来するそうです。

初めは仁和寺街道の三軒寺にあったものを、明治時代の廃寺の際に、数寄屋師・平井某の祖父がこれを譲り受けて解体保存し、それを大光院が購入して、添えられた図面のとおりに組み立てたのが

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蔵六庵(京都龍安寺)

「蔵六庵(ぞうろくあん)」

京都の龍安寺にある茶室。

利休の孫・宗旦の門下であった茶人・僖首座(きしゅそ)(1616~96年)作と伝わる茶席で、昭和4(1929)年に火災により焼失するも、後に忠実に復元されたものとされています。

内部は丸畳二枚に台目畳二枚、中板を備えた全体四畳の広さの珍しい平面構成です。

客は露地に面した二枚障子の貴人口から席入りとなります。さらに、雨天などのために貴人口

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少庵堂(京都西芳寺 苔寺)

「少庵堂(しょうあんどう)」

京都の西芳寺にある茶室。

「遺芳を追懐」するため七人の有志により、大正7(1920)年11月に同じく西芳寺にある茶室・湘南亭の北方に建てられました。

内部は一畳台目向板の間取りに、客座と点前座のあいだには大きな節のある中板も入ります。

床の間は洞床の形式で、左端を三角に切っています。また、その前の袖壁は大きく吹放しております。

躙口は引き違いに戸を建てて(二

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湘南亭(京都西芳寺 苔寺)

「湘南亭(しょうなんてい)」

京都西芳寺にある茶室。

西芳寺は「苔寺」の名で知られる洛西の禅宗寺院で、アップル創業者のスティーブ・ジョブズが家族と共にお忍びで訪れていたそうです。

ここには夢窓疎石(1275〜1351年)の作庭による庭園があります。数度の火災や水害に遭うも、その度に再興を繰り返しました。

現在のものはいつ再興されたかは定かではありませんが、利休の子の少庵(1546〜1614

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