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日本一わかりやすい日本酒入門④   知らないと損!本当に旨い

知らないと損!燗酒の話

日本酒は冷やして飲むもの。
高い日本酒は燗にしたらもったいない。
寒い時は燗酒もいいよね。

一般的に思われている日本酒の常識ですが。。。。
全部誤解ですよ!!!

居酒屋さんでも熱燗は1種類しかなく、それも安いパック酒。
飲み放題で飲まされ嫌いになった。などなど
日本酒暗黒時代のイメージが浸透してますが、そろそろアップデートしましょう!燗酒を知ると日本酒が3倍楽しめます。逆に知らないと損します。

今回は目からウロコ!の燗酒の話です。


燗酒こそ王道

現在は冷蔵庫で冷やした冷酒が主流になっています。
実は。。。昔は燗酒が主流でした。
では冷酒が主流になったのはいつからでしょうか?

諸説あると思いますが、実は平成からです。
平成2年に「特定名称」という日本酒の分類に変わり吟醸酒が誕生しました。
細かい説明は省きます詳細はこちら

フルーティーで香り高く飲みやすいので大ブームになりました。
この吟醸系は燗に不向きで冷やして飲むのに向く場合が多い。
そこで一気に冷酒が主流となっていきました。

つまり何が言いたいかというと、
冷酒が主流になったのはわずか30~40年前。
日本酒の長い歴史の中ではつい最近ということです。
考えてみれば江戸時代に冷蔵庫ないですもんね。。。。夏でも冬でも一年中燗でした。
(ちなみに江戸時代は燗が普通で常温で飲むのを「冷や」と呼んでいました。)

まずはこの点を認識していただくと以下の話が入ってきやすくなります。

燗酒の良いところ3つ挙げてけ!

①燗にすると日本酒は美味しくなる。
②悪酔いしない。
③料理に合う。

③はともかく①と②は逆のイメージですよね。
でも本当なんです。
実際に飲みながら体験していただくのが一番わかりやすいので、興味ある方はご自宅でやってみてください。

日本酒は燗で旨くなる?

日本酒は温めると「旨味」や「コク」がより感じられるようになります。
日本酒用語で「化ける」とか「燗上がり」などと言います。

これは日本酒の成分が変わるわけではなく人間の舌のセンサーが反応しやすくなるからです。
旨味やコクを察知するセンサーは温かいほうが反応しやすいんです。

アイスクリームは溶けた時のほうが甘く感じませんか?
お茶も温かいほうが旨味を感じまろやかでは?

つまり日本酒は温めた方が旨味やコクが強くなり美味しくなります。
先ほどの解説のように日本酒は元々温めて飲むものでしたので
基本的には温めて美味しくなります。
生酒でも大吟醸でも燗にしちゃって良いのです。

ただし、合う合わないがあるのも事実です。
現代技術で造られた新しい日本酒は冷酒前提で造られていることもあります。
フルーティーで飲みやすい吟醸系は冷酒のほうが向く場合が多いです。
中には吟醸系でも燗にして美味しいのもあるので面白いですね。日本酒には色々なタイプがあるので試してみると楽しいですよ。

燗に合うのはどんな日本酒?

日本酒は4つのタイプに分類できます。
人気があるのがフルーティーで飲みやすい「薫酒」
次に人気なのがスッキリ辛口の「爽酒」
「醇酒」「熟酒」は敬遠されがちかもしれません。

中には「薫酒」「爽酒」が良い酒でそれ以外はクセがあって飲みにくい悪い酒というイメージの方もいます。
これは非常にもったいないですよ!!!

なぜもったいないか?
野菜に例えるとわかりやすいです。

レタスやキューリはサラダなど冷やしておいしい野菜です。
あまり加熱しないですね。
トマトはサラダでも美味しいしピザやトマトソースのように加熱しても美味しいですね。
ジャガイモやカボチャはどうでしょう?
生で冷やしてはほとんど食べないです。でもポテトフライやカボチャの煮つけは美味しいですよね。

日本酒も同じです。

薫酒はレタスやキューリみたいな感じです。冷やして美味しい。
爽酒や醇酒はトマトみたいな感じ。冷やしても温めてもそれぞれ違った美味しさがある。
熟酒はジャガイモやカボチャみたいな感じ。冷やすとクセが強くてイマイチかもしれませんが加熱するとメチャクチャ旨い。

燗酒を選択肢から外すということは
ピザやトマトソース、ポテトフライやカボチャの煮つけを選択肢から外すということに等しいです。

つまりはジャガイモを生でかじって「不味い」とジャガイモを敬遠していしまっています。
ポテトフライや肉じゃがやじゃがバターの美味しさを知らないなんて
もったいなさすぎませんか?

