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【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep11 見守る者_前編
弦月宮では、九郎とシェリルが慌ただしく動き回っていた。 翔琉が先の戦いで負った傷は、左肩と腕を黒く変色させていた。容態が安定せず、気絶と悶絶を繰り返す様がまるで何かの祟りにあっているかのようだった。 変色範囲は緩やかに広がっていてあらゆる薬が効かず、眷属の二人は憔悴しきっていた。 勿論、祟りの反応が無い事は確認済みである。 青白い神気が薄くなり、透明で視認出来ない人の気が割合を増しバランスを大きく崩している。 翔琉の体調は二つの気のバランスの上に成り立っていて
【創作大賞2024-応募作品】『アブソリュート サンクチュアリー』〈Sleeping Beauty -眠り姫- 編〉Ep10 無意識という名の意識
「――おい、大丈夫か?」 肩を揺すられ私は目を覚ました。 どうやら、おみくじを結ぶ木の前で、へたり込んでいたらしい。 「あ、あれ? 私どうして……」 「貧血かな? 急に気を失うから驚いたよ」 肩に手を掛け、セピアの瞳が見つめている。 顔が真っ赤になるのが分かる――慌てるのを必死で抑えながらお礼を言った。 「なんか恥ずかしいところばかりで、ごめんなさい。ありがとうございます」 「いいよ別に、それより歩ける?」 私の中では呼称〈おみくじの君〉に手を貸してもらい