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【鬱#02 完】うつが治る食べ方、考え方、すごし方

前回#01 の続きです。

今回は、「栄養」面からの改善方法についてお伝えします。

うつ病と栄養は親密な関係にあります。
この「栄養治療法」が治療の主役になることが多いようです。
薬に頼る、医者任せの治療ではなく、普段の生活から気をつければ改善できることが多いことに、私も驚きました。
心の病気ではない方にも、ぜひ取り入れていただきたいです。

その他にも、運動や行動の仕方などが本には記載があるのですが、栄養面のみをピックアップして、今回のシリーズは完結とさせて頂きます。

1.鉄

鉄欠乏は、貧血を引き起こすだけではなく、うつを引き起こすことがあります。

貧血とは?
→血液中の酸素が減少し、全身の細胞が酸素不足からエネルギー不足に陥り、活動に支障をきたすようになった状態。ヘモグロビンが少ない状態。

ヘモグロビンとは?
→赤血球の中にあるたんぱく質。赤血球はヘモグロビンに酸素を取り込み、血液の流れに乗って全身に酸素を運んでいます。

鉄とは?
→ヘモグロビンの構成成分。鉄が不足すると、ヘモグロビンが不足し、赤血球は十分な酸素を全身に運べなくなります。

鉄欠乏症セルフチェック
⬜︎肌荒れ、口内炎など皮膚・粘膜のトラブルが多い
⬜︎寝つきが悪い、夜中や朝方に目が覚めて眠れない
⬜︎皮膚によくアザができる
⬜︎立ちくらみ、めまいがよく起こる
⬜︎筋力が低下し、階段の上り下り、荷物の持ち運びがつらい
⬜︎夕方〜夜に疲れが出て動けなくなる
⬜︎月経量が多い
⬜︎下まぶたが白っぽい

 *鉄欠乏を食品で補充は無理

鉄;吸収率の良いヘム鉄良くない非ヘム鉄があります。

鉄欠乏の場合、ヘム鉄1日20mg摂る必要があり、マグロの刺身を2kg、レバーだと150gも食べる必要があります。

この量を食べるのは不可能なため、鉄欠乏の場合は、鉄剤か、サプリメントで補充する必要があります。
※鉄剤には副作用で、吐き気、下痢、便秘などの症状が出るので医師の支持通りに摂取してください

 *日頃から気をつけること

鉄欠乏症でなくても、鉄は欠乏しやすい栄養素です。
1日あたり男性;10mg、女性;12mgの摂取が推奨されています。
鉄をしっかり補充するには、ヘム鉄を摂ることが重要です。

多く含まれる食品
●レバー
●牛もも赤身、牛ヒレ肉
●アサリ
●いわし
●マグロ
●カツオ
●しじみ
鉄の摂取源として有用なのは肉類、とくに牛肉です。

2.チロシン

うつ病の患者さんがチロシンを服用するとかなりの確率で改善します。

チロシンとは?
→アミノ酸の一種。アミノ酸とはたんぱく質の成分。つまり、たんぱく質を構成するアミノ酸の一つ。


チロシンは図の中央の列にあり、作り変えられて、ドーパミン、ノルアドレナリンになります。

うつ病はセロトニン、ノルアドレナリンが不足しています。

●セロトニンが不足・・・気分の落ち込み、憂鬱感
●メラトニンが不足・・・不眠

●ドーパミンが不足・・・気力や意欲の低下
●ノルアドレナリンが不足・・・不安の高まり、行動の低下

チロシンを摂取することで、不足したドーパミン、ノルアドレナリンを増やし、低下した気分や意欲を高めることができます。

3.タウリン、5HTP

チロシンの他、タウリン、5HTPの服用もおすすめです。
この3つはアミノ酸です。

元気が出たり出なくなったり、やる気が湧いたり失せたり、、、といった心の動きには、神経伝達物質と呼ばれるたんぱく質が深く関わっています。
たんぱく質はアミノ酸となって体内に吸収されます。

セロトニンを増やしたい・・・
●5HTPか、その材料のトリプトファンを増やす
●補酵素の葉酸、鉄、ナイアシンを増やす

ドーパミン、ノルアドレナリンを増やしたい・・・
●チロシンか、その材料のフェニルアラニンを増やす
●補酵素の葉酸、鉄、ナイアシンを増やす

タウリンとは?
→筋肉、肝臓、脳に多く存在。疲労回復のアミノ酸。細胞内外のカルシウム量を調整し、カルシウムとマグネシウムのバランスを保つ。

気分が不安定、上がり下がりが激しいなど気分障害のある患者さんが、タウリンを補給すると、改善したという報告があります。

4.たんぱく質

たんぱく質が欠乏→トリプトファン、フェニルアラニンも不足→セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンも不足します。
たんぱく質欠乏が原因でうつ状態に陥ることがあります。


内臓、骨、皮膚、脳、感覚器など体を構成する約60兆個の細胞はたんぱく質で出来ています。
3、4ヶ月でそれらは新しく入れ替わり、新しい細胞を構成する新しいたんぱく質を合成するために、多量のアミノ酸が使われているのです。
たんぱく質が欠乏すれば、筋肉を壊してアミノ酸を作り、体を構成するたんぱく質の合成に回します。
これが続けば、筋肉が痩せる→スタミナ不足→免疫力低下→感染しやすくなる、傷が治りにくり、貧血になりやすい→記憶力や思考力の低下、うつや不安障害が起こります。

 *過不足なく補充するには?

