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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep14 GAME_前編
体力がある程度回復するまで更に十日かかり、染みは肩にほんのりと残る程度になった。 相変わらず派手な単衣を肩に掛けた常さんがやって来て、おれのリハビリを開始すると言った。 「〈ダンジョン〉をリハビリ仕様に改造したから思う存分暴れてこい」 この居候エリア北にある大きな樫の木の根元に、戦闘訓練用仮想エリアの入口がある。 おれも特級神だが、このおっさんの神気の量はちょっとおかしい、戦闘訓練用に仮想エリアを別に持つということは、神気全力の戦闘をしながら、居候エリアを維持し
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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep13 見守る者_後編
常夜の月は広大な神殿造りの一角に書斎を設け、プライベートな事を処理している。 ホログラフウインドウには冥府の状況や、居候エリアの様子がモニターされ、ここから適宜指示も出していた。 少し離れたところに浮かんでいる白い小さなウインドウには、〈The sword is sealed〉の文字、黒い小さなウインドウには〈instability〉――不安定と表示されていた。 毒は九郎の分析結果によると、人の気に影響するもので、精神構造の破壊を起こす作用があるようだった。この宮
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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep12 見守る者_中編
二時間後、翡翠門から冥府を治める常世の月の筆頭眷属、蓮玉が到着した。 蓮玉は黄泉属性である灰色の神気を纏い、虹色の瞳はつねに色を変えていて、皮膚が薄く血管が青く浮いているが、とても美しい大人の女性だった。露出の少ない服装で、首元や手先、足元は精緻で美麗なレースが覗いていて品を添えていた。 この世界のもう一人の特級神、常世の月の筆頭眷属を任される器量の持ち主であり、実力は推して知るべしだった。 「シェリル殿、早速ではございますが、転送ゲートを設置させていただきます」
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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep11 見守る者_前編
弦月宮では、九郎とシェリルが慌ただしく動き回っていた。 翔琉が先の戦いで負った傷は、左肩と腕を黒く変色させていた。容態が安定せず、気絶と悶絶を繰り返す様がまるで何かの祟りにあっているかのようだった。 変色範囲は緩やかに広がっていてあらゆる薬が効かず、眷属の二人は憔悴しきっていた。 勿論、祟りの反応が無い事は確認済みである。 青白い神気が薄くなり、透明で視認出来ない人の気が割合を増しバランスを大きく崩している。 翔琉の体調は二つの気のバランスの上に成り立っていて
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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep10 無意識という名の意識
「――おい、大丈夫か?」 肩を揺すられ私は目を覚ました。 どうやら、おみくじを結ぶ木の前で、へたり込んでいたらしい。 「あ、あれ? 私どうして……」 「貧血かな? 急に気を失うから驚いたよ」 肩に手を掛け、セピアの瞳が見つめている。 顔が真っ赤になるのが分かる――慌てるのを必死で抑えながらお礼を言った。 「なんか恥ずかしいところばかりで、ごめんなさい。ありがとうございます」 「いいよ別に、それより歩ける?」 私の中では呼称〈おみくじの君〉に手を貸してもらい