不登校あるある きょうだい関係はどうですか?
自己紹介や連載「息子の不登校」でも書きましたが,うちには6学年違いの娘と息子がいます。
息子がお姉ちゃん大好きで、いつもじゃれついています。
お姉ちゃんは、そんな弟をいやがっているふうに邪険にしながらも,勉強をみてやったり,自分の友達に会わせたりしています。
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この二人。学校へ登校することでは,それぞれ別の苦労がありました。
娘は中1の3学期から起立性調節障害で欠席がち。娘のたっての希望で入った全日制高校では,2年,3年に進級するときに出席日数がぎりぎりで,年度末になるたびに進級できるのか,通信制や定時制に転校すべきかと迷ったものです。なんとか留年せずに卒業し,浪人をして大学に入りました。
一方で息子は小学2年生から学校に行かないことを選択した,いわゆる不登校児。授業をやっている時間帯に学校へいくことはほとんどありません。
学校を休みがちな娘と不登校の息子は,傍目には同じような「学校に行くことに問題を抱える子ども」だったのですが,本人たちの指向はまったく逆でした。
娘の場合は,学校が嫌いではなく,少ないながらも友達に恵まれ,いつもかわいがってくださる先生がいました。高校ではむしろ部活などを頑張りすぎて体調を崩し,休んでしまうこともたびたび。
息子は学校は行きませんがフリースクールはほぼ全出席。毎日公園で遊んでいたので,年中真っ黒に日焼けしていました。
不登校でフリースクール生活を謳歌している息子を見ていたので,私は娘が学校に行けないときには「学校がいやなの?」「フリースクールもあるよ」などと言いましたが,断固「私は不登校ではない!」という態度。むしろ「一緒にしないで!」くらいな勢いでした(苦笑)。
通信制や定時制を勧めるも,転校する気は全くなし。絶対に今の高校を留年しないで卒業する!とのこと。
全日制高校は成績だけでなく、科目ごとの出席日数で進級が決まります。また、1科目の単位を落としただけで留年です(少なくとも娘の高校はそうでした。)。全く出席しなくてもほぼ卒業できる小中学校や、1科目くらいは単位を落としても次年度に取ればいいという多くの大学より、進級の条件が厳しいのです。
落としそうな科目の授業がある日は「学校に行って!!」と声掛けしていました。(←内実はもっと激しいものだったのですが…。このあたりは後日詳しく書く予定です。)
息子には「学校は行かんでいいよ~」と言っている一方で,娘には「今日行かないと留年だから!」と無理やり行かせることも。
子どもが逆の指向だから,親もそれに合わせて逆の対応をしなければならず,自分のやっていることが分裂しているように感じました。
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そんな二人でしたが,幸いだったのは,お互いに相手の在り方を批判しなかったこと。
学校に行かない弟のことを「さぼっている」と言ったり,学校のことで大変な思いをしている姉のことをばかにしたり。そういうことはありませんでした。
二人とも家にいるときは,学校のことは抜きの,ただのきょうだいとして付き合っていたのでしょう。
自分たちも意識しないもっと深いところで、それぞれの困難 ー他者と自分とか、集団と個とか、理想の自分と今の自分などー に直面して,出口を探す者どうしの共感があるのかもしれません。
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私が息子の将来を心配していたころ,私は
”これは学歴が関係ない職業に就くしかない”
”手先が不器用だから職人にはなれないし,秀でた才能があるようにも思えないから芸術家も向かないし”
などと思い,
「こんな職業ならいいのではないか」
とかなり荒唐無稽な夢を娘に話したところ,
「まずは学校を出てサラリーマンになる方が現実的。」と,すこぶる常識的なことを言われました。学校やサラリーマンがいいのかはさておき、そのひとことでハハは妄想から目が覚めました。
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娘が家にいると,息子は家で安心して過ごせるようです。
息子が以前のフリースクールを卒業する前の最後の1年間は,娘の浪人期間(ほぼ自宅浪人)と重なりました。姉が家にいるので寂しくないせいか,息子は家にいる時間が長くなりました。
フリースクールへ行く時刻がだんだん遅くなり,その分フリースクールの滞在時間が短くなって,徐々に卒業へ向けての心の準備ができたようでした。
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きょうだいがいることで,大変なこともたくさんありましたが,一方を相対化して見ることで感情的に落ち込んだり悲観しないですんだように思います。
そして、私自身が救われていたようです。
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不登校のこどもとそのきょうだいの関係で,悩まれる方が多くいると聞きます。
うちの場合は,年齢が離れて性別が違ったから衝突がなかったのかな,とも思います。
親にとってはどの子も我が子なのですが,きょうだい同士はいろいろ。
きょうだいは,近くて遠い,生まれて初めて会う他人。
今のまま,つかず離れず,お互いを尊重し合う関係でいてほしいです。
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