摂取源はヒトの構成成分と近い方が良いと考えられているので、哺乳動物である牛肉や豚肉を主に補充するのがベストです。

摂取量の目標;1日あたり体重1kgにつき1g
しかし、たんぱく質含有量の一覧表を見て、摂り方を決めてしまうと、間違います。
理由;食品によって吸収されるアミノ酸の量が大きく違うからです。例えば、ごはんと豚肉のたんぱく質が同じアミノ酸でも、たんぱく質に含まれるアミノ酸のバランスが違うためです。
アミノ酸;体内で合成できず、食事から取らなければならない必須アミノ酸(9種類)、非必須アミノ酸(11種類)


体は、必須アミノ酸を一定のバランスで吸収し、体内に取り込みます。
バランスが悪いと、最も少ない必須アミノ酸に合わせて吸収され、他のアミノ酸は多く含まれていても一部しか吸収されずに、排出されてしまいます。
そのため、ごはんと豚肉では、吸収され方が違うのです。

●最もバランスの良い「アミノ酸スコアの高い」食品;肉類、魚介類、大豆製品
→吸収率は、肉類(約95%)、魚介類(約90%)、大豆製品(約75%)
 ※加熱すると、吸収率が更に低下する

●おすすめのたんぱく質の取り方;牛肉、豚肉の赤身中心、足りない分を卵、鶏肉、魚介、大豆製品で補う、更に足りない場合はプロテインで補う

5.ナイアシン

ナイアシンとは?
→500種以上の酵素の働きを助け、代謝の半分近くに関わっている栄養素。脳神経系で働く酵素の多くに関わっている。欠乏すると、うつ、幻覚、イライラ、不安などの精神状態や、口内炎、皮膚炎、胃腸障害などの身体症状がみられる。

うつ病は、神経伝達物質のセロトニン、ノルアドレナリンが不足して起こるため、それらの合成に欠かせない栄養素であるナイアシンが欠乏すれば、うつ病やうつ状態となります。


ナイアシンは、アミノ酸、トリプトファンからも生成されるので、食事からの摂取量が少なくても、欠乏しにくいと言われてます。
しかし、たんぱく質、ビタミンB群、鉄が不足すると生成されにくくなります。

また、砂糖、糖質を過剰に摂ると、ナイアシンの消費量が増え、欠乏に至ります。

多く含まれる食品
●ビタミンB2;レバー、ウナギ、サバなど

●ビタミンB6;マグロ、カツオ、鶏肉、大豆製品など
※腸内細菌によって産生されるので、欠乏しにくいが、ダイエットによる偏食や、腸の働きが悪いと欠乏する

●亜鉛;牡蠣、牛肉、ウナギ、レバー、卵、大豆など
※吸収率が大変低く、欠乏しやすい

→これらは鉄も含めてたんぱく質源の肉類、魚介類に多く含まれ、たんぱく質が欠乏が起こると、不足しやすい

6.低血糖症による栄養障害

不安やうつ状態が続くと、しきりに甘い物が欲しくなり、砂糖の過剰摂取になりがちです。
それは、脳がたんぱく質を各種アミノ酸の形で取り込むとき、糖を必要とするためです。
砂糖たっぷりの食品は、肥満だけでなく、低血糖症を招きます。

低血糖症とは?
→血糖値が急激に下がり、一定レベルより下がってしうまうことでおこる。脳がエネルギー不足になる。症状としては、ぼーっとする、集中力の低下、落ち着きがなくなる、無気力、興奮状態、攻撃的。

炭水化物;でんぷんと食物繊維に分かれる。両方とも多糖類で、それが分解し、糖が一つになったものが単糖類になる。
単糖類;ブドウ糖、果糖。
果糖;ハチミツや果物に含まれる。血糖をあまり上げない。
2糖類;砂糖。果糖とブドウ糖が結合したもの。多糖類よりも糖が小さいため、腸から吸収されるスピードが速く、急激に血糖値を押し上げる。それを調整するため、大量のインスリンが分泌される。

 *日頃から気をつけること

低血糖症セルフチェック
⬜︎甘い物、清涼飲料水を毎日摂っている
⬜︎夜間に目が覚め、何か食べることがよくある
⬜︎空腹感を覚え、よくおやつを食べる
⬜︎甘い物を食べると、イライラや不安感がやわらぐ
⬜︎菓子パンのみで一食を済ませることがよくある

