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映像と音楽#1|映画『寝ても覚めても』とtofubeats

こんにちはsakanaです。突然ですが、私はなんでも映画を観たあとで、その感想を手帳に簡単に書くのが4,5年前からの癖になっています。手帳になんでも書き込むのがすきなんですよね。

今日は、そんな手帳に書いているメモを放出していこうということで、1ヶ月ほど前に観た映画『寝ても覚めても』に対して書いていたメモを参考にしつつ、noteを書いてみます。といっても、タイトルにある通り、途中から少しずつ映画の劇判、つまりサウンドトラックや主題歌の話になっていきます。アハ体験だと思って読み進めてみてください(?)。

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映画『寝ても覚めても』は、2008年に上映され、柴崎友香さんによる同タイトルの小説が原作となっています。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも正式出品されました。

映画内容とは別に、主演の2人の報道を知っている人も多いのではないかなと思います。
いきなりこんなことを言うのも残念ですが、正直私にとっては報道を知ってから観る気を無くしていた映画だったので、今回Amazon primeで観たのが初めての視聴でした。
なるべく、なるべくプライベートを抜きに映画の内容だけを観ようと気をつけて観てました。かなりとっても難しかったけど。

大阪に住む朝子は麦と運命的な恋に落ちるが、麦は突然姿を消す。数年後、東京に引っ越した朝子は麦とそっくりな顔の亮平と出会い、お互いにひかれ合うが...。 (Netflixの紹介ページより引用)


簡潔に感想を言うと、「『不気味』で『不思議』な内容の映画」でした。

視聴日の1月27日明け方に書いた私の手帳には、このように書いてあります。

主人公の朝子、やばい男にほんろう(翻弄)されすぎだ。でも自分のことしか考えられなくなっちゃう、ってまさしくこういうことなのかなあ...。

朝子が運命的に好きになった麦(ばく)と疎遠になってから、瓜二つの顔の亮平(りょうへい)と出会い、惹かれ合う。
まだせめてこれで終われば、そうか、気持ちが残ったまま切り替えたのかなあ...というラストで良いのですが、映画のラスト30分くらいの登場人物たちに巻き起こる感情の歪みがすごいんです。

重い。気まずい。モヤモヤが過ぎる。
一見映画ポスターだけだとありがちな恋愛映画のようですが、「実は絶対にデートとかで観ちゃダメ映画ランキング」に堂々ランクインされるべき一作です。わたしはひとり家で深夜1時ごろから再生し始めましたが、アッ観るの1人のこの時間帯で良かった〜という感じです。

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ここまでを振り返るとマイナスな感想ばかりで、じゃあなんで観た、という話なのですが。

実はこの映画、私は映画館での上映が決まったころから知っていて見たいと思っているものでした。でもどちらかというと、映画を見たいというよりも、音楽を聴きたい、に近いのかもしれない。

私のお目当ては、主題歌と音楽を担当しているDJ/トラックメーカー、tofubeatsさんでした。主題歌を聴くために、トーフさんの音楽を聴くために映画を観たと言うまであります。というわけで、ここからはこの映画の音楽のはなしを。

わたし、もともとtofubeatsさんの音楽が大好きなんです。

例えば、ポップなサウンドとキャッチ―なラップが特徴的な「水星」なんか、夕方のすこし暗くなった頃の帰り道とかで聴くとウキウキしちゃいますよね。ちなみにこの曲、今田耕司さんの「ブロウヤマインド」をサンプリングしてできたものらしいのですが、それを知ってYouTubeでそれぞれを聴いて比較したときの衝撃はすごかった。というか今田さん歌歌ってた時代あったんだ。
トーフさんのに着想得て作ったDAOKOの「水星」もエレクトロニックな感じとラップが大好きだけど、結局オリジナルの「水星」に戻ってきてしまう感があります。オリジナルといってもtofubeatsさんはれっきとしたトラックメーカーなので、featuringとかリミックスとかいろんなバージョンがあるのですが、どれもこれもそれぞれの雰囲気が違っていて好きです。

