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Tree In Progress

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主に屋外で描く植物のドローイングを軸にした、「線を引く」ことから制作を再考する試み。 ドローイングを元にした銅版画も制作。 ‘23 5/6〜23柳沢画廊(埼玉県)にて個展。 同年…
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#齋藤悠紀個展_TreeInProgress

紙はまっさらな場?

紙はまっさらな場?

柳沢画廊の個展の2階にオーナーと共にレイアウトし飾りつけた小さなドローイングたち。
 全て、自分で染めた洋紙や和紙を各地へ持参し、そこで描いた作品です。現在進行形です。その場で描き始め、その場で描き終えます。
 中には実際にかなり古いレアな紙もありますが、ほとんどが自分が版画制作等で使用し、発表はしなかったここ20年くらいの、紙のハギレの裏側に描いています。

 私のオリジナルスケッチブックについ

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「その絵が良い」と思う無数の道筋。

「その絵が良い」と思う無数の道筋。

個展も終わりが近づいてきたので、朝から撮影をお願いしました。

 今日はこれまでと打って変わってお客さんが多く、午前中から閉廊するまでほぼ途切れずにずっとお話をしていました。銅版画を欲しいと申し出てくださるお客様が、ポツリポツリと現れました。そして、今回の樹木のドローイング(1点もの)の出品作の中でも最大の、ノカンゾウをテーマに描いたものを気に入ってくれる方とも出会えました。感謝です。

 お客様

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「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/ひっかく。

「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/ひっかく。

 金属板を直接削り、削った痕跡にインクを引っ掛けて紙に刷りとる技法をドライポイントと言います。
 マスキングし、腐食液で溶かす時間の長さによって濃淡が生じるエッチングとは違い、力の入れ方が濃淡に直結している感覚的な技法です。
 引っ掻いているところを動画で撮影してもらいました。力を込めるところは思いっきり体重をかけています。逆に抜くところはサラサラと擦るだけ。「描く」という感覚とは全く異なります。

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ジャズと植物のドローイングと

ジャズと植物のドローイングと

 浦和で開催中の個展、「Tree in Progress」
 オーナーの柳沢さんはジャズに造詣が深く、私のドローイングから浮かんだ曲をその時々に付け、インスタグラムに投稿してくれています。

林檎の樹と、デューク・エリントン「イン・ア・センチメンタルムード」

荒れ地のヒマワリと、クリスチャン・マクブライド「Little Sunflower」
これはぴったりのタイトルですね。

菖蒲の花と、Bil

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「樹の中で」銅版画制作動画/雁皮紙のカット、刷り〜刷り上がりチェック

「樹の中で」銅版画制作動画/雁皮紙のカット、刷り〜刷り上がりチェック

前回の続き。
雁皮紙という極薄の和紙を、インクを刷る際に一緒に刷り上げる雁皮刷りという技法。

 まず雁皮刷り用の雁皮をカットする為の型紙を作ります。伸び率などもこの型紙で調整しておくことが出来ます。
 紙やインクを変えながら色々刷りながら試していきます。
 版を作ったら後は刷るだけ、という直線的な制作ではなく、刷りの中であれこれ試し、思いついたことを再び版の方にフィードバックします。

 今月2

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