少女S

後悔なんてあるわけない
そう思ってた
思いたかった
思わなきゃいけなかった

あいつにもう一度笑顔が戻れば
わたしはそれで満足だったよ
あの時の気持ちは嘘じゃない
それは私の誇れる確かなもの

今のわたしを見ないでね
優しい言葉はもう届かないから
濁ったわたしの命の結晶は
わたしが背負った重すぎる代償

あの人みたいになりたくて
必死に献身してたつもりだった
無償の愛だなんて
やっぱりわたしは馬鹿だったのかな
それはわたしのエゴだったのかな

わたしは見返りを求めてたのかな
あいつに笑顔以上の何かを求めてたのかな
でももうそんなことすら馬鹿らしい
空っぽになったわたしの体は
あなたに触れる資格をもたないのだから

考えがなかったわけじゃないんだよ
大切な人たちを守れたつもりだった
それなのに
あなたはわたしのために喉を潰して叫んでくれた
アンタはわたしに必死に手を差し伸べてくれた
誰よりも大切だったあなたを
誰よりもわたしのことを想ってくれたアンタを
わたしは傷つけちゃったんだ
わたしってほんと馬鹿

わたしは悪意
わたしは災厄
わたしは魔女

あの人みたいになろうとして
わたしは必死に戦った
あの時の気持ちは嘘じゃない
それはわたしの誇れる確かなもの

後悔なんてあるわけない
でもね
わたしのために叫んでくれてありがとう
わたしのことを叱ってくれてありがとう
わたしに寄り添ってくれてありがとう
ごめんね巻き込んじゃって
アンタがわたしのために祈ってくれたことを
わたしはずっと忘れないよ

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