斎藤吉久

昭和31年、崇峻天皇の后・小手姫が養蚕と機織りを教えたと伝えられる福島県・小手郷に生ま…

斎藤吉久

昭和31年、崇峻天皇の后・小手姫が養蚕と機織りを教えたと伝えられる福島県・小手郷に生まれる。弘前大学、学習院大学を卒業後、雑誌編集記者、宗教紙編集長代行などを経て、現在フリー。著書に『天皇の祭りはなぜ簡略化されたか』など。「戦後唯一の神道思想家」葦津珍彦の「没後の門人」といわれる

マガジン

  • 女性天皇・女系継承容認、「女性宮家」創設の憂鬱

    歴史にない女系継承を容認し、「女性宮家」を創設する。もはや何でもありです。

  • 御代替わりの儀式──践祚、大嘗祭そして改元まで

    平成の御代替わりでの議論は徹頭徹尾、政教分離がテーマでした。そして令和の御代替わりもまたしかりでした。天皇がなさる儀礼には宗教性があるということなのですが、それは如何なるものなのでしょうか?

  • 政教分離──宗教的価値をなぜ認めないのか?

    国家に宗教的無色中立性を要求する言説が蔓延っていますが、正しいのでしょうか? 国に一命を捧げた国民を祀る靖国神社に、国の代表者が参拝することはまかりならんという人がいるかと思えば、いや、首相参拝は私的行為だと反論する。私はどちらも間違いだと思います

  • 天皇および天皇制─天皇とは公正かつ無私なる祭り主です

    天皇は1年365日、祭りをなさいます。皇祖神ほか天神地祇を祀り、「国中平らかに民安かれ」と祈られます。あらゆる神を祀り、国と民のために無私なる祈りを捧げるのは、日本の天皇だけです

  • 式典準備委員会資料を読む

    令和の御代替わりを前に式典準備委員会が開かれました。その資料を精査します

最近の記事

池上彰先生、天皇とは何だったのですか?──『池上彰の「天皇とは何ですか?」』を読む1(令和6年9月19日)

数回にわたり、現代を代表するジャーナリスト・池上彰先生の「皇位継承」論について検証してきました。世間では「分かりやすい」と高い評価を得ている先生による天皇・皇室論ですから、これを検討することは、良くも悪しくも、現代ジャーナリズムのレベルを問わず語りに浮き彫りにしてくれます。 そして、案の定なのです。信頼を裏切られたような思いさえしました。 ◇1 権力の監視も問題提起もない 簡単におさらいすると、先生の「皇位継承」論は、 ① 議論の出発点を現行憲法が定める「象徴天皇

    • 伝統主義者に求められていること──引き続き竹田恒泰氏「女性宮家」反対論を読む(2016年4月4日)

      ▽1 民主党政権批判にとどまる  竹田恒泰氏は、つづく第12回の記事で、女性宮家創設にメリットはあるか、と問いかけ、「甚だ疑問である」と否定している。  論点は4つある。  1つは、平成24年3月の参院予算委の質疑で、皇室典範改正法案提出の責任者であるはずの藤森官房長官(「藤村修」の誤りであろう。入力ミスであろうか)が男系と女系の違いさえ知らないことが明らかになったこと。  2つ目は、同じ質疑で、「女性宮家」創設論が陛下の御意思を受けたものでないことが明らかになり、ま

      • 「女性宮家」提唱者に言及しないのはなぜ?──百地章日大教授の「論点整理」批判を読む(2012年10月28日)

         引き続き、いわゆる「女性宮家」について書きます。今日は「女性宮家」創設反対派の代表格である、百地章日大教授(憲法学)の「論点整理」批判を取り上げます。  百地教授は、政府の「論点整理」発表の5日後、今月10日に産経新聞の「正論」欄に批判のエッセイを載せています。 http://sankei.jp.msn.com/life/news/121010/imp12101003080001-n1.htm  日ごろは温厚な先生ですが、熱のこもった筆致で、じつに厳しい批判を展開してい

        • もっと聞きたい、園部参与との丁々発止──八木秀次教授の「女性宮家」ヒアリングを読む(2012年8月5日)

           前回に引き続き、7月5日に行われた第6回皇室制度有識者ヒアリング(いわゆる「女性宮家」有識者ヒアリング)の議事録を読むことにします。今回は八木秀次高崎経済大学教授の議事録です。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koushitsu/yushikisha.html  その前に、先日、政府がヒアリングの論点整理に取り掛かっていることが伝えられました。今秋までにとりまとめられるようです。その後、国民からパブリックコメントを募集し、政府の素案をま

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        • 女性天皇・女系継承容認、「女性宮家」創設の憂鬱
          56本
        • 御代替わりの儀式──践祚、大嘗祭そして改元まで
          57本
        • 政教分離──宗教的価値をなぜ認めないのか?
          30本
        • 天皇および天皇制─天皇とは公正かつ無私なる祭り主です
          115本
        • 式典準備委員会資料を読む
          10本
        • 人は何を信じて生きてきたのか──日本、アジアそして世界
          125本

        記事

          なぜ政府は有識者に意見を求めるのか?──第6回「女性宮家」ヒアリングを前に考える(2012年7月2日)

           facebookに書きましたが、皇室制度に関する有識者ヒアリング、いわゆる「女性宮家」有識者ヒアリングの第6回目のヒアリングが今週の木曜日、7月5日に行われます。今回の出席者は、所功・京都産業大学名誉教授(モラロジー研究所教授)と八木秀次・高崎経済大学教授だそうです。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koushitsu/yushikisha.html  そもそも政府はなぜ、皇室の制度に関することについて、有識者に意見を求めるのでしょうか?

