優しい傷跡

ぐるぐるぐるぐる堕ちていく
ここにはやっぱり空気がない
穴のあいたコンバースも
役割を果たさないせんべい布団も
これはきっと僕の体
僕の深淵

ゆらゆらゆらゆら回ってる
無間奈落の彼女の瞳
積み重なった憂鬱の言葉も
無数に刻まれた優しい傷跡も
これはきっと僕の足跡
生きた証

それは僕に徹底的に甘く
徹底的に優しい
風船みたいにぱんぱんに
僕を膨らませる汚れた空気は
そこからしゅるしゅる抜けていく

爆ぜそうなときは無理をせず
ガスを抜けば一件落着
誰も開けてくれない通り道
僕ですらも開けられない
でも刃渡り数センチの優しさは
どんな時でも温かく
僕を包んでくれるだろう

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