MURMUR

記憶の置き場としてnote始めました。コーヒーとダンス、子どもが眠りにつくのを見届ける…

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記憶の置き場としてnote始めました。コーヒーとダンス、子どもが眠りにつくのを見届ける時間が好き。今年はたくさん素敵な文章に触れたい。

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【エッセイチャレンジ21】アリとキリギリス

かつて私はアリとキリギリスの物語を人生の教訓としていた。 もちろん私が手本としていたのはアリ。 コツコツ働き、きつい仕事にも辛抱強く耐え、最後には暖かな部屋で家族と共に豊かな冬を送る。地道。堅実。安定。まるで紺色一色のワードローブみたいな人生。でも、きっとこれが私らしいのだ。 今思えば、私は決してキリギリスにならないぞ、とムキになっていたのだと思う。後先考えずに遊び呆け、自分の食いぶちすらままならなかった愚かなキリギリス。 どうして最低限の蓄えすらしなかったのだろう? ど

    • スキー教室

      先日、放置気味の私のFacebookに一件のメッセージが届いた。 「お誕生日おめでとう」 それはかつてお世話になっていた学童の先生からのお祝いの言葉だった。 ****** 「学童のスキー教室、興味ない?」 同級生・Aくんのお母さんからそう誘われたのは小学校2年生のとき。 私は学童には入っていなかった。 だが、Aくんのお母さんが学童クラブの役員だったこと、人数が足りていなかったことから、手近なところから声を掛けてくれたらしい。 その気まぐれから始まったスキー教室に

      • またね

        私の職場は長い坂の上にある。出勤日の朝は電動自転車だというのに年甲斐もなく立ち漕ぎをして坂に挑む。挑むと書いてはいるが、ぐんぐん昇る感覚はなかなか気分が良く、実は嫌いじゃない。 ただ、そう広くない歩道を立ち漕ぎで「ぐんぐん」やるのは危ないし、何より恥ずかしい。よって車道の端っこで控えめに「ぐんぐん」することにしている。 定位置となった車道の左端に、その日は大きな観光バスが停まっていた。 そういえば近所の3年生の子たちが社会科見学って言ってたっけ。 追い越しざま車内を覗き

        • ちびうさちゃんのキラカード

          我が家の小二男子が、ついにドラゴンボールと出会ってしまった。 並外れた怪力とか、最強の部族の血筋とか、超能力とか魔法とか、とんでもない猛者たちが集まる少年漫画界でも、最強と名高い孫悟空に出会ったしまったのだ。 きっかけは夫から譲り受けた漫画。 先日、夫の実家に行ったときに、まだ保管していたという年代物の漫画を引き取ったのだ。それを軽い気持ちで長男に渡したら、沼った。 彼にとってはほとんど初めての漫画であったこともあり「世の中にこんな面白いものがあったのか!」と衝撃を受けたよ

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        【エッセイチャレンジ21】アリとキリギリス

          【学級支援員日記③】筆箱に檸檬

          子どもを育てていると、こんな言葉をよく耳にする。 「勉強なんて出来なくてもいいから、のびのび育てなきゃ」 「勉強より今しかできない経験を」 「元気が一番。勉強は二の次でいい」 *** 上記のような言葉をもって、子どもを勉強に向き合わせようと躍起になる親は、時折「悪」のように扱われることがある。 確かに大抵の人は「なんで勉強しなきゃいけないの?」なんて疑問を子供時代に大人に投げかけたことがあるのではないだろうか。 悟ったようなことを言いたくて「円周率なんて使うわけね

          【学級支援員日記③】筆箱に檸檬

          陰キャが正しい世の中だから

          最近「陰キャ」という言葉をとてもよく目にするし、耳にする。 ご存知の通り陰キャとは「陰気なキャラクター」を表すネットスラング。 だけど地味・暗い人を指すというより、最近はコミュニケーション能力が低い不器用な人物を、からかいや自虐を込めて使うことが多い気がする。反対語は「陽キャ(陽気なキャラクター)」。 エヴァならウジウジしてるシンジが陰キャで、明るいマリちゃんあたりは陽キャになるのかなぁ。 あのアニメはみんな闇深だから、なんとも言えないか…。 *** このスラング、発

          陰キャが正しい世の中だから

          憧れのままの野外シアター

          先日、たまたまネットであるイベントの告知を見た。 『野外シアター開催決定』 そう、洋画のワンシーンでお馴染みの野外映画館である。 私は映画はサスペンスや実話をもとにしたドラマなんかが好きなんだけど、(最近だと『最強のふたり』が良かった!) ラブロマンスや青春モノだと、夜空の下で男女が肩を寄せ合い、顔に巨大スクリーンから放たれる光を反射させながら、物語を楽しむ。そんなシーンが度々出てくる。 その主人公たちの様子は、ラフで、自由で、大人っぽくて。夢見がちな少女だった私は、ひ

          憧れのままの野外シアター

          海はなぜ青い

          複数の色素を持つ太陽の光が海水にぶつかったとき、青の色だけは吸収されずに海中の奥深くまで進行する。青い光は海底の砂に反射し、水中に青色が拡散する。それが海を美しいコバルトブルーに見せているメカニズムだという。 初めてサイパンに行ったとき、タクシーから見える景色を眺めて『本当に海って青いんだ』と感動した。 修学旅行は京都、海といえば熱海か江ノ島という中途半端な東京人である私にとって、青い海は憧れだったから。 しかし、いざビーチに降り立つと、白い砂浜の上に立つ足に心地よくぶつ

