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テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 中間報告

人事院の有識者会議「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の中間報告(案)修正版が人事院サイトで公開されたが、中間報告(案)修正版によると、人事院「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」は、国家公務員のフレックスタイム制及び休憩時間制度に関する提言を行った。

第7回 テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会

人事院の有識者会議「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の第7回研究会が2022年7月12日に開催されたが、議題は「中間報告について」。なお、資料は資料1と資料2。

資料1 テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会~中間報告(案)~

資料2 中間報告(案)※前回第6回研究会中間報告(案)からの見え消し修正版

テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 中間報告

人事院の有識者会議「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」中間報告(案)修正版によると、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会は「人事院は、本報告を踏まえ、(略)フレックスタイム制及び休憩時間制度を柔軟化することを基本として、関係各方面と調整の上、必要な措置を早期に実施すべきである」と提言。

そして「柔軟化されたフレックスタイム制及び休憩時間制度が十分活用されるためには、申告・割振りの手続を効率化することが望ましいことから、フレックスタイム制等の手続をオンラインで行う機能や職員の勤務時間の正確な把握のための機能などを備えた勤務時間管理のシステム化を、内閣人事局の主導の下、デジタル庁等の協力を得て、各府省において速やかに進める必要がある」と提言。

また「職員の勤務時間を柔軟化した場合であっても行政サービスを提供する執務態勢を確保するため、管理職等によるマネジメントが適切に行われるよう、研修等を通じて管理職員のマネジメント能力の強化が図られる必要がある」と。

さらに「フレックスタイム制及び休憩時間制度の運用が職員の柔軟な働き方に対応したものとなるよう、業務量に応じた要員が十分に確保される必要がある」と提言している。

「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」中間報告(案)修正版<抜粋>
Ⅱ.早期に実施すべき事項について

テレワークやフレックスタイム制の活用による柔軟な働き方の推進は、職員一人一人の能力発揮やワーク・ライフ・バランスの実現、健康確保に資するものであり、ひいては職員のエンゲージメントを高め、公務能率向上や多様な有為の人材誘致・活用にもつながるものである。本研究会においては、このような観点から、第1回研究会において示された論点について議論を行い、このうち早期に実施すべき事項として、以下の1.及び2.のとおり、現行のフレックスタイム制及び休憩時間制度を柔軟化することで見解の一致を見たことから、3.のとおり提言する。

1.フレックスタイム制の柔軟化について
(現行のフレックスタイム制)
一般職国家公務員のフレックスタイム制は、「各省各庁の長は、月曜日から金曜日までの5日間において、一日につき7時間45分の勤務時間を割り振る」(勤務時間法第6条第2項)という原則に対する例外として定められている。交替制等勤務職員及び航空保安大学校等の学生は適用除外とされている。また、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用される非常勤職員については、法令上、フレックスタイム制についての定めがない。
民間労働法制におけるフレックスタイム制では、清算期間における総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者がその枠内で日々の出退勤時刻を自由に決定できる(使用者側から変更することはできない)仕組みとなっており、労働者は、日々の都合に合わせて、生活と業務とのバランスを図りながら効率的に働くことができる。
一方、一般職国家公務員の勤務時間は、フレックスタイム制を含めて、事前に各省各庁の長が割り振るものとされている。フレックスタイム制の場合、職員があらかじめ始業及び終業の時刻を申告し、各省各庁の長は、公務の運営に支障がないと認める場合には、人事院規則の定めるところにより、職員の申告を考慮して、事前に勤務時間を割り振ることが可能である(以下「申告割振制」という。)。民間労働者のフレックスタイム制は、出退勤時刻について労働者による事前申告や使用者による事前決定がなく、労働者の決定に委ねられている一方、国家公務員のフレックスタイム制は、職員による事前申告や各省各庁の長による事前割振りが必要である点が大きく異なる。
一般の職員に適用されるフレックスタイム制の申告・割振りの基準は次のとおりである。
・ 単位期間 :4週間
・ 当初の割振期限 :単位期間の開始以前(できる限り1週間前まで)
・ 割振り後の変更 :当該日の勤務時間開始前まで
・ コアタイム :毎日 5時間(9時~16時の間に設定)
・ フレキシブルタイム :7時~22時
・ 一日の最短勤務時間数:6時間

