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#11 雲の形が変わるとき

こんにちは。sacaikumiです。

この「考える」マガジンは、私が関心を持ったトピックを幅広いテーマで自由に書いていく予定で作りました。今回は、歳を重ねる楽しみと美しさについてお話します。

長い夏が終わり、ようやく秋が来て、私は例年通り歳を重ねました。年々秋が短くなっていくような肌感がありますが、私の誕生日である10月の後半は、本格的に寒くなる前の一番気持ち良い気候です。

私は技術職ということもあり、歳を重ねることは昔から結構楽しみでした。30歳を過ぎた女性の大人としての余白と自分をよく知った美しさは、昔から私の憧れでした。

石田衣良さんが小説「爽年」の中で、雲の形を女性の年齢に重ねた素敵な表現をしていました。正確な引用ではありませんが、こんな感じの台詞がありました。

若い女性の張りのある身体はまるで夏の雲のようで、歳を重ねていくと秋の雲のように輪郭が段々ぼやけていく。それなら僕は秋の雲の方が好きだ。

この本は何事にも熱量を持たない平均的な男子大学生が娼夫になって、女性が持つ欲望の深さと多彩さに魅せられていくお話です。

つよい欲望を心の内に秘めた沢山の女性達を通して、生きる理由や目的について考え始める主人公の心の大きな変化の流れは、合間合間にたくさん挟まってる細かいセックス描写をきらびやかに鏤められた破片のように見せてくれて、とても美しい本です。

エロい小説が読みたい!って思う人がそれ目的で読んでくれても構わないのですが、個人的には、日常生活がつまらないと感じている人にお勧めしたいです。今、生きているという事実に触れることは平和な生活の中ではほとんどないから。

それから、若さだけが人の魅力じゃないし、いつまでだって心の声に従って生きて良いんだって思って欲しいです。

それから少し話は変わりますが、最近、素敵なブティックと出会いました。[for Her Tokyo]というお店。オーナーのまりこさんの言葉を通して、最近洋服のまとい方を見直しています。

私は小さい頃から洋服が好きでしたが、私にとって良い服を纏うことは贅沢という立ち位置でした。

今の時代、着れたらなんでも良いと思えば5000円で全身揃えることだってできるし、そんな中で服にこだわることで得られる直接的な外的影響力には限度があると可能性を閉じてしまっていたから。

でも、オーナーのまりこさんは、私のそんな考えをゆうに上回る色とりどりの言葉で、洋服の世界の奥深さ、面白さ、そしてその洋服との出会いのストーリーを教えてくれて、視野をぐっと広げてくれるんです。
どうしてこの服が大切なのか、どこに惹かれて選んだのかっていう洋服の背景は、その服を着るときに少しだけ背筋を伸ばしてくれます。

服を通して見つめ直せるものは色々あります。わかりやすいものでいうと自分の姿かたちとか、好きな色とか、どんな女性/男性になりたいか?という精神的なものとか。
自分を見つめ直した時間と背中を押してくれる洋服とが、明日の自分をちょっとだけ変える魔法をかけてくれるから、服と一緒にいくつになっても成長出来るってことを教えてくれます。

洋服を介して自分自身を見つめ直すことこそが洋服と向き合う意義で、もしその時は買わなかったとしても、自分と向き合った時間はとても貴重なものだと思い直しました。
放っておくと人はどんどん考えない方に流されるから。

私がこの記事を通して言いたいことはふたつ。

ひとつは、歳を重ねることは劣化ではなく変化であるということ。歳を重ねたから諦めなくちゃいけないことなんて何もありません。

もうひとつは、自分をよく知って、自分と向き合う時間こそがあなたをもっと美しくしてくれるということです。

心の美しさや誠実さは見た目に現れると思ってます。

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