【小説】恋の幻想

何だか問題がありそうだけど、親としたら気にしているかも知れないから、こちらは何だかハラハラしている。

親がどんなに思っていても、子供は感じないって話もよく聞くから、思い込みじゃないかとも思う。

「本当に親御さん心配してない?もしかすると自分がそう思っているだけかも知れないよ。」と言ってみる。

「そこは絶対に大丈夫です、だってあの人たち高校を出たら出て行ってくれって言ってたんですから。」と言い募る。

3人の中で言っていないけど、何となく解ってる理由が泥の様に下に溜まっている。

多分とか、きっととかって言っても、本人が言わなければ、本当には解って上げられない。

「他人には解らないから、その辺は自分で判断するしかないよね。」裕子が同調するように頷く。

裕子と彼女は二人で過ごして、きっとゆっくりと話をしたのだろう、自分が連れてきたのに、何だか自分だけが除け者になっていて、正直気分が悪い。

「高校はもう卒業なの?」卒業時期とは言えないから、気になってそこは聞いてみる。

「卒業は出来るんですけど、休みに入っているんです。」とさらさらと答えが出る。

卒業が決まっていても、証明が無ければ高校卒業として就職は出来ない筈だ、もうちょっとの所で家を出たって事は、我慢できない何かが有ったか、それともどうしても誰かと何処かに行きたかったかだ。

後者だとは感じられないほど、すっきりした顔をしている、家を出る方が大切だったのだろう。

「卒業前の休みってこんな時期からだったっけ?」思わず素っ頓狂な言い様になる。

「まだですけど、そろそろ卒業だし、これ以上家に居たくなかったんです。」これまでよりもハッキリと言う。

「家ってさ、色々で誰もが優しくて、自分を思って貰える場所だって訳じゃ無いのよ。」裕子が言ってくる。

俺の家族が子供思いだったりするのを、そんな家族ばっかじゃないんだからねと常々言っているので、彼女の代わりに答えているんだな。

「でもさ、もうちょっとで卒業で卒業すれば就職に有利でしょ、何とかならなかったのかな。無責任かも知れないがそう言ってしまった。

「あの家にはもう居たくなかった、これ以上いたら私が壊れてしまう。」と半べそになった。

「解ってるよ、そんな時は有る、卒業も出来るんだったら、私知り合いに仕事紹介してもらうよ、大丈夫人は足りないんだから、いい仕事先見つかるよ。」と裕子。

「それとも、もっと遠くで仕事した方が良い?」ハッと気づいた様に裕子が言う。

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