佐伯博正

つながらない権利の法制化、勤務間インターバル制度の義務化、偽装フリーランス問題など労働…

佐伯博正

つながらない権利の法制化、勤務間インターバル制度の義務化、偽装フリーランス問題など労働法制の論点について最新の情報を発信しています。

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つながらない権利が日本で法制化される可能性

厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の第5回研究会は先月(2024年3月)26日に開催されましたが、その資料「これまでの論点とご意見について」にはつながらない権利は「労契法(労働契約法)上でデフォルトルールを定める方法もあり、労働基準法と労働契約法の接続の問題で議論されるべき」と、第2回研究会でのメンバー(構成員)意見として記載されています。 追記:今日(2024年4月23日)開催の厚生労働省「労働基準関係法制研究会」第6回研究会の資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議

    • 厚生労働省「労働基準関係法制研究会」と規制改革実施計画

      2024年(令和6年)6月21日に『規制改革実施計画』(2024年版)が閣議決定されましたが、『規制改革実施計画』には厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の議論に関係する事項が記載されています。 フリーランス・ギグワーカーの労働者性6月21日に閣議決定された『規制改革実施計画』(2024年版)に「フリーランス・ギグワー カーの労働者性及び保護の在り方」という事項があります。 その規制改革の内容には(長い引用になりますが)「労働者性がある働き方をしているにもかかわらず、名目

      • 厚生労働省 労働基準関係法制研究会

        厚生労働省「労働基準関係法制研究会」は「新しい時代の働き方に関する研究会」につづいて設置された厚生労働省の有識者会議になり、検討事項は「『新しい時代の働き方に関する研究会』報告書を踏まえた、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理」と「働き方改革関連法の施行状況を踏まえた、労働基準法等」とされています。 厚生労働省 労働基準関係法制研究会 第8回厚生労働省(労働基準局)有識者会議「労働基準関係法制研究会」の第8回研究会が今週木曜日(2024年6月27日)に開催されます。議題は

        • フリーランス・ギグワーカーの労働者性判断基準と偽装フリーランス問題

          2024年(令和6年)6月21日に『規制改革実施計画』(2024年版)が閣議決定されましたが、『規制改革実施計画』には「良質な雇用の確保、高生産性産業への労働移動」との項目がありますが、そこにフリーランス・ギグワーカーの労働者性判断基準見直しと偽装フリーランス問題について記載されています。 フリーランス・ギグワーカー労働者性判断基準『規制改革実施計画』(概要)の「良質な雇用の確保、高生産性産業への労働移動」には、フリーランス・ギグワーカーの保護や偽装請負の防止について「労働

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        つながらない権利が日本で法制化される可能性

          労災支給決定の取り消しを求める権利が事業主にあるかが争われている訴訟

          事業主に労災支給決定の取り消しを求める権利があるかが争われている訴訟 本日(2024年6月10日)、澤路毅彦・朝日新聞社(労働担当)編集委員は個人のX(ツイッター)アカウントで「事業主に労災支給決定の取り消しを求める権利があるかが争われている訴訟。本日(2024年6月10日)最高裁で弁論。判決は(2024年)7月4日。」」とポスト(ツイート) 澤路毅彦編集委員は橋本拓樹記者と共同で『労災支給の取り消し、請求可能に? 「事業主に権利」高裁判決が波紋』との記事を執筆し2022年

          労災支給決定の取り消しを求める権利が事業主にあるかが争われている訴訟

          健康保険証廃止のために厚生労働省が関係省令の整備省令案パブコメを募集

          厚生労働省が健康保険証を廃止して(実質的)マイナ保険証義務化に向けた省令案「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案(仮称)」のパブリックコメント(パブコメ)を募集しています。 つまり、厚生労働省が「保険証(健康保険証)の規定を削除する」ことについてパブコメ(国民の意見)を募集しています。健康保険証を残してほしいと望む人はパブコメに応じて自身の声を厚生労働省に届けてくださ

          健康保険証廃止のために厚生労働省が関係省令の整備省令案パブコメを募集

          労働基準関係法制研究会と労働基準法見直しを全労連幹部が批判

          ある衆議院議員は自身のX(ツイッター)アカウントのポスト(ツイート)で某紙インタビュー記事を一部引用し、全労連幹部は「政府・厚生労働省が『労働基準関係法制研究会』などの有識者会議を設置し、労働法制の改悪に向けた動き」「労基法を有名無実化し『絵に描いた餅』に」「労基署を気にせず、好き勝手に労働者を使える社会にしようというのが狙い」と。 労働基準関係法制研究会とは「労働基準関係法制研究会」は「新しい時代の働き方に関する研究会」につづいて開設された厚生労総省(労働基準局)有識者会

          労働基準関係法制研究会と労働基準法見直しを全労連幹部が批判

          労働者性 判断基準 見直しは必要か不要かー厚生労働省の研究会で論争に

          厚生労働省「労働基準関係法制研究会」は現在(2024年5月31日)第7回研究会まで開催され、議事録は第3回研究会まで公開されています。 労働基準関係法制研究会(厚生労働省サイト) 「安藤先生の御指摘は大変重要だ」 厚労省の労働基準関係法制研究会の第3回議事録に記載された最後の荒木尚志座長の発言に「安藤(至大)先生の御指摘は大変重要だ」とあります。つまり、荒木尚志座長が最後に意見を述べて、労働基準法「労働者」判断基準見直し(労働基準法などにおける労働者範囲拡大)問題に関する