すいません。熱くなってしまいました。

上記の分類はあくまで目安なので当てはまらない場合もあります。
色々と試してみると意外な発見があって面白いかもしれません。

補足
上記図で「薫酒」「爽酒」は白ワイン、「醇酒」「熟酒」は赤ワインと
表記しています。白は冷やして、赤は常温なんてイメージありますよね。
そう考えると日本酒も合う温度があったり、温度で味の変化を楽しんだりできます。

燗酒は悪酔いする?

燗酒は悪酔いするイメージの方もいると思います。
それは燗がダメなのではなくて燗にする日本酒が原因かもしれません。

チェーン居酒屋はもちろん、日本酒を売りにしている居酒屋でも燗は1種類しかなく選べない店が多くありました。
しかもその燗用の日本酒は安いパック酒のような普通酒です。

安いパック酒は劣悪な品もあり混ぜ物が多く入っています。
この混ぜ物が悪酔いの原因です。

ちゃんとした日本酒(特定名称)の燗ならば悪酔いはしません。
むしろ冷酒よりも悪酔いしにくいかもしれません。

体内に入ったアルコールは肝臓で分解されます。
この分解する工程で温度が高い方が分解されやすいのです。

つまりちゃんとした日本酒を燗で飲めば悪酔いしにくいということです。
まあ、どんなお酒でも飲みすぎれば酔いますが。。。。

燗は料理に合う?

日本酒を料理とペアリングする発想を持つとまた違った楽しみ方ができます。
日本酒選びをする時にワインほど料理との相性を気にしないと思います。それは日本酒の原料が米だからです。

米なので比較的どの料理とも合います。合わないという事が少ないです。
ワインはブドウが原料なので料理との相性は難しいのでしょう。
ご飯は何でも合うけど、ブドウと一緒に食べて美味しいのは?という感じです。

日本酒の場合は基本的には何でも合うが「より良い相性」があります。

勘の良い方はお気付きでしょう。
上記図のワインの表示になぞれば簡単です。

薫酒は白ワイン甘口なので前菜系やサラダなど
爽酒は白ワイン辛口なので刺身や魚料理など
醇酒は赤ワインライトボディなのでおでんやチキンなど
熟酒は赤ワインフルボディなのでステーキや味噌煮込みなど

なんとなくどの日本酒がどんな料理と相性が良いか、特別な知識がなくてもイメージ出来ると思います。

このイメージが出来ると楽しみ方がまた広がります。
今までフルーティーで飲みやすいのが好きでそういう日本酒しか飲まなかった方も、料理に合わせて日本酒を選ぶ楽しみ方が増えます。

獺祭や十四代が好きでそういう日本酒を飲み続けるのも良いですが、
「あん肝が出てきたから醇酒系を燗にしてみようか」というのも楽しみ方のひとつです。

燗にも色々あるんだなぁ

一口に「燗」といっても温度で呼び名が色々あります。

この辺りはややこしくなるので「色々あるのね」くらいでいいです。
興味ある方は色々と試してみてください。

基本的には40℃の「ぬる燗」50℃の「熱燗」くらいで使い分ければ十分です。私も基本的にこの二択です。そこから微調整したりします。

ご自宅で燗を楽しむ時は湯せんがベストですが電子レンジでも構いません。
注意事項としては、ワット数を下げて数秒づつ小刻みに加熱してください。
吹きこぼれの危険があります。
温度ムラが出来やすいです。上だけ熱く下は冷たいなど。
マグカップなどで加熱してから徳利に移し替えると温度ムラが解消されます。

最後に燗に相性が良いオススメ日本酒を紹介します。
「生酛」「山廃」と書いてある日本酒はぜひ燗にしてみてください。
冷酒でも良いですが、燗にすると旨味がくっきり出て「化けます」

生酛、山廃とは昔ながら造り方をした日本酒です。
最初に触れたように燗が主流だった頃の製法で造られた日本酒は燗でこそ真価を発揮します。
もちろん熟酒系もオススメです。

ぜひジャガイモを生でかじるのではなくポテトフライや肉じゃがの味を楽しんでみてください。

まとめ

〇燗を知らないと損をする。
〇日本酒は燗で飲むのが王道だった。
〇燗にすると旨味やコクが増す。
〇むしろ燗のほうが酔いにくい。
〇燗は野菜に例えると理解しやすい。
〇ポテトフライや肉じゃがの旨さを選択肢から外すのはもったいない。
〇料理との相性はワインになぞればイメージしやすい。
〇色々な温度帯があるけどぬる燗と熱燗の二択で十分。

今回も長々とお付き合いいただきありがとうございました。
日本酒の色々な楽しみ方をチャレンジするきっかけになれば幸いです。

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