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龍のいた景色〜見沼〜

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私の育った見沼。何気なく散歩しながら眺めていた代用水と桜並木。そこは古くは東京湾と繋がり、人と自然との関わりが今に伝承される場所でした。語られる龍と人との伝説の、クライマックスは…
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#ガラス絵

「鷺藪」(Heron bush)/個展「かくれざと」出品作#10

「鷺藪」(Heron bush)/個展「かくれざと」出品作#10

 鷺藪についてはこちらの記事に書きましたが、すっかり減ったとは言え、川沿いを散策すると今も鷺をしばしば見かけます。地図から引用した形と、昔の見沼、鷺の姿を重ねました。

お問い合わせは福福堂まで。(伊勢丹浦和店は会期中のみ対応。)

双龍と鷺

双龍と鷺

 見沼にまつわる環境からの作品を二点制作中。

見沼代用水東縁には、さぎ山記念公園という場所があります。江戸時代には沢山の鷺が営巣する場所で、野田のさぎ山、鷺藪(さぎやぶ)と呼ばれていたそうです。昭和に指定解除されるまでは天然記念物でした。

続く

龍神の絵/完成

龍神の絵/完成

 風を抱く龍神。
 地上の人間の営みの層を重ね、完成です。

「科戸(しなと)」(wind occur)
多層ガラス絵(2層)
545×425mm

どんな龍

どんな龍

 裏門と対になる3層の多層ガラス絵作品を描きます。
 開かずの門の、表はやはり、龍がいる。

 何度か龍を制作するうちに、それがどんな細部を持つのか、ということを自分なりにより突っ込んでいけるようになってきたように思います。
 制作では頭と手、両方が動き出します。
 自分なりの歩みが、見る人にとっての求めるものになるとは限りませんが、自分なりの龍を描くならそういう舵取りは必須です。
 そこを蔑ろに

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裏門に隠れて

裏門に隠れて

門の表からの絵を描いたので、内側、裏も描くことにしました。
 裏門は、また別の場所に繋がっているかもしれない。

 閂(かんぬき)は止めている木の棒。漢字がそのまんまですね。
 支えているのが閂鎹(かんぬきかすがい)、あるいはそのまま鎹(かすがい)。
 赤茶で錆びた鎹と、閂を補強?する為の金属が朽ちかけて緑青が出ている。裏側もいざ描いてみると十分味わい深いことに気付きます。

 早速掻き出し。その

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龍猫図

龍猫図

「龍猫図」
多層ガラス絵(3層)

 龍というお題から、自分にとって最も身近であまり詳しく知らなかった環境への掘り下げによって、少し変わった龍の作品になりました。この一点を作る間に考えたことなどからもう少し作りたいものが派生してきました。

ねこ御成道

ねこ御成道

 開かずの門の下でまどろむ眠り猫を描きました。

 しばらく迷っていた龍のもう一層も決まりました。

 大作もようやく完成が見えてきました。

龍を描く

龍を描く

前回の掻き落としを終え、着彩と箔貼り。

 周辺に渦を描いていましたが、他の層の描画が進んだので、その兼ね合いを見つつ更に掻き落としていきます。これは実際に重ねないと結構分からないので時間がかかりました。

 結局ほぼ全部削り落としました。

開かずの門の絵

開かずの門の絵

 前回の作品を制作した際、知ったのは、見沼の釘打ち龍伝説内で龍は、村人たちに危害を与え暴れ回るもの、即ち神格化されない水の神の姿として語られているということです。コントロールの出来ない野生を、それでも寺や神社の高い場所に祀っている。
 ここには人間と水の神との関わり方の奥深さが表されているように感じます。

 古事記の中の最古の神話のウサギ「因幡の白兎」。
 そこに、アニミズムとして聖獣信仰が読み

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「門と龍」多層ガラス絵(2層)

「門と龍」多層ガラス絵(2層)

前回描いたドローイングなどから、作品の指針が見えてきたので、描いてみることにします。
 目の前の古びた門と、歴史の龍という異なる現実を、2層で表現する予定。

 国昌寺の開かずの門の伝説では・・・
 昔、見沼ではしばしば湖面をのたうち回る龍がいたため、日光東照宮の「眠り猫」で有名な、左甚五郎に木彫を彫ってもらい、寺に納め釘を打ち込んでおいた。しかし、葬列がその門を潜り抜けた際、棺が軽くなったので開

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