深巳太久

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(ふかみたく)申しまっす。小説書いてます。 ファンタジー系が好物で、大体本文中に成分として含まれています。 【フォローはお気軽に】 / 小説家になろうプロフ:mypage.syosetu.com/1422386/

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【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第一夜

〈あらすじ〉  今年大学生になった晴香は、夜道で吸血鬼と出会ってしまう。襲われそうになったところを狼のマスクを被った男に救われた。お礼を言うとマスクを被った男は…

深巳太久
8日前
35

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第九夜

 木枯らしが落ち葉を蹴散らし、曇りの日が増えた。肌寒い中、郵便受けに封蝋が施された消印の無い封筒を見つけた。  わたし宛の封筒の裏にはエミールとある。とうとう家…

深巳太久
13時間前
8

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep14 GAME_前編

 体力がある程度回復するまで更に十日かかり、染みは肩にほんのりと残る程度になった。  相変わらず派手な単衣を肩に掛けた常さんがやって来て、おれのリハビリを開始す…

深巳太久
20時間前
12

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第八夜

 ひと月を過ぎ、エミールが来るかと身構えていたが、いつの間にか季節は学祭シーズンへ突入していた。   気を張っていても仕方がないので、来たらその時と思いつつも半…

深巳太久
1日前
26

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep13 見守る者_後編

 常夜の月は広大な神殿造りの一角に書斎を設け、プライベートな事を処理している。  ホログラフウインドウには冥府の状況や、居候エリアの様子がモニターされ、ここから…

深巳太久
1日前
21

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第七夜

 大学をさぼり始めて十日ほど経った。  両親は小言を吐くでもなく静観を決め込んでいる。いたたまれなくなり、わたしから母に話を持ち掛けた。父は一泊の出張中で明日ま…

深巳太久
2日前
21

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第六夜

 自分が吸血鬼だという事は生まれつき。  思春期と言われる中学に上がった頃、人間以外で自分と同じような境遇の友達がおらず、色々な感情に煮詰まったわたしは吸血に嫌…

深巳太久
3日前
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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep12 見守る者_中編

 二時間後、翡翠門から冥府を治める常世の月の筆頭眷属、蓮玉が到着した。  蓮玉は黄泉属性である灰色の神気を纏い、虹色の瞳はつねに色を変えていて、皮膚が薄く血管が…

深巳太久
3日前
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【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第五夜

 ランチが終わり食器の山をさばいていると阿人が厨房に姿を見せた。  わたしはバイト上がりまで十分ほどで、食器を汚れごとに分類しシンクに突っ込んでから上がろうと思…

深巳太久
4日前
23

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep11 見守る者_前編

 弦月宮では、九郎とシェリルが慌ただしく動き回っていた。  翔琉が先の戦いで負った傷は、左肩と腕を黒く変色させていた。容態が安定せず、気絶と悶絶を繰り返す様がま…

深巳太久
4日前
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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep10 無意識という名の意識

「――おい、大丈夫か?」  肩を揺すられ私は目を覚ました。  どうやら、おみくじを結ぶ木の前で、へたり込んでいたらしい。 「あ、あれ? 私どうして……」 「貧血…

深巳太久
5日前
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【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第四夜

 待ち合わせ時間ピッタリに駆け寄ってくるヒカリは、高校時代からの人間の友人だ。  同じ大学を受けたが専攻学科が違う。彼女は演劇学を専攻し古典演劇を研究するのだと…

深巳太久
5日前
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【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第三夜

「いらっしゃいませー、お好きな席にどうぞ」  わたしは水の入ったコップをトレーに乗せ颯爽とお客さんのテーブルに向かった。  ここはわたしの通う大学の最寄り駅から…

深巳太久
6日前
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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep9 神祓い_後編

 焔護りの主の護る神社は、中規模ながら、良質な神気に護られた、三百年近く近隣の人々の信仰と尊敬を集めている神社だった。  神剣を後方に構えると、刀身がオレンジ色…

深巳太久
6日前
19

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第二夜

「獣……貴様、亜種か! 薄汚い紛い物め。まとめて消し去ってくれる」  背中も血で染まっているから弾丸は貫通したのだろうか? 全くダメージを感じさせない狼さんが笑…

深巳太久
7日前
10

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep8 神祓い_前編

 拝殿を目指して歩いていく。眷属や使いの気配は全く感じない。  ここまで何も感じない神社なんて考えられなかった。今のところ〈誰もいない〉こと以外は異常なし。回り…

深巳太久
7日前
9
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【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第一夜

〈あらすじ〉  今年大学生になった晴香は、夜道で吸血鬼と出会ってしまう。襲われそうになったところを狼のマスクを被った男に救われた。お礼を言うとマスクを被った男は勇敢さが霧消し及び腰で消え去ってしまった。数日後、先に襲われた吸血鬼と再会してしまい、あろうことか求婚されてしまう。それは私の属性に関係することだった。無理な求婚に困惑していると、狼マスクの男も求婚戦線に参戦し混戦模様に突入していく。  もうこんな時間……。  スマートフォンの時計は二十二時を示していた。自宅最寄り駅

