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運命を開き、天命を叶えるガイドブック

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#人生

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第六話 やっぱり、私は強運だ

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第六話 やっぱり、私は強運だ

やっぱり、私は強運だ

その男は大きな身体をしていた。
がっしりとした体躯を見れば、薩摩男だとわかる。
男は部屋に上がらず、庭にひざまづき頭を下げていた。私のそばにいる幾島が彼を紹介した。
「薩摩から来た、西郷と申すものです。
斉彬様の江戸参勤に伴い、薩摩から一緒に参りました。
これ、西郷、篤姫様に顔を上げい」

西郷は薩摩男にありがちな、えばっている顔つきではなかった。
「篤姫様、初めてお目にか

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「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第五話 星が私を導く

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第五話 星が私を導く

星が私を導く

この日から幾島の厳しい修行が始まった。
薩摩の田舎でのびのび育った私に、京都の公家のしきたりや御台所修行は納得できない事ばかりだった。
「どうして、ここでこうするの?そこに何か意味があるのか?」
「篤姫様、意味があろうとなかろうと、そうするようになっております。
そういう昔からの習わしでございます」
食ってかかった私を、幾島はぴしゃりとはねのけた。

納得できぬ!私は両手を握り締め

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「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第四話 がんばれ、私!女が嫁ぐということ

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第四話 がんばれ、私!女が嫁ぐということ

がんばれ、私!女が嫁ぐということ

嘉永六年八月、私は生まれ育った薩摩を後にした。
父上や母上、兄上達は家臣として皆と並び膝まづいたまま、私を見送っていた。
お義父上の配慮か、前列で顔を合わせられるほどの距離で私は泣きそうな胸を押さえ家族を見つめた。せめて一言でも別れを告げたい。そう思うのは娘として当然の気持ちだろう。
だが言葉を交わすことはできない。
父上は涙をこらえ眉間に皺を寄せ、母上の目には

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「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二話 私は龍の背中に乗る

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二話 私は龍の背中に乗る

私は、龍の背中に乗る

私は降ってわいた目の前の現実にクラクラしながら、ぐい、と心を引き締め前のめりになって聞いた。
「父上、どうして私が公方様の正室に望まれるのでしょうか?」
これ、ここにいる誰もが聞きたい至極まっとうな質問だと思う。
父上は目をつむり、言葉を選ぶように躊躇していた。

「公方様は、二度結婚しておられる。
これまでの習わし通り、いずれも京都の公家から嫁いでこられた御台所様じゃ。し

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「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第一話 天命を載せたドラゴン

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第一話 天命を載せたドラゴン

「お前が男だったら、よかったのに・・・」

生まれてからずっと耳にタコができるほど、ため息と一緒につぶやく父の言葉を聞いてきた。兄と喧嘩をして彼を泣かせた後、
それを聞くたびに
「ほんと、そう!!」
と、私も強く拳を握り締めうなずいた。

私が生まれたのは、天保六年。
徳川様の治める時代だけど、異国の船がやってきたり、島原では大規模な百姓一揆が起こったり、と新しい時代の波がやってきているのを肌で感

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「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第三話 運命は「もし・・・」を超えた積み重ね

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第三話 運命は「もし・・・」を超えた積み重ね

運命は「もし・・・」を超えた積み重ね

「今の日本の状況がわかるか?
アメリカやイギリスなどの外国が目を光らせ、日本を狙っている。
が、我が国は徳川が外国との交易を一部だけ認め、鎖国を続けている。時代遅れのまま裸で、世界から取り残されている。そのことに気づいているものは少ない。
今、外国から攻めてこられたら日本は何の準備もなく、すぐに占拠されてしまうだろう。この国はどこかの属国に成り下がるだろう。

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