          なぜ政府は有識者に意見を求めるのか?──第6回「女性宮家」ヒアリングを前に考える(2012年7月2日)

          政府は戦後の重大な歴史にフタをしている──検証・平成の御代替わり 第6回(2011年10月5日)

           政府の公式記録をもとに、平成の御代替わりを検証しています。前々回は踐祚、前回は大喪儀を振り返りました。今回は「即位の礼」です。 ▽1 皇室典範第25条が法的根拠  内閣総理大臣官房が編集・発行した『平成即位の礼記録』(平成3年)は、「即位の礼」が国の儀式として行われた法的根拠を、皇室典範第24条「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う」にあると説明しています。  憲法第7条に列挙された天皇の国事行為の最後、10番目に「儀式を行うこと」とあり、法体系の整合性からいって

          政府は戦後の重大な歴史にフタをしている──検証・平成の御代替わり 第6回(2011年10月5日)

          「大喪の礼」の英訳はもともと複数形だった──検証・平成の御代替わり 第5回(2011年10月3日号)

           前回は践祚(せんそ)を振り返りました。今回は御大喪です。  当メルマガの202号に書いたように、石原信雄内閣官房副長官の著書によれば、昭和天皇崩御ののち、内閣に大喪の礼委員会が設置され、「どういう形で、いつ、執り行うか、新憲法のもとでどこまで伝統的な葬儀を執り行えるか、についてだいぶ議論」が行われ、その結果、「天皇家の公式行事として葬場殿の儀を行ったあと、国事行為の大喪の礼を行うという分離方式を採った」のでした。  大喪の礼というのは過去の歴史にない新例で、皇室行事とし

          「大喪の礼」の英訳はもともと複数形だった──検証・平成の御代替わり 第5回(2011年10月3日号)

          検証・平成の御代替わり 第4回 ──公式記録『昭和天皇大喪の礼記録』などを読む その1(2011年10月2日)

           前号まで3回にわたり、石原信雄内閣官房副長官の著書『官邸2668日──政策決定の舞台裏』(1995年)を材料にして、平成の御代替わりを検証しました。  石原氏の著書は政府の中枢にいた関係者による貴重な証言ですが、石原氏が自賛するように、「一連の御代替わりの行事が、大きなトラブルもなく、新憲法下で、わが国のよき伝統を残し、滞りなく行い得た。今後の先例となったことは非常に意味がある」といえるのかどうか、大いに疑問です。  平成の御代替わりは徹頭徹尾、政教分離問題でしたが、多

          検証・平成の御代替わり 第4回 ──公式記録『昭和天皇大喪の礼記録』などを読む その1(2011年10月2日)

          検証・平成の御代替わり 第3回──石原信雄内閣官房副長官の証言を読む その3(2011年10月1日)

           ひきつづき石原信雄内閣官房副長官の著書『官邸2668日──政策決定の舞台裏』(平成7年)を材料に、平成の御代替わりを検証します。  前々回は践祚の式、前回は御大喪、今日は大嘗祭について、です。 ▽1 よき伝統を残し、滞りなく行い得た!?  御大喪のころは竹下登総理でしたが、即位・大嘗祭のときの総理は海部俊樹氏でした。多くの議論を呼び、石原氏が悩んだ、大きな問題はやはり大嘗祭について、でした。むろん焦点は政教分離問題です。「きわめて宗教色が強いので、大嘗祭をそもそも行う

          検証・平成の御代替わり 第3回──石原信雄内閣官房副長官の証言を読む その3(2011年10月1日)

          検証・平成の御代替わり 第2回──石原信雄内閣官房副長官の証言を読む その2(2011年9月26日)

          ▽1 皇室儀礼に「宗教色がある」から無宗教儀礼を作った  それでは、前号に続いて、石原信雄内閣官房副長官の著書『官邸2668日』を読み進めます。  その前にお断りしておきますが、私の目的は、聡明な読者ならお分かりのように、石原氏を個人攻撃することではありません。石原氏の著書を取りあげるのは、ほかに材料が見当たらないからです。  別ないい方をすれば、御代替わりの儀礼は少なくとも千年の歴史を持っているはずですが、敗戦によって成分法的根拠を失い、新憲法下で最初の事例となった平

          検証・平成の御代替わり 第2回──石原信雄内閣官房副長官の証言を読む その2(2011年9月26日)