(フレックスタイム制をめぐる状況)
一般職国家公務員のフレックスタイム制は、平成5年4月に初めて研究職職員等に導入され、対象職員を、平成20年4月には専門スタッフ職職員に、平成27年12月には矯正医官に順次拡大してきた。平成28年4月には、Ⅰ1.で記したとおり、原則として全ての職員を対象にフレックスタイム制を拡充するとともに、育児・介護を行う職員についてはより柔軟な勤務形態となる仕組みを措置した。
かつての公務職場は、同一の部署に属する職員が官署で共に勤務することを前提としていたが、新型(略)感染症への対応として、交通機関のピーク時間帯を避けた時差出勤やテレワークが広がってきている。これに伴い、コミュニケーションツールや勤務時間管理システムなど、場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方が可能となる環境が整備されてきた。
このような中、令和3年10月時点のフレックスタイム制の利用率を各府省別に見ると、高い府省では7割を超えている。一方で、0%である府省も複数あり、全府省平均では7.7%にとどまっている。このように利用率が低い要因としては、決まった時間に決まったグループ作業を行う必要があるなどフレックスタイム制になじみにくい業務があることや、フレックスタイム制導入のために必要な業務態勢の確保に課題があることのほか、勤務時間管理がシステム化されていないことによってフレックスタイム制の申告・割振り・変更の事務負担が大きいことなどが挙げられている。この点、各府省においては、現在、勤務時間管理のシステム化が進められているところである(注)。また、令和4年3月に人事院職員福祉局長通知が改正され、各府省における勤務時間の客観的把握を開始している部局では、これに基づき、適
正に超過勤務時間を管理することが求められている。

(フレックスタイム制に関する意見)
このような状況の中、フレックスタイム制の柔軟化を求める意見が、各府省や職員などから寄せられている。
具体的には、各府省からは、柔軟な働き方の実現のため、申告期限やコアタイム・最短勤務時間数について、各府省の業務実態に合わせて自律的に設定可能な制度とするように求める意見が多く聞かれた。一方で、コアタイムの短縮について、勤怠管理者の負担が増えることやグループ会議の設定等に支障が生じるおそれがあることを理由に慎重な意見もあった。
職員団体からは、本府省など一般的なデスクワークが多い職場において、フレックスタイム制が一定程度活用されていることに言及があった。また、コアタイムについては、撤廃することでより柔軟な働き方ができる一方で、同一時間帯に在庁している職員が減少することによって、公共サービスの低下や、一部の職員に負担が集中することについて懸念が示された。さらに、集団的執務体制により遂行される業務においては、フレックスタイム制がなじまず、長時間労働に陥る懸念があり、仮に柔軟化を図る場合であっても、個別的かつ明示的な職員の同意を得るための措置を確保するとともに、実効性のある超過勤務規制や客観的勤務時間の把握を始め、長時間労働を回避するための措置を講じるべきとの意見があった。

(本研究会の見解①:フレックスタイム制の柔軟化の必要性について)
職員が意欲を持って職務に従事し、最大限に能力を発揮するためには、個々の職員の希望や置かれている事情に応じた柔軟な働き方を可能とすることが必要である。
フレックスタイム制の柔軟化は、時間を有効に活用して更に柔軟に働くことができるようにするものであって、これにより、長時間労働の是正や仕事と生活の両立が図られることとなり、さらには、多様な有為の人材の確保にも資することとなる。
一方で、次のとおり、フレックスタイム制の柔軟化について検討するに当たっては、執務態勢の確保、職員の健康確保等について考慮する必要があるが、これらについては必要な対応が進められている。<以下略>
*中間報告(案)全文は第7回研究会資料に掲載されている。

第7回「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」資料(PDF)

テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 進め方

「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の今後の進め方についても中間報告に記載されているが、「テレワークや勤務間インターバル確保の方策については、第3回研究会において議論を行ったが、時間をかけて丁寧に議論することとされたことから、更に議論を深めることとする」とのこと。

第7回「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」資料(PDF)

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『人事院テレワーク有識者会議「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」と裁量勤務制(裁量労働制)拡大』(2022年2月1日)

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