- 運営しているクリエイター
記事一覧
〈短期集中連載〉「女性宮家」創設賛否両論の不明 第1回 歴史とどう向き合うのか──「女性宮家」のパイオニア所功教授の場合(月刊「正論」2012年12月号)
▽ はじめに
1000年を超える皇室の歴史と伝統にはない、いわゆる「女性宮家」の創設がいよいよ現実味を帯びてきました。
政府は10月5日、2月に始まり、計6回、12人の意見を聞いた「皇室制度に関する有識者ヒアリング」を踏まえた「論点整理」をとりまとめ、公表しました。
「象徴天皇制度の下で、皇族数の減少にも一定の歯止めをかけ、皇室の御活動の維持を確かなものとするためには、女性皇族が一般男性
理性の回復を信じたい──『検証「女性宮家」論議』の「まえがきにかえて」 7(2017年4月30日)
まえがきにかえて──宮中祭祀にも「女性宮家」にも言及しない前侍従長インタビュー
▽7 理性の回復を信じたい
いま2年の時を経て(一般に、「女性宮家」創設論議の発端は平成23年11月の読売新聞のスクープが発端とされています。それからもう5年半になります)、あらためて、前侍従長ら側近たちが火を付けた「女性宮家」論議の検証を試みるのは、より多くの方々に、さらに真剣に考えてほしいと願うからです。
渡邉允元侍従長の「遺言」──『検証「女性宮家」論議』の「まえがきにかえて」 2(2017年4月25日)
まえがきにかえて──宮中祭祀にも「女性宮家」にも言及しない前侍従長インタビュー
▽2 前侍従長の「遺言」
歴史的天皇像の喪失は陛下の側近にまでおよんでいます。というより、側近たちこそ、震源地なのでした。
たとえば、日経ビジネスオンラインは特別企画として、戦後のリーダーたちが未来に託す「遺言」を連載していますが、2月4日の第10回目に登場したのは、今上天皇の側近中の側近である渡邉允(わたな
歴史的天皇像の喪失──『検証「女性宮家」論議』の「まえがきにかえて」 1(2017年04月24日)
(画像は令和の大嘗祭で、令和元年11月14日に行われた大嘗宮の儀(悠紀殿供饌の儀)。宮内庁HPから拝借しました。ありがとうございます)
「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の座長代理を務めた御厨貴東大名誉教授が新聞各社のインタビューで、「女性宮家」創設への施策を進めるよう安倍政権に要求している。新聞記事によると、その目的は「皇族数の減少への対応」とされている。
消化剤をかけられて鎮火
皇兄弟による皇位継承は過去に24例。次の御代替わりは異例にあらず(2020年5月24日)
前々回、前回に続き、『帝室制度史 第3巻』(帝国学士院編纂、昭和14年)の第2章皇位継承、第1節皇位継承の本義を読みます。
今日は「第3款 皇位継承の順位」、これが最後になります。原典はむろん国会図書館デジタルコレクションです。〈https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1241583〉
▽1 古来、一定の常典あり
『帝室制度史』は皇位継承順位について、古来、一
過去3回、国会で審議された「生前退位」 ──30年前、宮内庁は譲位を容認しなかった(2016年8月28日)
この世を長く生きてきたご老体を侮ってはならないとつくづく思った。
御年80の元参議院議員・平野貞夫氏が、国会で過去に3回、「生前退位」について議論したことがあると誌上座談会で指摘している(「週刊ポスト」2016年9月2日号〈http://www.news-postseven.com/archives/20160824_440504.html〉)。
「マスコミの皆さんは不勉強で知らない人が多
誰が「生前退位」なる新語を創作したのか ──ビデオメッセージの前に指摘したいこと(2016年8月8)
NHKなどの報道によれば、天皇陛下は今日の午後、ビデオメッセージの形で、「象徴天皇」としてのお務めについての「お気持ち」「お考え」を表明されると宮内庁が発表したと伝えられています。
いわゆる「生前退位」という表現など、直接的にご意向を表明されることは避けられるとされ、陛下の「お気持ち」を受けて、安倍総理は政府としての受け止め方を示し、衆参両院議長もコメントを発表するようです。今上陛下に限って
安倍流保守陣営を批判するだけでは足りない──伊藤智永毎日新聞記者の有識者会議報告批判を読む(2017年05月11日)
「サンデー毎日」5月21日号に、伊藤智永記者が「退位問題を徹底考察!! ポスト平成時代の天皇論」を書いている。
伊藤記者は、陛下が昨夏のお言葉で問題提起した「象徴のあり方」をめぐる本質的な議論を、有識者会議が切り捨てていると指摘しているが、そこまではまったく同感である。
陛下が国民に問われたのは、退位の認否ではなくて、戦後の象徴天皇制度のあり方そのものであろう。それに対して、もっぱら退位の