          検証・平成の御代替わり──石原信雄内閣官房副長官の証言を読む その1(2011年9月25日)

           平成の御代替わりから20数年になります。  前号では、戦後、とりわけ昭和40年代以降、先鋭化する政教分離の厳格主義が、単線的・直線的発展史観に立ち、歴史の事実を無視して、戦前を悪玉に仕立て上げ、明治憲法を批判し、「国家神道」に責任を押しつけ、天皇もしくは天皇制を指弾していること、そして、その延長線上にあるのが、平成の御代替わりだったこと、について触れました。  今日はもう少し、詳しく見てみます。  平成の御代替わりは徹底して政教分離問題がメインテーマだったように思いま

          検証・平成の御代替わり──石原信雄内閣官房副長官の証言を読む その1(2011年9月25日)

          「光格天皇実録」に記録された「御譲位」「改元」──「待ったなし」となった次の御代替わりだが……(2017年07月30日)

          (画像は桜町殿行幸図部分@国立公文書館)  報道によれば、政府は、「退位と改元の期日」を「9月」に決定・公表する方向で検討に入ったようです。  時事通信が伝えたところでは、来年暮れに「退位」「新天皇即位」、翌年元日に「改元」というスケジュールが有力とされていて、他方、宮内庁内には、再来年3月末に「退位・新天皇即位」、4月1日に「改元」という案もあるそうです。  いずれにしても、いよいよ御代替わりが現実となってきました。  記事が指摘するように、「退位の儀式」をどのよう

          「光格天皇実録」に記録された「御譲位」「改元」──「待ったなし」となった次の御代替わりだが……(2017年07月30日)

          「生前退位」3つの衝撃と6つの論点──問われているのは「退位」の認否ではない(「月刊住職」平成28年12月号)

           宝算82(28年12月23日で83になられた)。昭和天皇、後水尾天皇に次ぐ歴代3位のご長寿となられた今上陛下の「生前退位」問題が、身につまされると感じる本誌(「月刊住職」興山舎刊)読者が少なくないと聞く。  長命は慶事のはずなのに、現実は足腰が弱り、読経も十分に勤まらない。入院が続き、寺務も滞っている。財産目録や収支計算書を毎年、揃えるのは億劫だ。露骨に引退を促す檀家さえいる。宗教法人法上の義務が果たせないなら、行政も黙ってはいない。  税務署は宗教家をサービス業に分類

          「生前退位」3つの衝撃と6つの論点──問われているのは「退位」の認否ではない(「月刊住職」平成28年12月号)

          国事行為しか認めない憲法にこそ問題がある──朝日新聞発行月刊誌掲載の横田耕一論考を読む(2018年01月03日)

           明けましておめでとうございます。  陛下の譲位(退位)がいよいよ来春に迫りました。政府は来週にも、今上陛下の退位と皇太子殿下の即位に向けて準備組織を発足させると伝えられます。即位の礼・大嘗祭の日程も具体的に聞かれるようになりました。  事態は先へ先へと進んでいますが、年の初めに当たり、改めて、今回のご譲位問題を振り返り、検証することは意味のないことではないでしょう。少なくとも千数百年におよぶ天皇の歴史に何が起きているのでしょうか。 ▽1 「憲法の原点に立ち返れ」  

          国事行為しか認めない憲法にこそ問題がある──朝日新聞発行月刊誌掲載の横田耕一論考を読む(2018年01月03日)

          賢所の儀は何時に行われるのか?──いつまでも決まらない最重要儀礼(2019年1月20日)

          (画像は宮中三殿。宮内庁HPから拝借しました。ありがとうございます)  先週17日に官邸で式典委員会が開かれ、翌18日には宮内庁で大礼委員会が開かれました。政府は御代替わり関連の諸儀式の次第などを決めました。  これによると、退位礼正殿の儀は4月30日の夕刻午後5時に開始され、践祚後の剣璽等承継の儀は翌5月1日の午前10時30分から、即位後朝見の儀は同11時10分から執り行われることに決まりました。 ▽1 悪しき前例となる「退位の礼」  退位礼正殿の儀は、以下のように

          賢所の儀は何時に行われるのか?──いつまでも決まらない最重要儀礼(2019年1月20日)

          結局、誰が「生前退位」と言い出したのか?──「文藝春秋」今月号の編集部リポートを読んで(2016年9月25日)

           事実の核心に肉薄しようとする良質なジャーナリズムがまだまだ日本には生きていると実感しました。しかし、それでも結局、分からないのです。  この文春リポート(平成28年10月号)のように「譲位」「退位」なら、まだしも理解できます。けれどもNHKのスクープ以来、議論はすべて「生前退位」です。誰が、何のために、過去の歴史にない「生前退位」などと言い出したのか。  そしてなぜメディアの特報という経路をたどることになったのか。それも、ご意向の表明から何年も経っているらしいいまごろに

          結局、誰が「生前退位」と言い出したのか?──「文藝春秋」今月号の編集部リポートを読んで(2016年9月25日)