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箱庭日記12
5月●日 はれ
「生存戦略」
今日近くの大きめの公園に行くと、大きな池に鳩がたくさん集まっていた。
しばらく見ていると、2匹の鳩がクチバシをがちゃがちゃくっ付けていた。
そのあと鳩が鳩の上に乗っていた。
鳩は基本的に一夫一妻で連れ添うらしい。
夫婦なのだろう、末永くお幸せに。とぼんやり眺めていた。
最近街中で鳩を見ることが減った様に感じていたが、いる所にはいるものだ。
ふと違和感を感じた。よく見るとクチバシがやや大きく、指と指の間が変だ。
「水掻き」とまではいかないが、その様なものがある。
他の鳩と見比べてみると、15羽中3羽に「水掻き」の様なものが見てとれた。
気になってネットで調べてみると、ここ何年かで鳩の住処が水がある所(街中なら噴水やら、池やら)に移ってきているとのことだった。
何故こんなことになったのか、調べていくと毎年酷くなる夏の暑さが原因だった。
ネットで「鳩、バテる」で検索すると10年も前から、夏バテでフラフラの鳩が各地で目撃されている事がわかった。
そのせいか、今や夏に近づくと街中の鳩たちは駅やら駐車場やらの配管下から涼しい水辺に生活を移しはじめている。
違和感のあるクチバシや足下はそのせいかもしれない。
何世代かかけて、今の環境に適応させてきているのかも。あるいは水辺の鳥と交雑していたり。
同じような事をネットをみていると、人間にも水掻きがあると写真付きで掲載されているページがいくつもあった。
珍しくもないようで、ピアノを弾く人や野球のピッチャーは指の可動域を良くするために水掻きを切る手術をする場合があるそうだ。
胎児の頃には、人にも水掻きがあり、生まれてから空気に触れると、段々なくなるそうだ。
逆に幼い頃から水泳を続けている人は、水掻きが発達しているとか。
長い生命の営みの中で変化するだけではなく、1つの命の中でさえ適応して生きる為の懸命な努力が成されている。
いずれにせよ、変わりゆく時代に振り落とされないように形を変えて今を生きることは、どの生命にも課されているものなのかも。
5月●日 晴れ
「2日坊主」
とうとう日記を始めて約1年が経つ。
毎日書いていたわけではない。
しかし精々2日坊主の私にとっては、今までで1番長く続いてるのではないだろうか。
私は小さい頃から憧れているものがある。
絵を上手く描ける人、楽器が上手くできる人、歌が上手い人、みんなと仲良くお喋り出来る人、スポーツが得意な人、お話を作れる人…
そのどれもになりたかったし、今もそうなりたいと思う。
でも良く考えると、絵が上手く書けたり、スポーツが出来たりすると言うより、私は自由になりたかったんだと思う。
自由に何かを、自分自身を表現したかったんだと思う。
この日記を書いて、今のこと、過去のこと、思っていることを拙いながらも書いたことで少し自由になれた気がする。
これからも、日記にこの世界の事を書いていきたい。
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