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小説『クリキャベ🥬』感想たち

創作大賞2023 朝日新聞出版賞受賞作、そして2024年4月5日に発売した書籍『クリームイエローの海と春キャベツのある家』にいただいた感想記事たちをまとめました。たくさんの感想ありがとうございます!

【読書感想文】 クリームイエローの海と春キャベツのある家

 洗濯物を干す。  洗濯は長年わたしの担当で、何度引越しても部屋干しを貫いている。  天気予報を見るのが面倒で、天気のせいで一喜一憂するのはもっと面倒だった。洗濯のために早起きもできないし。できないこと尽くしだ。だからもう全部諦めて、部屋の隅に一番上等の突っ張り棒を設置して、そこに洗濯物を干す。数日経って、乾いたら回収する。時期にもよるけれど、干せる量が少ない+乾くまで時間がかかるので、洗濯のタイミングが難しかったりする。昔は、洗濯のタイミングひとつに悩んだりしたのに……最近

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○○の秋⑤【家事本について語る篇】

こんにちは。 ○○の秋 第5弾 再び読書の秋にちなんで、本の話。 今回は最近読んだ本の中でも、特に熱中して珍しく一気読みした本について語ります。 クリームイエローの海と春キャベツのある家 note主催の創作大賞により出版されたデビュー作です。 装丁が可愛かったこと、帯の言葉に惹かれたこと、SNSでの評価も良かったこと、いろんな要因で、気になる1冊でした。 なかなか地元の本屋さんで見かけることができませんでしたが、偶然立ち寄った本屋さんを物色中に出逢い、『きっと”今”読むべ

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清潔で、とても明るい場所「クリームイエローの海と春キャベツのある家」感想

「清潔で、とても明るい場所」はヘミングウェイの短編。俺的短編ランキングベスト3に入る。前に小説の様な感想文を書いたことがある。 ベスト3のあと2つ。迷う。 村上春樹「ハナレイ・ベイ」 村上龍「空港にて」 レイモンド・カーヴァー「僕が電話をかけている場所」 フィッツジェラルド「氷の宮殿」 サリンジャー「バナナフィッシュにうってつけの日」 あと20編ぐらいかな。 「清潔で、とても明るい場所」は自殺未遂の老人が深夜のカフェという「しん」とした、清潔な宿り木の様な場所にいる所

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読書感想文はどの本で書く?

 うちには"小さな悪の組織"というのがあって、読書感想文を書くのだそうである。その候補をいくつか積んである。そのなかに「クリームイエローの海と春キャベツのある家」がある。その本で書けばええと思うのだ。ほれ、クリキャベで感想文書いたらええがな。書きなはれ。  なぜそう思うのか。 一冊の本でいくつもの見方が可能であって(それは良作の必須条件である)、作品を通して読んだ人それぞれの考え方があらわれると思ったからである。  主人公の女性・津麦と、津麦が作中で変化していく過程を共有

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創作大賞2023「クリームイエローの海と春キャベツのある家」

【創作大賞2023 朝日新聞出版賞 受賞作】 朝日新聞出版の編集者さんと共に改稿し、 現在、単行本にて発売中です!!! 家事代行歴3ヶ月の永井津麦。新しい勤務先は、6人家族の父子家庭だ。ごく普通のマンションの一室に住む織野家。けれど、一歩家の中に入るとそこには、息苦しいほど沢山の“洗濯ものの海”が広がっていた!  仕事のやりがい、家事との付き合い方、そして家族への想い。それぞれに揺れる人々を描いたお仕事小説。

受賞から小説家デビューへの軌跡。せやま南天さん・秋谷りんこさんインタビュー #創作大賞2023

創作大賞2023で朝日新聞出版賞を受賞し、4月5日に『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が刊行されたせやま南天さん。同コンテストで別冊文藝春秋賞を受賞し、5月8日に『ナースの卯月に視えるもの』が刊行される秋谷りんこさん。今作でプロ作家としてデビューとなるお二人にインタビューをしました。 もともとnote上で相互フォローをしていたというお二人。それぞれの作品に対する感想や、受賞してから刊行に至るまで、今後の展望などをじっくりおうかがいしました。 創作大賞2024に応

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クリキャベ、重版です!!感謝!!!!!

