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【エッセイチャレンジ21】アリとキリギリス
かつて私はアリとキリギリスの物語を人生の教訓としていた。
もちろん私が手本としていたのはアリ。
コツコツ働き、きつい仕事にも辛抱強く耐え、最後には暖かな部屋で家族と共に豊かな冬を送る。地道。堅実。安定。まるで紺色一色のワードローブみたいな人生。でも、きっとこれが私らしいのだ。
今思えば、私は決してキリギリスにならないぞ、とムキになっていたのだと思う。後先考えずに遊び呆け、自分の食いぶちすらまま
陰キャが正しい世の中だから
最近「陰キャ」という言葉をとてもよく目にするし、耳にする。
ご存知の通り陰キャとは「陰気なキャラクター」を表すネットスラング。
だけど地味・暗い人を指すというより、最近はコミュニケーション能力が低い不器用な人物を、からかいや自虐を込めて使うことが多い気がする。反対語は「陽キャ(陽気なキャラクター)」。
エヴァならウジウジしてるシンジが陰キャで、明るいマリちゃんあたりは陽キャになるのかなぁ。
あ
憧れのままの野外シアター
先日、たまたまネットであるイベントの告知を見た。
『野外シアター開催決定』
そう、洋画のワンシーンでお馴染みの野外映画館である。
私は映画はサスペンスや実話をもとにしたドラマなんかが好きなんだけど、(最近だと『最強のふたり』が良かった!)
ラブロマンスや青春モノだと、夜空の下で男女が肩を寄せ合い、顔に巨大スクリーンから放たれる光を反射させながら、物語を楽しむ。そんなシーンが度々出てくる。
そ
【エッセイチャレンジ25】5日遅れの最終話
去年の今頃2㎏の減量に成功し、8年ぶりに妊娠前の体重に戻った。
2㎏なんて誤差の範囲内でしょう、という声が聞こえてきそうだが、当時の私のBMIは19で、判定としては「痩せすぎ」だった。体重の5%を減らしたのだから、けっこうすごいのではないだろうか。
方法:レコーディングダイエット体重計に表示される数字にはさほど興味がなかったけど、見た目はスッキリさせたかった。中年らしいたくましいお腹周りは怠慢の
【エッセイチャレンジ24】母のぼやきとゴミ箱と。
夏休みに入って10日が経った。
とは言っても先週までは夏休み教室があり、私はその指導員として、長男も参加するためにふたりして8:00に家を出ていたので、ほとんどいつも通りの朝風景。むしろお弁当作りが追加されるので慌ただしいくらい。
慣れないお弁当作りは圧倒的経験値の低さゆえ、赤といえばタコさんウィンナーかミニトマト、緑は枝豆かきゅうり、黄色は卵のローテーション。それでも、おまけにゼリーをつければ喜
【エッセイチャレンジ23】私のトリセツ
猛毒のあるふぐは、調理の安全性を守るために「ふぐ調理師」なる資格がある。
今でこそ高級食材として知られているが、その希少な過食部を知るためににかつてどれほどの犠牲を払ったのだろう。あの白く透き通る美肉はいくつもの屍の山に鎮座している。
食用として適切か不適切かを考えれば、毒がある時点で不適切なはずだ。ましてや何人も死去しているのだから、危険食材に指定され誰もふぐに近寄らない世界線もあっただろうと
【エッセイチャレンジ22】ハマれる何かを探してる
先日、あやしげな海外通販でワンピースを買った。
生地や縫製はお察しだが、柄が最高に可愛いのだ。鮮やかなレモンやブルーの花を中心に、オレンジやグリーンの幾何学模様が配置されたシフォン生地。モスクの壁画とか、イタリアの田舎町のタイルとか、いろいろな要素を混ぜたサマードレス。海外旅行など行かなくなって久しい私の心にアマルフィの海風を運んできてくれる。
アマルフィ、行ったことないけど。
届いた小包を開け
【エッセイチャレンジ20】オバサン
『あなたがなりたいものは?』と問われれば、間違いなく「オバサン」と答えていた時期がある。
かつて私は若い女でいることを辞めたかった。
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若い女が窮屈だと感じたのは社会人になってからであった。
当時の会社は昭和の香りが色濃く残る古風な企業。しかし、世間の風潮に遅れまいと産休取得率を上げ、女性管理職をせっせと増やす、「女性の社会進出」を躍起になって応援している過渡期であった。
生意気な小娘で
【エッセイチャレンジ19】いとしいあの子
普通、親友と呼べる人はどれくらいいるものなのだろう。
私は人付き合いでは楽しさより煩わしさを感じやすいたちで、ひとりの時間が好きだ。それもあって友達自体少ない。だが、幸運にも親友を得ることはできた。
女の友情はライフスタイルの変化に脆いと言うが、彼女らは大学生時代の同級生で20年近い付き合いになる。その間に転居や転職、結婚、妊娠出産と大きなイベントに見舞われたが、会うペースが落ちただけで密度は変