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第九夜

 木枯らしが落ち葉を蹴散らし、曇りの日が増えた。肌寒い中、郵便受けに封蝋が施された消印の無い封筒を見つけた。  わたし宛の封筒の裏にはエミールとある。とうとう家まで来たらしい。  来る一二月×日 同封した地図の場所までおいでください。  違えれば大切な者達が闇の住人となるでしょう。  何処に隠れようと、獣の牙を持ってしても我の想いを妨げる事は出来ません。      愛を込めて エミール  地図が同封されていた。棺桶を破壊された影響が出ているのだろうか。事を急ごうとするのが

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep14 GAME_前編

 体力がある程度回復するまで更に十日かかり、染みは肩にほんのりと残る程度になった。  相変わらず派手な単衣を肩に掛けた常さんがやって来て、おれのリハビリを開始すると言った。 「〈ダンジョン〉をリハビリ仕様に改造したから思う存分暴れてこい」  この居候エリア北にある大きな樫の木の根元に、戦闘訓練用仮想エリアの入口がある。  おれも特級神だが、このおっさんの神気の量はちょっとおかしい、戦闘訓練用に仮想エリアを別に持つということは、神気全力の戦闘をしながら、居候エリアを維持し

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第八夜

 ひと月を過ぎ、エミールが来るかと身構えていたが、いつの間にか季節は学祭シーズンへ突入していた。   気を張っていても仕方がないので、来たらその時と思いつつも半分忘れていた。阿人とはあれっ切り顔を合わせる事も無い。  ゼミに入りたての一年生なので学祭に際し雑用が主だ。研究展示発表の準備に退屈で緩慢な日々を過ごした。  わたしの専攻は日本文学で古文書を読み漁る毎日だ。これは好きだからとことん探求したい。キャンパスから駅に向かって歩みながら将来の事を真剣に考えてみようかと思い

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep13 見守る者_後編

 常夜の月は広大な神殿造りの一角に書斎を設け、プライベートな事を処理している。  ホログラフウインドウには冥府の状況や、居候エリアの様子がモニターされ、ここから適宜指示も出していた。  少し離れたところに浮かんでいる白い小さなウインドウには、〈The sword is sealed〉の文字、黒い小さなウインドウには〈instability〉――不安定と表示されていた。  毒は九郎の分析結果によると、人の気に影響するもので、精神構造の破壊を起こす作用があるようだった。この宮

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第七夜

 大学をさぼり始めて十日ほど経った。  両親は小言を吐くでもなく静観を決め込んでいる。いたたまれなくなり、わたしから母に話を持ち掛けた。父は一泊の出張中で明日まで戻らない。母は珍しく早く帰宅し一八時には美味しそうな匂いがリビングに漂っていた。  雪女は普通に食事を摂る。わたしはいらないから一人分だけ。いつもならわたしも付き合うのだが、この状況では折角の夕食時間が葬式みたいになるだろう。  自室から這いだし、後片付け中の母の背に問いかけた。 「お母さんは子供を持つには人間かそ

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第六夜

 自分が吸血鬼だという事は生まれつき。  思春期と言われる中学に上がった頃、人間以外で自分と同じような境遇の友達がおらず、色々な感情に煮詰まったわたしは吸血に嫌気がさして断食した事がある。  父にも母にも「我々は人間にはなれないのだから、与えられた生を生きるしかないのだ」と諭されても人間の生が眩しく映るわたしは耳を貸さなかった。  ――わたしは小食で、大きめのスプーン一杯の血液で十日間は生きて行ける。大丈夫。人の世界でやっていける。  吸血鬼亜種属はオリジナル吸血鬼が闇

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep12 見守る者_中編

 二時間後、翡翠門から冥府を治める常世の月の筆頭眷属、蓮玉が到着した。  蓮玉は黄泉属性である灰色の神気を纏い、虹色の瞳はつねに色を変えていて、皮膚が薄く血管が青く浮いているが、とても美しい大人の女性だった。露出の少ない服装で、首元や手先、足元は精緻で美麗なレースが覗いていて品を添えていた。  この世界のもう一人の特級神、常世の月の筆頭眷属を任される器量の持ち主であり、実力は推して知るべしだった。 「シェリル殿、早速ではございますが、転送ゲートを設置させていただきます」

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第五夜

 ランチが終わり食器の山をさばいていると阿人が厨房に姿を見せた。  わたしはバイト上がりまで十分ほどで、食器を汚れごとに分類しシンクに突っ込んでから上がろうと思っていた。  いつものように言葉を発せず視線だけ飛ばし、試食カウンターに置いてあった頂き物らしいお菓子に手を伸ばしていた。袋を開け食べようとした瞬間―― 「そう言えば、狼……って日本にいないんですよね」  喉にお菓子がつかえたのか阿人は咳き込んでいた。わざと話しかけたのだ。これまでの恨み思い知れ! 「絶滅したのって、