          海はなぜ青い

          大崎博子さん

          騒がしい土曜日の朝、サタデープラスの特集に興味をそそられた。 『月10万、お金をかけない幸せ生活』 私は20歳やそこらからこの手の話題が好きなのだ。持てるもので豊かに暮らす、清らかな精神。 バイブルであるおづまりこさんやわたなべぽんさんのコミックエッセイも、読み返すたびに見落としがちな小さな幸せに気付かせてくれる。 幸いにも、子どもたちは和室でブロック遊びに興じている。床一面にぶちまけ、片付けるのが大変そうな色とりどりの四角いやつらのことはいったん忘れて、昨日取り込んだ

          大崎博子さん

          アトレーユの白馬

          エッセイチャレンジを終えてから、すっかり燃え尽き症候群になってしまった。 「書くぞ」と決めていたときは1日のうちに何度もネタを書き留めたのに、それすらできない。何を書けば良いのかさっぱりわからない。 読書感想文の書き出しが思い付かず、結局夏休みの最終日に泣きながら書き殴る小学生みたいなものだ。(うちの長男か) 「まぁ、別に仕事ってわけでもないし…」 そう。私が更新しなくても誰が困るわけでもないのだ。気楽に行こう、気楽に。 *** 更新をやめてからの5日間について触れた

          アトレーユの白馬

          【エッセイチャレンジ25】5日遅れの最終話

          去年の今頃2㎏の減量に成功し、8年ぶりに妊娠前の体重に戻った。 2㎏なんて誤差の範囲内でしょう、という声が聞こえてきそうだが、当時の私のBMIは19で、判定としては「痩せすぎ」だった。体重の5%を減らしたのだから、けっこうすごいのではないだろうか。 方法:レコーディングダイエット体重計に表示される数字にはさほど興味がなかったけど、見た目はスッキリさせたかった。中年らしいたくましいお腹周りは怠慢の象徴のようでなんとも情けない。 ならば筋トレだろうと思ったが、私にはわかる。絶対

          【エッセイチャレンジ25】5日遅れの最終話

          【エッセイチャレンジ24】母のぼやきとゴミ箱と。

          夏休みに入って10日が経った。 とは言っても先週までは夏休み教室があり、私はその指導員として、長男も参加するためにふたりして8:00に家を出ていたので、ほとんどいつも通りの朝風景。むしろお弁当作りが追加されるので慌ただしいくらい。 慣れないお弁当作りは圧倒的経験値の低さゆえ、赤といえばタコさんウィンナーかミニトマト、緑は枝豆かきゅうり、黄色は卵のローテーション。それでも、おまけにゼリーをつければ喜んでくれる長男の単純さに心から感謝したい。 (知ってます?今、蒟蒻ゼリーって

          【エッセイチャレンジ24】母のぼやきとゴミ箱と。

          【エッセイチャレンジ23】私のトリセツ

          猛毒のあるふぐは、調理の安全性を守るために「ふぐ調理師」なる資格がある。 今でこそ高級食材として知られているが、その希少な過食部を知るためににかつてどれほどの犠牲を払ったのだろう。あの白く透き通る美肉はいくつもの屍の山に鎮座している。 食用として適切か不適切かを考えれば、毒がある時点で不適切なはずだ。ましてや何人も死去しているのだから、危険食材に指定され誰もふぐに近寄らない世界線もあっただろうと思う。それでも食べることを諦めなかった理由は美食を求める人の飽くなき好奇心であろ

          【エッセイチャレンジ23】私のトリセツ

          【エッセイチャレンジ22】ハマれる何かを探してる

          先日、あやしげな海外通販でワンピースを買った。 生地や縫製はお察しだが、柄が最高に可愛いのだ。鮮やかなレモンやブルーの花を中心に、オレンジやグリーンの幾何学模様が配置されたシフォン生地。モスクの壁画とか、イタリアの田舎町のタイルとか、いろいろな要素を混ぜたサマードレス。海外旅行など行かなくなって久しい私の心にアマルフィの海風を運んできてくれる。 アマルフィ、行ったことないけど。 届いた小包を開けた瞬間、ネットで見た通りの鮮やかな色合いに「あたり!」と小躍りしたのだが、問題は

          【エッセイチャレンジ22】ハマれる何かを探してる

          【エッセイチャレンジ20】オバサン

          『あなたがなりたいものは?』と問われれば、間違いなく「オバサン」と答えていた時期がある。 かつて私は若い女でいることを辞めたかった。 *** 若い女が窮屈だと感じたのは社会人になってからであった。 当時の会社は昭和の香りが色濃く残る古風な企業。しかし、世間の風潮に遅れまいと産休取得率を上げ、女性管理職をせっせと増やす、「女性の社会進出」を躍起になって応援している過渡期であった。 生意気な小娘であった私は自立した女になりたいという理想を胸に抱き、総合職として入社した。 異

          【エッセイチャレンジ20】オバサン

          【エッセイチャレンジ19】いとしいあの子

          普通、親友と呼べる人はどれくらいいるものなのだろう。 私は人付き合いでは楽しさより煩わしさを感じやすいたちで、ひとりの時間が好きだ。それもあって友達自体少ない。だが、幸運にも親友を得ることはできた。 女の友情はライフスタイルの変化に脆いと言うが、彼女らは大学生時代の同級生で20年近い付き合いになる。その間に転居や転職、結婚、妊娠出産と大きなイベントに見舞われたが、会うペースが落ちただけで密度は変わらないと感じる。 登る山は違えど、常に挑戦を続ける彼女たちを私はずっと尊敬して

          【エッセイチャレンジ19】いとしいあの子