連作短編『愛とiと』3-後編
そして放課後、何故か私は野球部の部室にいた。
「氷山さんって転校生に案内とか買って出るのね」
マネージャーだという斉川が目の前で書類仕事をしている。すなわち、楽の入部届を確認して部員名簿に追記している模様。
「意外と面倒見いいんだ」
「買って出たと言うか、頼まれて断る理由がなかったと言うか……斉川こそよくマネージャーなんてやってるわね」
「やってみると面白いよ。敵も増えるけど」
「敵?」
すると彼女は「敵」のモノマネを始める。
「斉川さんって、いつも男の子にちやほやされ