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep11 見守る者_前編

 弦月宮では、九郎とシェリルが慌ただしく動き回っていた。  翔琉が先の戦いで負った傷は、左肩と腕を黒く変色させていた。容態が安定せず、気絶と悶絶を繰り返す様がまるで何かの祟りにあっているかのようだった。  変色範囲は緩やかに広がっていてあらゆる薬が効かず、眷属の二人は憔悴しきっていた。  勿論、祟りの反応が無い事は確認済みである。  青白い神気が薄くなり、透明で視認出来ない人の気が割合を増しバランスを大きく崩している。  翔琉の体調は二つの気のバランスの上に成り立っていて

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep10 無意識という名の意識

「――おい、大丈夫か?」  肩を揺すられ私は目を覚ました。  どうやら、おみくじを結ぶ木の前で、へたり込んでいたらしい。 「あ、あれ? 私どうして……」 「貧血かな? 急に気を失うから驚いたよ」  肩に手を掛け、セピアの瞳が見つめている。  顔が真っ赤になるのが分かる――慌てるのを必死で抑えながらお礼を言った。 「なんか恥ずかしいところばかりで、ごめんなさい。ありがとうございます」 「いいよ別に、それより歩ける?」  私の中では呼称〈おみくじの君〉に手を貸してもらい

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第四夜

 待ち合わせ時間ピッタリに駆け寄ってくるヒカリは、高校時代からの人間の友人だ。  同じ大学を受けたが専攻学科が違う。彼女は演劇学を専攻し古典演劇を研究するのだと語っていた。元々落ち着いて見える容姿は舞台に立っても映えるだろう。背が高く凛としている。自分の考えを持ち相手の話を聞く余裕もある。  わたしと大違いだ。 「さーて、今日はどうかな」  清楚なワンピースで固めたヒカリは先に立って歩き出した。時刻は十九時十分前、京王井の頭線下北沢駅南口から待ち合わせの飲食店へ向かう。そ

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第三夜

「いらっしゃいませー、お好きな席にどうぞ」  わたしは水の入ったコップをトレーに乗せ颯爽とお客さんのテーブルに向かった。  ここはわたしの通う大学の最寄り駅からほど近い中規模クラスのカフェだ。居抜きでビルごと買い取った夫婦が、三階建てビルの一階を昭和感満載の純喫茶から小ぎれいなカフェに改装し、常連しか入店出来そうも無かった結界を解放した。  駅から五分程度離れているがご近所の常連、学生から主婦、会社員と客層も幅広い。カウンター八席、テーブル席は二人掛け四人掛け合わせて四十

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep9 神祓い_後編

 焔護りの主の護る神社は、中規模ながら、良質な神気に護られた、三百年近く近隣の人々の信仰と尊敬を集めている神社だった。  神剣を後方に構えると、刀身がオレンジ色に輝きだした。 「焔護りの主様、宮を穢された仇は必ず取りましょう。山ごと祓い清めます故、ご容赦ください」  シュッっと短い息を吐き、下段から跳ね上げるように振り上げる、暁の弧を描く軌跡は、山の麓から血で穢れた焔護りの主ごと切り裂いた。  ズバァーーーーーン  地響きと共に山全体が暁の光で覆われ、妖気も獣も霧も

【創作大賞2024-恋愛小説部門-応募作品】『吸血姫 - きゅうけつき -』第二夜

「獣……貴様、亜種か! 薄汚い紛い物め。まとめて消し去ってくれる」  背中も血で染まっているから弾丸は貫通したのだろうか? 全くダメージを感じさせない狼さんが笑っている。おかしくて仕方がないのか腹を抱えていた。これにはマスクマンも飲まれたのか呆然と立ったままだ。  一頻り笑って満足したのか自然体で向き合う身体から段違いの闘気が揺れている。 「進化、と言ってほしいね。おれに銀の弾丸は無効だ。お前は狩られる側になったのさ」  狼さんの体がぶれた。マスクマンの呻く声が聞こえ、そ

【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep8 神祓い_前編

 拝殿を目指して歩いていく。眷属や使いの気配は全く感じない。  ここまで何も感じない神社なんて考えられなかった。今のところ〈誰もいない〉こと以外は異常なし。回りの木なんか見ながら、拝殿でお賽銭を投げようと目を向けた瞬間、身体がビクッとする。  見られている。  平静を装いつつ賽銭を放り投げ、祈りの手順をこなし、おみくじコーナーへ向かう。  ――まだ見ているな、どこからだろう。  瘴気が微かに漂い出している奥の本殿かそれとも別の場所か、察知しきれていない分こちらが不利