          労働者性 判断基準 見直しは必要か不要かー厚生労働省の研究会で論争に

          つながらない権利 法制化を日本の厚生労働省は検討すべき

          横浜市の外資系補聴器メーカー社員がテレワーク中、上司の所定時間外のメール等により長時間労働を強いられ精神疾患を発症し労災認定された事例は、日本でも「つながらない権利」法制化が必要だという明確な事例になります。厚生労働省は「つながらない権利」法制化の検討を真摯に、一日でも早くすべきです。 テレワーク長時間労働を強いられ精神疾患発症弁護士ドットコムニュース『テレワークで労災認定「極めて異例」(以下略)』(2024年4月3日配信)との記事によると、横浜市の外資系補聴器メーカーで働

          つながらない権利 法制化を日本の厚生労働省は検討すべき

          つながらない権利 法制化(フランス・スペイン・イタリア・ベルギー・EU)

          日本では「つながらない権利」の法制化(立法化)は難しいようですが、すでに法制化されているフランスなどの「つながらない権利」とEU「つながらない権利に関する指令案」を紹介。 つながらない権利法制化と水町勇一郎委員発言厚生労働省(労働基準局)有識者会議「労働基準関係法制研究会」の第2回研究会(2024年2月21日開催)の議事録が5月2日に厚生労働省のサイトに公開されました。 第2回 労働基準関係法制研究会 議事録(厚生労働省サイト) その議事録によると、水町勇一郎委員(構成

          つながらない権利 法制化(フランス・スペイン・イタリア・ベルギー・EU)

          つながらない権利の法制化を厚生労働省研究会ヒアリングで連合が要望

          本日(2024年5月10日)開催される厚生労働省労働基準局の有識者会議(労働基準関係法制研究会)において労使団体ヒアリングとして経団連と連合からヒアリングが実施されますが、連合は「つながらない権利」立法化(法制化)要望。 労働基準関係法制研究会とは労働基準関係法制研究会は厚生労働省(労働基準局)有識者会議になり、目的は「今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、働き方改革関連法附則第12条に基づく労働基準法等の見直しについて、具体的な検討を行うこ

          つながらない権利の法制化を厚生労働省研究会ヒアリングで連合が要望

          「つながらない権利」法制化を日本の厚生労働省にはもう期待できない

          「つながらない権利」(Right to Disconnect)法制化を日本の厚生労働省には、もう期待することはできないと思います。 厚生労働省資料から「つながらない権利」抹消厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の第5回研究会は先月(2024年3月)26日に開催されましたが、その資料「これまでの論点とご意見について」には「つながらない権利」(Right to Disconnect)は「労契法(労働契約法)上でデフォルトルールを定める方法もあり、労働基準法と労働契約法の接続の問

          「つながらない権利」法制化を日本の厚生労働省にはもう期待できない

          つながらない権利(日本版)法制化

          厚生労働省(雇用環境・均等局)検討会での濱口桂一郎委員発言、そして厚生労働省(労働基準局)検討会ヒアリング久保智英参考人発言が、つながらない権利(日本版)法制化に対して厚生労働省を消極的にしてしまいました。それでも労働法学者の水町勇一郎委員は、つながらない権利(日本版)法制化をあきらめてはいませんでした。 追記:今日(2024年4月23日)開催の厚生労働省「労働基準関係法制研究会」第6回研究会の資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理」には「つながらない権利」とい

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          つながらない権利とテレワークとCO2削減は関連しているという話

          「つながらない権利」法制化は日本でも必要「つながらない権利」については、厚労省の研究会で取締法規の労働基準法ではなく労働契約法でデフォルトルールを定めてはといった意見が出ています。 次月ぐらいから研究会で会社側と社員側からのヒアリングが行われますが、そこで法制化に対して肯定的な発言があるのかがポイントになると思います。 テレワークで交通機関利用減少させてCO2削減「つながらない権利」は特に在宅勤務のテレワークでは必要です。深夜や休日に上司から仕事の連絡や指示があると家族に

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          「つながらない権利」法案 アメリカ・カリフォルニア州議会

          「つながらない権利」(Right to Disconnect)法案がアメリカ・カリフォルニア州議会で審議されています。 「つながらない権利」とは「つながらない権利」(Right to Disconnect)とは、「労働者が勤務時間外には仕事のメールや電話などへの対応を拒否できる権利」(ウィキペディア)のことだが、フランスなどのヨーロッパでは法制化されています。 また、ヨーロッパ以外では最近、オーストラリアでも「つながらない権利」が法制化されたと報道されましたが、アメリカ(

          「つながらない権利」法案 アメリカ・カリフォルニア州議会

          テレワーク長時間労働で精神疾患発症=つながらない権利の法制化が必要な事例

          横浜市の外資系補聴器メーカーの女性社員がテレワーク中、上司の所定時間外のメール等により長時間労働を強いられ精神疾患を発症し労災認定された事例は、日本でも「つながらない権利」の法制化が必要だという明確な事例になります。 テレワーク長時間労働を強いられ精神疾患発症弁護士ドットコムニュース『テレワークで労災認定「極めて異例」(以下略)』(2024年4月3日配信)との記事によると、横浜市の外資系補聴器メーカーで働く50代の女性社員がテレワークで長時間の時間外労働を強いられて精神疾患

          テレワーク長時間労働で精神疾患発症=つながらない権利の法制化が必要な事例