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九年後、サヤカ……。
小高い丘の中腹にある小さな駅舎。近くにお嬢様学校と言われる学園があり、朝晩のホームはそこの女子生徒達で溢れかえる。
もうあれから九年の年月が経つ。生徒の顔ぶれは変わっているはずだが、漂う匂いや空気はあの頃のままだ。
当時高校三年生だった生徒が、この駅のホームから走って来た急行列車に飛び込み、命を落としている。一応、自殺ということで落着しているが、真相は未だ謎に包まれている。
鈴木園子。あれ
三年後、ショウコ......
星井翔子はお嬢様学校と呼ばれるその学園に進学すると、どのクラブにも所属せず『ミステリー研究会』なるものを立ち上げた。
幼い頃より謎めいたことがあると極端に興味を示し、それを解明することに執念を燃やすのだ。この学園に進学したのもここにまつわる七不思議と呼ばれる怪奇現象について調査をしたくて仕方がなかったからだ。
現在のところ部員は代表の翔子の他にもう一人、ミステリー小説おたくの早戸千里がいるだ
一年後、ユウコとレイコ......
「ここってさ……」
恐る恐るゆっくりと辺りを見回しながら、ユウコは言う。
「何? やだ、何かあるの?」
怖がり屋のレイコは小さく身震いしながらユウコの左腕を掴むと身を屈めた。
「去年あの事故があった場所だよね」
「えっ、あの事故?」
二人は学園からの帰り道、丘の中腹にある駅舎のホームにいる。もうすっかり日は沈んでいた。
「ほら、演劇部の副部長してた子が走って来た電車に飛び込んで自殺したところよ」