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キリスト教およびキリスト教徒

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古今東西の文明を包み込む京都「祇園祭」──禁教時代に「聖書物語」を飾った函谷鉾(「神社新報」2002年1月14日)

古今東西の文明を包み込む京都「祇園祭」──禁教時代に「聖書物語」を飾った函谷鉾(「神社新報」2002年1月14日)

 日本三大祭りのひとつ、京都・八坂神社の祇園祭について書こうと思います。

 昨年(平成13年)9月11日のアメリカでの同時多発テロ事件に端を発するアフガニスタン戦争はすでに最終局面を迎え、今度は他のイスラム諸国を標的とする第二段階に進みそうな気配です。「文明の衝突」という表現を否定する人は多いのですが、そうした側面は否定しても否定し切れないようにも思います。

 テロ事件の容疑者にはアフガン人は

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孔子廟「違憲」判決を批判する「反靖国」キリスト者の薄っぺら声明(令和3年4月2日、金曜日)

孔子廟「違憲」判決を批判する「反靖国」キリスト者の薄っぺら声明(令和3年4月2日、金曜日)

すでに書いたように、2月24日、最高裁大法廷は、沖縄・那覇市が所有する公園内に立地する孔子廟(設置者は一般社団法人久米崇聖会)について、市が土地使用料を免除していたのは、憲法の政教分離原則に違反するなどとの重要な判断を示した。それから半月後、「信教の自由」「政教分離」にとりわけ敏感なキリスト者が厳格主義に立つ声明文を発表した。今日はそれをご紹介したい。

すなわち、先月11日に発表された、日本バプ

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御代替わりを攻撃する日本キリスト教協議会リポートの不信仰(令和3年2月28日、日曜日)

御代替わりを攻撃する日本キリスト教協議会リポートの不信仰(令和3年2月28日、日曜日)

▽1 聖書は「王」への敬意を要求している

日本のプロテスタント教会・教団・関係団体で組織される日本キリスト教協議会(NCC。東京・新宿区)が今月23日、令和の御代替わりについて「総括」する文書を発表した。

取りまとめたのは靖国神社問題委員会(委員長=星出卓也・長老教会牧師)で、いわゆる靖国問題をテーマとする特別委員会によるリポートであるところに、すべてが言い尽くされている。端的にいって、本来の

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キリスト者に育てられ、キリスト教国の影響を受けられた昭和天皇──天皇・皇室の宗教観 その3(「月刊住職」平成27年11月号)

キリスト者に育てられ、キリスト教国の影響を受けられた昭和天皇──天皇・皇室の宗教観 その3(「月刊住職」平成27年11月号)

 中国や朝鮮では、王朝が交替するたびに国の宗教が代わった。だが日本では、万世一系の天皇を中心に、諸宗教が平和共存する多元的宗教空間が保たれた。

「およそ禁中の作法は神事を先にす」(順徳天皇『禁秘抄』)を原則とする皇室では、仏教に帰依された天皇もまた神道祭祀を厳修された。「私をおいてほかに神があってはならない」(十戒)とする一神教世界ではあり得ない現象だ。近代になると、皇室はキリスト教文化を積極的

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コンクラーベで思い出した白柳枢機卿の信仰──百地章日大教授の拙文批判を読む その6(2013年03月16日)

コンクラーベで思い出した白柳枢機卿の信仰──百地章日大教授の拙文批判を読む その6(2013年03月16日)

 百地章日大教授が月刊「正論」3月号にお書きになった拙文批判について、検証しています。今回は、先生が専門とされている政教分離について、ほんの少しだけ考えてみます。

 その前に、新しいローマ教皇が選出されましたので、そのことについて書くことにします。

▽1 5人の日本人枢機卿

 第265代ローマ教皇ベネディクト16世の退位に伴い、教皇選挙(コンクラーベ)が行われ、13日、アルゼンチン人のブエノ

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「戦前の迫害」はあったのか──教会指導者と行政による歴史の改竄(平成19年6月10日日曜日)

「戦前の迫害」はあったのか──教会指導者と行政による歴史の改竄(平成19年6月10日日曜日)

 メルマガを読んでくださっているクリスチャンの読者から、戦前のキリスト者が受けた「迫害」について、何度かメールをいただきました。たいへんありがたいことです。正直にいえば、私も以前はこの読者と同様に、キリスト者たちがつらい体験をした、という歴史をほとんど疑いもなく信じていました。

 けれども、戦時中、著書が発禁処分になるなど、当時の代表的神道人が受難を経験していたということを知り、歴史の事実は常識

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「大和撫子の恩人」パトリック・バーン神父──厳寒の北朝鮮で殉教す(平成20年6月14日号)

「大和撫子の恩人」パトリック・バーン神父──厳寒の北朝鮮で殉教す(平成20年6月14日号)

(画像はバーン神父。メリノール会HPから拝借しました。ありがとうございます)

 敗戦後、靖国神社の焼却が噂されていたとき、「殉国者はすべて靖国神社に祀られるべきだ」とマッカーサーに答申し、同社を救い、一方、キーナン検事に何度も面談して昭和天皇訴追の断念、天皇制の存続を認めさせたビッテル神父のことはよく知られています。