発売して10日たった昨日、 やっとなんだか日常が戻ってきたなぁ、 と私は思っていた。 夕方。 私は、小学生の娘のTシャツと格闘していたのだ。 4月に新学期が始まり、 はじめての図工の時間が、 絵の具を使うものだったらしく、 娘は真っ白なシャツに、 盛大に赤いしぶきをつけて帰ってきた。 一体どうやって落としたものか……  お湯で洗う→効果なし  緑の石鹸をつけて洗う→効果なし  家にあったシミ抜き用の洗剤→効果なし もはやこれまでか…… と思ったけれど、 白いTシャツ

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クリキャベの本が発売されました!発売前後のあれこれ

先日4月5日に無事、 創作大賞2023にて朝日新聞出版賞を受賞した小説、 『クリームイエローの海と春キャベツのある家』の書籍が発売されました!!! 創作大賞の主催者であるnoteから、プレスリリースを出していただいています。 実は、小説の内容のチェックを終え、校了したら、 「あとは発売日を待つばかり。もう私にできることはないだろう」 と思っていたのですが、 ありがたいことに、校了後もあれこれ動いておりました。 小説家の仕事は、 小説を書くだけにとどまらないんだなぁ…

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人生で初めて、出版社で打ち合わせした日から【クリキャベ編集日記-その2- せやま南天・改稿編】

改稿の日々、編集者Kさんの視点での日記はこちら。 いざ顔合わせへ   ―打ち合わせ①―note創作大賞受賞のメールが届いて、 ほんの1週間ほどのちに、 朝日新聞出版の方と打ち合わせとなった。 正直なところ、 私は、受賞を知った当初、 そんなにすぐに書籍化できるとは思っていなかった。 前回2022年の創作大賞の実績をみて、 書籍化までには、いくつもの山があり、難しいんじゃないかな…… と思っていたのだ。 それが、 本当に本を出せるのかも。 と思うように変わったのは、no

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『クリームイエローの海と春キャベツのある家』編集日記

創作大賞2023(note主催) 朝日新聞出版賞受賞作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』の著者 せやま南天さんと、担当編集者Kによる編集日記です。

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発売日、書店回りをした日のこと【クリキャベ編集日記-その後‐】

発売日、書店回りをした日のこと 4月5日の発売日。 著者のせやま南天さんと、書店訪問をしました。 スケジュールの関係で、書店さんに伺ったのは16時から。 ※本来は、夕方からは書店さんが混んでくる時間なので避けた方が良いです! ※せやまさん担当の私K。大学時代は、書店でアルバイトをしていましたが……。混んでいる時間帯に来ていただいても、どうしても丁寧な対応ができないことがありました……。 (忙しい時間に出版社の方がいらっしゃった時の、当時の店長の顔が今も忘れられない……。)

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クリキャベの本が発売されました!発売前後のあれこれ

先日4月5日に無事、 創作大賞2023にて朝日新聞出版賞を受賞した小説、 『クリームイエローの海と春キャベツのある家』の書籍が発売されました!!! 創作大賞の主催者であるnoteから、プレスリリースを出していただいています。 実は、小説の内容のチェックを終え、校了したら、 「あとは発売日を待つばかり。もう私にできることはないだろう」 と思っていたのですが、 ありがたいことに、校了後もあれこれ動いておりました。 小説家の仕事は、 小説を書くだけにとどまらないんだなぁ…

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【クリキャベ感想まとめ】出会えてよかった、noteにあふれる声!!ーーせやま南天・著『クリームイエローの海と春キャベツのある家』帯に掲載!みなさんからの感想の全文をご紹介

創作大賞2023(note主催)で朝日新聞出版賞を受賞した、 せやま南天さんのデビュー作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が4月5日(金)に発売となりました。 帯には、著者のせやま南天さんがnoteに投稿していた「クリームイエローの海と春キャベツのある家」にいただいていた感想の一部を掲載しています!  今回は、帯に掲載した感想の全文をご紹介いたします! ■帯に一部を掲載させていただいたみなさんの感想、全文はこちら そもそも家事が苦手な主婦です。主婦をやっていること

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【クリキャベ感想まとめ】頑張らなきゃ、働かなきゃ、しっかりしなきゃ、そんな気持ちに一休みをくれる一冊だーーせやま南天・著『クリームイエローの海と春キャベツのある家』書店員さんからの感想、続々

創作大賞2023(note主催)で朝日新聞出版賞を受賞した、 せやま南天さんのデビュー作『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が4月5日(金)に発売されます。 発売前に本作をお読みくださった書店員さんから感想を沢山いただきました! ありがとうございます! いただいた感想の一部をご紹介します。 書店員さんからの感想 料理の臨場感とともに爽やかな風が吹き、春キャベツのように心がやわらかな明るい色に染まります。津麦さんと織野家の変化は、忙しい日々を送る私たちも一緒にほっと

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いえのこと家仕事

共働き夫婦、ときどき主婦。 少しずつ自分の中で貯まっていった「家事」についてのアレコレ。

サボテンも枯らしていた女と、緑の目

このあいだ、 庭先で花殻をつまんでいると、 通りかかったおばあちゃんに、 「お花を育てるのが、お得意なんですねぇ」 と言われて、驚いた。 えぇっ。 それ、本当に私のこと言ってる!? サボテンも枯らしてた女だよ? と思った。 * 一人暮らしを始めたとき、 家に緑を置くのが夢だった。 植物を育てたことなんて、 たぶん小学生の頃のヘチマ以来だったのに、 なんでそんな夢を持ってたのか、 今から思い返せば、さっぱり分からない。 何が良かったのか。 たぶん水をあげなきゃとか

