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「金子文子と朴烈」

2022年9月1日
1923年(大正12年)9月1日
#関東大震災 11:58発災

大正生まれだった叔母は生前
小さい揺れでも酷く怖がってたのを覚えてる。

9月なのに酷く蒸し暑くて気味悪い日だったと聞くから
子供の頃は暑い秋の日には地震が来るのかなとビクビクしてたけど
今や9月で猛暑なんて普通中の普通になってしまった。

「金子文子と朴烈」
監督 #イジュンイク
2017 韓国

これを #アマプラ で観たのは2ヶ月前ぐらいなのだけど、
わからない用語が多すぎて
先日投稿した書籍 #民衆暴力
それと写真の #日本と朝鮮の100年史 を読んでからもう一度観た。

「不逞鮮人」の意味がわかってからの「不逞社」のネーミングの皮肉、
文子が「朴烈」を「ぱくよる」と日本語訛りで発音すれば
「いまバカヤロウと言ったか?」と朝鮮人の(仲の良い)お兄さんにからかわれる。
この絶妙なユーモアと言葉遊び。

「この朝鮮人が!」
と主役の朴烈が日本人に激しく足蹴にされる冒頭シーンからの、
この不思議な「社会主義のおでん屋」の中の
知的であたたかな世界とのギャップ。

だらしなく伸びたチョンマゲの名残りの様な髪型をした日本人に通りすがりに挑発され
日本人店主が「今は国民国家だぞ!」と言い返す意味。

江戸から明治になった、人々の混乱と分断が
まだ大正にも続いて乱れてる様子がうかがえる。

「三・一運動」「クロポトキン」「大杉栄」
映画にはサラッと出るだけだけど
この物語の中の人にとっては芯になっているワードたち。

大正時代のアナキスト達にとても興味を持った。
いやその思想に深く共振したみたいな過激な事ではないけど
この時代のこの人たちの心情を知りたくなった。

もう少し勉強したら
金子文子の #何が私をこうさせたか を読みたい。
#ブレイディみかこ の #女たちのテロル も
瀬戸内寂聴の #余白の春 も読みたい。
全く忙しいw

写真の、朝鮮人へのジェノサイドについての2冊は、
購入したけど今日までに読めなかった。
積ん読にしないで順に読んで行きたい。

-

映画は素晴らしいものだった。
主役の2人がすごく生き生きと輝いていて
まるで本人達のドキュメンタリーかと思ってしまう程。
ラブストーリーとして考えるならとても素敵なカップル。

朴烈 #イジェフン の
#アナキスト らしく「働かない」とかw
#フェミニスト らしく文子に弱い様子
文子を「女」ではなくひとりの人間として尊重する様子
あと何より笑顔が!好き♡ 魅力的。

文子 #チェヒソ もハッとする切れ味を度々披露し
こちらもすごい魅力的なひと。
被告人席から勢いよく振り向いた顔の美しさよ!

仲間達も、2人の間を行き交う日本政府側の人々も
心情の変化が本当に見事で、人間味に溢れてる。
「まるで結婚式」の様な場面では胸がいっぱいになった。

植民地時代に日本で暮らす朝鮮人の話なのに
作品から日本人への敵意を感じず、むしろあちこちにリスペクトが垣間見える。
強権とその思想を憎み、国民を憎まずといった感じ。

逆に私は「かなわないなぁ…」と思ってしまう。
ウチら日本ではこの映画を作れないよ…と悲しい。

朝鮮で日本統治からの独立を宣言した三・一運動
その際に朝鮮総統府で痛い目をみた水野錬太郎が
その後の日本の内閣にいて
この震災にかまけて朝鮮人虐殺を先導する様子
日本人としてはちょっと露悪的すぎると言いたい気にもなってくるが、
色々読むと否定しにくいことが見えてくる。
地震後に起こったデマは、発生源こそ不明なものの
煽ったのは民衆だけではなく、国家や警察が大いに扇動した。

そして、これは映画には無くて本の情報だけど
その虐殺が生き過ぎて問題になった結果、
政府は梯子を外し、シラを切り
罰さられたのは民衆だけだった。

この辺のこと
まだしばらく色々読んでみようと思う。

キャストには日本人や日本の #新宿梁山泊 の俳優
そして日本語の堪能な、様々なルーツの韓国人俳優などが集っているらしく
だから日本人役の方々も日本語が堪能だ。
でも本来なら日本側の閣僚などのキャストは日本人が演じるのがベストだし、
日韓でこんな映画を作れたら号泣ものだ。
今に至っても、政治ではなく文化の分野で
そんなコラボも出来ないのは日本映画界のせいか
私たち日本人の無知のせいか。

新宿梁山泊は、観に行ったことがないのだけど
代表の #金守珍 の裁判長役、拠り所を侮辱された日本人の表情
流石の演技だった。
他にも本当に素晴らしい俳優が沢山で見応えがあり
実在の、国境を越えた思想の交流が沢山描かれていました。

自国の過去を学ぶことが
惨禍や加害を繰り返さないこと。
そういう意味で、この見事な映画が韓国作品である事が
日本人としてショックでした。凄い。

最後の写真は、こないだ神保町で見つけた #大正デモクラシー あたりの、面白そうな本。
朴烈や文子達が何を考え何を欲していたか
少しは分かるかもしれない。
時代の前提が違っても、言論で自由と人権を模索する人々を
きっと知っていて損はないかなと☺︎

#金子文子と朴烈#朴烈#박열
#映画#映画記録#韓国作品
#movie#本#book#読書
#アナキズム

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