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愛とiと

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愛と数学と弱小野球部がテーマの連作短編集。5話×前後編+おまけの前後編で全12回になります。
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2019年10月の記事一覧

連作短編『愛とiと』おまけ―前編

番外編、枦田友 辿り着いた先は学校の裏手だった。  体育館の倉庫の陰で、見知った「顔」を…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』5-後編

 さて、野球部である。 「荒木くん、九月の場所取り会議一緒に参加してくれない?」  斉川綾…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』5-前編

五、荒木楽「自分、坂下徹やろ?」  八月の半ば、部活帰りにその男と居合わせたのは単なる偶…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』4-後編

「アイって一体何なんだ?」  枦田くんの投げやりな問いにあたしはぼそっと答えた。 「2乗す…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』4-前編

四、斉川綾乃 今年の夏も完敗だった。  メンバーが九人ギリギリなのは例年のことで致し方な…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』3-後編

 そして放課後、何故か私は野球部の部室にいた。 「氷山さんって転校生に案内とか買って出る…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』3-前編

三、氷山新希 スーッと空気の漏れる音が聞こえて隣を見ると、やはり仁が寝息を立てていた。相変わらず幸せそうな顔をしている。私は笑いをこらえて隣の席を軽く蹴る。  ゴン。  鈍い響きに驚いて彼が目を覚ます。もう何度、このやりとりを繰り返しただろうか。  中間試験が終わった頃から彼の遅刻癖は鳴りを潜めている。が、代わりに授業中の居眠りが増えている。つまりは早起きした分だけ眠気に負けているということだ。なんて素直な体質だろう。 「サインコサインを教えてください」  期末試験を控えたあ

連作短編『愛とiと』2-後編

 柚原美里は待ち合わせの駅からメールに記した図書館へは向かわなかった。 「ちょっと勉強に…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』2-前編

二、坂下徹 部活をやっている生徒も帰り始める午後六時過ぎ、二年A組の教室の明かりはいまだ…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』1-後編

「あ、待って。一緒に帰ろう」  声を掛けてきたのは斉川だった。ウチの学校は最寄り駅がほぼ…

亀山真一
4年前
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連作短編『愛とiと』1-前編

一、枦田仁「その遅刻癖、何とかならないの?」  彼女が僕に向けた最初の言葉がそれだった。 …

亀山真一
4年前
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