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なんで献立を考えるのが大変なのか、改めて考えてみた

献立を考えるの大変。 もう何も考えられない!!!! ひとっっっつも思いつかない!!!!!! みたいな日がある。 献立一つも思いつかない代わりに、 献立を決める時に意識していることってなんだろう。 いっぱい意識しながら献立決めてるような気もするけど、 改めて考えてみたことなかった。 それなら、書けるかも。 と思って、自分の脳内を書き出してみた。 そしたら、想像以上に大変なことになった。 * ~背景~  私、夫、子ども4人家族。  食材は週に1回だけ購入し、  一週間の夕

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「自分ごと防災」はじめます。自宅避難?避難所?その時に必要なものは?

地震や台風などの災害が頻発し、備えをするのは、当たり前。の時代がやってきていますね。 わが家も「一応」、本やインターネットのチェックリストをもとに、非常用持ち出し袋の準備、それから備蓄をしていました。 けれど、「一応」でした。 不安だし、とりあえず言われた通りにやっておこう。そんな感じです。やらないよりはずっといいと思います。それに何もないところから始めることは、未経験の人には難しい。足がかりにはやはり、そういうものを参考にすることも必要でしょう。 けれど、私は、そこか

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悩む備蓄用食料の管理  〜iPhoneの「リマインダー」アプリを使って〜

昨夜は、外で雷が鳴っていました。 災害が多くなる時期です。 我が家は、ずっと腰が重かった 備蓄用食料の管理を最近やっと始めました。 防災グッズは備えていたものの、 食料については、後回しにしがちでした。 だって、 缶詰類は毎週なんとなく買っているし、 お菓子も一週間分は買っているし、 なんとかなるんじゃない?と思っていた訳です。 けれど、この10年で、 緊急事態宣言中含め、 スーパーの食料品棚が空っぽになる経験を何度かし、 いよいよこれは、と腰を上げました。 今日

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本のこと

図書館のこと、読書感想文など、 本にかかわるあれこれ。

その木も旅をしているのかもしれない〜『旅をする木』/読書感想文

いつも行く公園の入り口に、 大きなアキニレの木が立っている。 季節は秋。 実は褐色に色づき、葉は黄金色に変わり、クリーム色と水色を薄く伸ばしたような空に、さわさわとそよぐ。歩くと地面はカサカサと音を立て、落ち葉の匂いがする。 このアキニレの木は、私の知る限り、旅をしない。 いつも公園の入り口の同じ場所に立ち続け、四季折々の姿を見せてくれている。 では、星野道夫さんの著書『旅をする木』に書かれているのは、どんな木なのだろう。 本の中で、筆者はアラスカの自然を物語のように

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私の本棚と、映画化される本への思い

私の本棚は、もともと夫が子供時代から使っていたよくある木製のものを、自分達で部屋に合うように白くペインティングしたものです。 本棚の一番手前に置いてあるのは、最近読み終わった本と、積読です。 図書館で借りた本もあるのに、どうしても本屋さんに立ち寄りたくなって、立ち寄る時は「家にまだ本あるから、見るだけ」と思ってたのに、本屋を出る時には買ってしまっています。 おかしいな。 しかも、夏に町の本屋さんに感動したことをきっかけに、首都圏の行きたい本屋さんをリスト化してるのですが

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本と喫茶の幸せループ 鎌倉ひとり旅

甘いものを食べたら、次は辛いものを食べて、 口が辛くなったら、また甘いものを食べたくなる… 無限ループにはまる。 同じように、 本を読むと、お茶や珈琲が飲みたくなって、 お茶や珈琲を飲んでいると、本を読みたくなる。 というのは、私だけでしょうか。 そんな幸せなループを、思う存分味わいたい! ということで、 一泊二日で、本と喫茶を巡るひとり旅へ行ってきました。行き先は、今年も鎌倉です。 よく歩き、 よく食べ、 よく飲み、 よく見て、 そして、よく読んだ旅でした! 鎌倉

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商店街の本屋さんの棚をのぞいて、感動したはなし

旅先の商店街で、 黄色い屋根の本屋さんを見つけた。  うわぁ、なんか懐かしい感じ‥ 店の外には週刊誌、月刊誌が置かれている。 入るとレジ近くにくるくる回る絵本コーナーがあり、女性誌、旅行誌がこちらを向いて並び、中高生の参考書がギュギュッと立てられ、その奥が文庫本、ハードカバー本だ。 幼い頃、どの商店街にも必ず1軒はこんな感じの本屋さんがあった。 最近は、めっきり見なくなったその姿に、吸い込まれるように店内へ入った。 正直、期待はしていなかったのだ。 こんなに小さな店内

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