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sabinekoland
【毎週ショートショートnote】会員制の粉雪
お題:会員制の粉雪
会員制。そう聞き想像するものは何だろうか? 高級志向の飲食店や夜の店を想像する人がほとんどだろう。かく言う私も以前はそうだった。
だが世界は広し。我が国ではとある動物を見る為の会員制の店が存在する。
「粉雪ちゃんって本当に奇跡の存在」
「分かる。マジ自然の奇跡」
シャンパンを片手に客が眺める、大きく分厚いガラス窓の向こう。そこにいるのは真っ白な毛に覆われたパンダの粉雪だ。ちなみに今は笹をもぐもぐと食べる夕飯タイムである。
この店の正式名称はない。「粉雪」が世界各国からくる客からの通称だ。
政府が偶然発見・捕獲した突然変異の白いパンダ。単なるアルビノと違う点は、他の白いパンダにはない混じりっけなしの粉雪のような真っ白さと、目を凝らせば見つかるほんの少しだけ風合の異なる真っ白のグラデーション。白く輝くその姿はまさに奇跡の存在と言える。
そんな奇跡の存在は金を持て余した金持ちの心に刺さった。撮影禁止の四文字が尚心を揺さぶる。
「ほら粉雪、デザートのリンゴだぞ」
そして今日も金持ちから巻き上げた金で粉雪は、食事・体調・温度・湿度の全てが完璧の暮らしをする。
果たして見世物になっているのは粉雪か、群がる人間か。
最初は雪が降らなくなった世界の話を書こうかと思ったんだが、ありきたりなのでパンダにした。
「ほら餌の笹代だ」的な感じでサポートよろしくお願いします! ポチって貴方に谢谢させてください!!!