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2021年4月の記事一覧

35ミリ

きっと誰でもいいのだろう
嘔吐しきれなかった憂鬱を
一緒に噛みしめてくれるのなら
きっと誰でもいいのだろう
優しく溢れる陰鬱を
一緒に舐めあってくれるのなら

苦し紛れで歩みを続けて
鋭く虚栄をまき散らす
さすような冷雨に似た黒髪
永久凍土のなれの果て
君と僕は同じだね
なんて言ったら怒るかな

どこ吹く風で歩みを続けて
漂う虚構に身を任せる
酔ったまなこで見つめる街は
いつか観た35ミリの淡い夢

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2・5

境界線を隔てた先に
広がりすすむ独自の針
触れることは許されない
負を排除した甘美な虚構と
部外者の僕とをつなぐ接点は
愛と呼ぶべきものだろうか

そのものになりたかったわけじゃない
ただ美しくなりたかった
ただ近づきたかった
そこには性別の違いなどはるかに超えた
生命の理をくつがえす力が存在した
窓外に広がる理想郷と
籠りよどんだ現実が
混ざり溶けあい浸食し
輪郭を失った境界の果てで
僕はあたら

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憂鬱キャラバン

高架下をくぐり抜け
フィルムの中にひとっ飛び
井の頭線はスタッカート
跳ねて響いて過ぎていく
池のほとりを過ぎてみて
水の香りの残る道
川沿い歩いて久我山へ
憂鬱振り切り逃げてみよう
現実振り切り逃げてみよう
ふかした煙が漂って
消えていくのはお空の彼方
逃げよう逃げよう目をつぶろう
耳をふさいで鼻をつまんで
でないと近道したくなる

逃走劇の結末の
終点意外と早かった
北に逃げると聞いたけれど

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優しい傷跡

ぐるぐるぐるぐる堕ちていく
ここにはやっぱり空気がない
穴のあいたコンバースも
役割を果たさないせんべい布団も
これはきっと僕の体
僕の深淵

ゆらゆらゆらゆら回ってる
無間奈落の彼女の瞳
積み重なった憂鬱の言葉も
無数に刻まれた優しい傷跡も
これはきっと僕の足跡
生きた証

それは僕に徹底的に甘く
徹底的に優しい
風船みたいにぱんぱんに
僕を膨らませる汚れた空気は
そこからしゅるしゅる抜けていく

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少女S

後悔なんてあるわけない
そう思ってた
思いたかった
思わなきゃいけなかった

あいつにもう一度笑顔が戻れば
わたしはそれで満足だったよ
あの時の気持ちは嘘じゃない
それは私の誇れる確かなもの

今のわたしを見ないでね
優しい言葉はもう届かないから
濁ったわたしの命の結晶は
わたしが背負った重すぎる代償

あの人みたいになりたくて
必死に献身してたつもりだった
無償の愛だなんて
やっぱりわたしは馬鹿

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いよいよ終わってる

4Gの横のくるくるなし
もう限界
Wi-Fiの横のくるくるなし
消息不明限界突破の狂人日記
上に1ミリずれたら別の記事はいアウト
下に1ミリずれたら他人の会話ではいアウト
むしってむしって舞い上がれ
毛髪飄々魑魅魍魎
ニコチン循環大亜鉛
ぴえんびえんでふっくびっくえーん
こりぁあ失礼副・鼻腔・炎
飛んで火に入る夏の虫
受信診断結末アウト
江笥・江笥・嗚呼瑠・愛
逃亡失踪逃避行
遥か昔の彼方のお話

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