 しかし、もう1人、日本を救ったカトリック神父がいることはあまり知られていな

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当てはまらないカトリック司教の靖国批判。糸永司教にしてもなお(平成19年12月20日木曜日)

当てはまらないカトリック司教の靖国批判。糸永司教にしてもなお(平成19年12月20日木曜日)

 この一年ほど、日本のキリスト教、とくにカトリックの指導者に対する批判もしくは問題提起を、一般のメディアで何度か書いてきました。この10年ほど、キリスト教について学んできて、靖国批判や歴史批判をする司教様方の政治的言動があまりにひどいものと映ったからです。(それらは私のサイトに掲載してありますので、ご関心のある方はどうぞご覧ください。)

 しかしけっして教会指導者すべてが左傾化し、異端化している

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帝国憲法発布を記念する讃美歌づくり?──完全な礼拝の自由を得る(平成19年12月5日水曜日)

帝国憲法発布を記念する讃美歌づくり?──完全な礼拝の自由を得る(平成19年12月5日水曜日)

 ブログの読者のお一人である佐藤雉鳴さんが、2冊目の著書を出されました。前回の本は『本居宣長の古道論』、今回は『繙読「教育勅語」』で、勅語に記されている「中外」の解釈が1世紀以上にもわたって、「国の内外」と誤読されている、戦前の日本が誤解された一因がここにある、と指摘しています。

 そのエッセンスは勅語衍義批判という形で人形町サロンに掲載されていますので、ご興味のある方はどうぞお読みください。

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信仰を忘れた聖職者たち──性犯罪、献金横領、そして政治的暴走と目を覆うばかり by 木下量煕+斎藤吉久(「正論」平成19年11月号)

信仰を忘れた聖職者たち──性犯罪、献金横領、そして政治的暴走と目を覆うばかり by 木下量煕+斎藤吉久(「正論」平成19年11月号)

▢1 投票日当日の政治講演ミサ

 参院選投票日当日の平成19年7月29日、さいたま市のカトリック浦和教会(司教座聖堂)で行われる聖日ミサに、多くの信徒たちが注目しました。埼玉、栃木、群馬、茨城の四県で構成されるさいたま教区の最高責任者であるT司教が、ミサの説教を利用して政治講演を行うとの情報が走ったからです。

 教会の教義(カテキズム)は、政治に直接介入することは聖職者ではなく、信徒の任務だと

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大司教文書が書き換えられた理由──「検証していない」とみずから説明(平成19年6月6日水曜日)

大司教文書が書き換えられた理由──「検証していない」とみずから説明(平成19年6月6日水曜日)

 先月、「書き換えられた東京大司教の文書」を書きました。信教の自由と政教分離をテーマに、日本のカトリック教会の指導者が昨秋来、発行した小冊子シリーズとそれらをもとにして今年3月に出版された合本を比較すると、大司教の文書の根幹部分が書き換えられていることを指摘したのでした。

 大司教の文書は信徒の靖国神社参拝を認めた1936年のバチカンの指針を再考察したもので、時代が変わったから、

「そのまま適

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ふたたび岡田東京大司教様へ──なぜそんなに日本批判に血道を上げるのですか?(「正論」平成19年6月号から)

ふたたび岡田東京大司教様へ──なぜそんなに日本批判に血道を上げるのですか?(「正論」平成19年6月号から)

 岡田武夫東京大司教様、前回の手紙はお読みいただけたでしょうか? 近年の教会指導者の政治的言動には見過ごせない疑問点が多々あり、杞憂(きゆう)であればと願いつつ書簡をしたためた次第です。けれども懸念はけっして私だけではないようで、ある信者の方から届いたお便りにはこう書かれていました。

「拉致(らち)被害者の家族を支援するならまだしも、主権を侵している北朝鮮の側に立った発言を繰り返す司教様もおられ

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書き換えられた東京大司教の文書──バチカンとは異なるメッセージ(平成19年5月31日木曜日)

書き換えられた東京大司教の文書──バチカンとは異なるメッセージ(平成19年5月31日木曜日)

 きのう、来日した台湾の李登輝・前総統が靖国神社参拝を検討している、と伝えられます。
http://www.asahi.com/international/update/0530/TKY200705300170.html

 前総統は熱心なクリスチャンといわれます。クリスチャンの靖国参拝といえば、大平首相の参拝が思い起こされますが、李登輝さんの参拝が実現すれば、マスコミが報道しているように、中国の

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告白の文化と禊祓の文化──キリスト教と神道の違い(平成19年5月7日月曜日)

告白の文化と禊祓の文化──キリスト教と神道の違い(平成19年5月7日月曜日)

 私小説作家でもエッセイストでもないので、個人的なことや、主観的なことは書くまいと心に決めているのですが、今回のタイトルにあやかって少しだけ「告白」しますと、家人が思わぬ事故に遭い、緊急入院、手術という慌ただしい日々が続き、このブログ(メルマガ)もすっかり間が空いてしまいました。幸い軽傷で済みましたが、私も家族も仕事と生活のリズムが取り戻せないままでいます。

 そんなこんなで古い話になってしまい

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