低血糖症の改善には、食事の見直しが一番必要です。
消化、吸収に時間がかかり、血糖値を穏やかに上げるのは、糖質と、たんぱく質や食物繊維などが混じった食品です。

食べ方のポイント
●甘いもの、間食を止める
(チーズ類、ナッツ類はOK)
●ごはん、パン、麺類は単独で食べない
●ごはん、パン、麺類の量を減らす
(ごはん;茶碗1、2杯 パン;1、2枚 程度にする)
●ごはん、パン、麺類は必ずおかずと一緒に食べる
●おかずは、新鮮な野菜とたんぱく質(肉、魚、卵など)を十分に摂る
🙅🏻‍♀️ GI値高い食品;食パン、白米、餅、砂糖、パスタなど
🙆🏻‍♀️ GI値低い食品;ライ麦や全粒粉のパンやパスタ、玄米ご飯、大豆

砂糖、小麦粉や米粉を空腹で摂ると、吸収が速い&血糖値が急激に上がるので、避けましょう。
間食を摂りたくなるのは、習慣もありますが、通常の食事で栄養素がきちんと摂れていないことが原因かもしれません。
炭水化物を多く摂る人は、たんぱく質をあまり摂らない傾向があります。
低血糖症=たんぱく質欠乏症のリスクが高いです。
炭水化物を減らし、たんぱく質をその分増やしましょう

GABAとは?
→脳内に存在する興奮を鎮める神経伝達物質。ストレス緩和、睡眠の質の向上などに効果があるとして、サプリメントやGABA入りチョコレートまで市販されているが、GABAは血液脳関門を通れず、食べても脳の鎮静には効果がない。

 *敏感すぎる性格は栄養欠乏が原因

「なぜこんなにも自分は神経質なのか?」と敏感タイプな人は、栄養障害が原因でなりやすいことがわかっています。
栄養障害;ビタミンB6欠乏、亜鉛欠乏、ナイアシン欠乏

ビタミンB6欠乏
●口内炎や口角炎、目・鼻・耳の皮膚炎がよくできる
●手足のしびれ、けいれんが起こる
●眠気が生じやすい、不眠症
●食欲がない、倦怠感が続く

亜鉛欠乏
●風邪を引きやすい
●肌が乾燥しやすく、傷が治りにくい
●食欲がない、味覚が落ちた
●抜け毛が増えた
●性欲が低下した

7.まとめ

<<積極的に摂るべき栄養素>>

😍
 ●欠乏;肌荒れ、口内炎、口角炎、老化が早くなる、免疫力低下、疲労感、倦怠感、筋力の低下、立ちくらみ、めまい、睡眠障害、不安が高まる、月経量が多い、下まぶたが白い
 ●食品;レバー、牛肉の赤身・ヒレ肉、アサリ、いわし、マグロ、カツオ、しじみ

😍チロシン
   ●欠乏;気力の低下、意欲の低下、不安の高まり、行動の低下
 ●食品;チーズ、大豆製品、カツオ、ナッツ類、たらこ

😍タウリン
 ●欠乏;気分が不安定、上がり下がりが激しい 
 ●食品;牡蠣、アサリ、シジミ、たこ、いか、蟹、鯖、ブリ、カツオ

😍5HTP
 ●欠乏;気分の落ち込み、憂うつ感、イライラ、不眠
 ●食品;大豆製品、乳製品、バナナ、ナッツ類

😍たんぱく質
 ●欠乏;神経伝達物質が合成されない
 ●食品;牛肉・豚肉の赤身を中心とし、足りない分を卵、鶏肉、魚介、大豆製品で補う

😍ナイアシン
 ●欠乏;幻覚、イライラ、不安、口内炎、皮膚炎、胃腸障害、思考力・判断力の低下、生きる力が削られる
 ●食品;レバー、鶏肉、カツオ、マグロ、たらこ、きのこ類

😍ビタミンB2 
 ●食品;レバー、ウナギ、サバ

😍ビタミンB6 
 ●欠乏;口内炎、口角炎、目・鼻・耳の皮膚炎、情緒不安定、神経過敏、不眠症、倦怠感、食欲がない
 ●食品;マグロ、カツオ、鶏肉、大豆製品

😍亜鉛
 ●欠乏;情緒不安定、イライラ、疲労感、風邪をひきやすい、肌の乾燥、食欲がない、抜け毛が増える、性欲の低下
 ●食品;牡蠣、牛肉、ウナギ、レバー、卵、大豆

<<避けるべき食品>>

😰砂糖(それが大量に入ったしょくひん)
😰小麦粉、白米を単品で大量に食べる
 ●症状;ぼーっとする、集中力の低下、落ち着きがない、無気力、興奮状態、攻撃的
 ●改善;間食をチーズ類・ナッツ類にする、ライ麦・全粒粉のものにする、玄米にする、量を減らし、野菜とたんぱく質を多く摂る

<参考:完全復職率9割の医師が教える うつが治る食べ方、考え方、すごし方 >

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