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「百聞はなんとやら」

これは、葛藤を抱えながら就活している大学生と、東京で働くクリエイティブディレクターとのリアルな交換日記です。今の就活生が感じる心の揺らぎと、社会人からのさりげないエールをお楽しみください。

前回までの就活交換日記

就活を始めたものの、今週はおやすみモードだったという愛さん。「コロナ時代の就活を生き残れ」と言われても、危機感を持つことができない。かといって、何もしないのも…と、腰を上げようとしている様子。

そんな愛さんに対し北さんは、ずっと走り続けることなんてできないんだから、いいんじゃない、と声をかけます。そしてあまり決めすぎず、幅広く就職活動をしてみたら、と。

#02の就活交換日記はこちらから。

今週は、学校の企業説明会に参加してきたという愛さんの日記から始まります。

登場人物

大学生の愛さん(仮)
地方文系大学に通う就活生。留学経験がある。ひょんなことから北さんと出会い、交換日記を始めることになった。様々な心の葛藤を抱えながらも等身大に就職活動を行おうと奮闘中。

クリエイティブディレクターの北さん
コピーライター歴、約20年。長年採用広報に携わってきた経験から、採用のクリエイティブをもっと面白くしていきたいという熱い思いを持っている。宣伝会議コピーライター養成講座で、求人広告クラスの講師も担当。

愛さんの今週の日記
「百聞はなんとやら」

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【2020年12月某日】
今週は学校が主催する企業説明会に数社分参加してきました。実際に働いている方と話してみて、”社会人”としての言語を使うことを自分に強いねばならず緊張する場面が多かったです。しかし、仕事内容や休日の過ごし方などを知ることで数年後の自分がどのように暮らしているかを具体的に想像でき、新卒としての企業選びに自身の未来のデザインを少し重ね合わせることができたのではないかと思っています。個人的に好きな作品の一つに沢木耕太郎の深夜特急があるのですが、その中の主人公がユーラシア大陸を鳥のように自由に旅していたように、自分自身も働きながらまだ知らない人や土地や文化と絶えず接点を持つことができるように仕事をしていきたいと心を決めた週でもありました。

今日のラジオで、「成功の反対は、失敗ではなく、何もしないこと」という言葉が流れていました。どんなことでも挑戦することに意義があるとするその言葉が指すように、自身の就活も食わず嫌いをせず、自分を卑下しすぎずに挑戦と選択の回数を増やしていきたいと思います。

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北さんからの就活エール
「社会人ってなんだろう?」

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今回も興味深く読みました。ありがとう。でもって思ったのは、「社会人ってなんだろう?」ということ。以前、フランス人のクリエイティブ・ディレクターとお話しする機会があり、日本人の就職活動やキャリア観について尋ねると、「大学を卒業したら社会人になるってのはおかしいよね。中学生でも高校生でも社会を構成する一員なんだし、少なくとも20歳を越えた大学生は社会人だよね」と答えていたのが印象的でした。しかも、この国では社会人になることが、それまでの自分を捨てることのように捉えられている。まるで社会の歯車のひとつになる儀式のように。

でも、たしかにちょっと前までは(いや、今も一部では)、個人のキャリア権(どのようなキャリアを積みたいか)より、企業の人事権(会社がどう働かせたいか)が強く、企業都合の異動も転勤も断ることなんかできなかった。ただ、こうした理不尽な人事権は終身雇用とのトレードオフで受け入れることができたものだし、企業が雇用を保証しない今の時代、もう通用しない考え方だと思ったりもします。

結論、なにが言いたいかというと。もうすでに社会人なんだという自覚は持ったほうがいい。その上で、異世代へのリスペクトとコミュニケーションスキルはしっかり身につけながらも、過度に自分を消そうとはしなくていいんじゃないかなあ。ま、最後まで消えないものが個性だしね。その個人としての考え方や能力を、「いっちょ企業に貸してやるか」くらいのつもりで就職活動に励んでみてください。がんばれー。


編集:家洞 李沙(Fanclub)


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