ほかにも、TVドラマ「電影少女」の主題歌だった「ふめつのこころ」とか、比較的初期の楽曲とも言える「神戸で会えたら」とか、せわしなさと落ち着きとが交錯しているような「朝が来るまで終わることのないダンスを」などなど、トーフさんのキャッチ―で伝わりやすい歌詞と特徴的で耳に残るメロディとが重なり合った音楽たちが私は大好きなんです。
ちなみにここでtofubeatsさんが少しでも気になったという方は、手始めに最強なアルバム「FANTASY CLUB」を聴きあさってみてください。まもなく耳が気持ちいいと言い出して小躍りすること間違いなしです。

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そんな大好きなトーフさんの音楽が映画のなかでも聴けるとなったら、チェックしないわけにはいかないですよね。『寝ても覚めても』の上映当時は都合が悪く映画館に行くまでできなかったのですが、主題歌の「RIVER」が配信開始された日には、早速Spotifyで楽曲を聴き、最高すぎて何周もリピート再生していました(熱狂的すぎ)。

そして、今回映画を観て、エンドロールで流れたのがこの「RIVER」。
映画の終盤の内容にも関わる歌詞であったこともあり、映画を観終わってすぐに「もう一度RIVERの曲だけ聴きたい」という思いに駆られました。

ふたりの愛は 流れる川のようです とぎれることないけど つかめない

この映画を観てから改めてこの曲を聴き、歌詞を思い返すと、映画の内容の核心を突くような歌詞だなあ、と感じさせられます。

私の解釈では、愛情というのは途切れることがなくても、つまり関係がずっと続いていても、「つかめない」=互いに理解できない部分があったりする、というように考えられます。

「愛」という深いテーマを流れる川と表現するの、本当にかっこいいですよね。映画ではこの曲を具現化させるようなシーンがあり、このシーンは特に音楽と状況とがマッチしていた印象的なところでした。

もちろん、主題歌以外にも、挿入音楽で耳に入るトーフさんの音楽もまた素敵なんです。劇中に流れたトーフさんの声の入った一曲(タイトルは「the sweet love song」)なんか、映画の空気感を包み込むような重低音のしっとりしたサウンドでお気に入りでした。

サウンドトラックを改めて聴き直してみると、映画音楽でありながらも所々にtofubeatsさんのサウンドが感じられます。
なかでもサウンドトラック内の一曲「in the club」は、tofubeatsさんと藤井隆さんとの「ディスコの神様」とか、森下千里さんとの楽曲「Don't Stop the Music」のようなリズミカルな雰囲気があり、DJとしても活躍するトーフさんが作り出すアップテンポなリズムに引き込まれます。

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そんなわけで、『寝ても覚めても』は、tofubeatsさんの作り出した劇判によって、映画自体のミステリアスさや独特な不気味さ、さらには愛を実感することの難しさがさらに感じられる一作になっていました。

正直言って映画内容知りたさよりも音楽聴きたさに観た映画だったので、私自身としては映画と音楽とがうまくマッチしていたこともあり、音楽も含めて内容を楽しもうとすればとても良い作品だったのではないかなと思います。
ただ、難点はやはり映画の登場人物と出演俳優・女優とを重ね合わせて観てしまいかねないことですね。作品自体の不気味な内容も相まって、空気感が凄まじく、個人的には諸事情が気になってしまって心置きなく観るのは困難でした。そういう意味では、残念ですが報道から暫く経った今でも、観た時期は悪いような気がします。ゴシップに疎い人であれば、そこまで気にせず見られるのかもしれません……。

私からは、tofubeatsさん最高!のひとことで締めたいと思います。

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<今日のひとこと>
映画とそこで出てきた印象的な音楽とを語っていく感じのもの、また良い作品を見つけたら、暇を見つけて書いてみます!

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