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文学フリマへの道 『本の見本ができました』

長かった。
本当にここまで、長かった。
いや、期間としてはそんなに長くはないのだけれど
それでも自分で感じる時間の感覚は、とてつもなく長かった。

そもそも、途中で何度も「もう無理かもしれない」って思って
諦める寸前までいったり、投げ出したり、何度も心が折れたから
カタチになるまで向き合い、書いて、カタチにすることができたこと
それ自体が、本当に自分にとっては、大きなことだったんだなと、思う。


どうも、やまざき想太です。
「文学フリマへの道」
とうとう本ができた報告ができます。

そもそもほとんど見られていないマガジンではあるけれど
そんな中でも気になってくれる人が1人くらいいるのであればと
本づくりの最初から最後までを、すべて自分なりに書いてきました。

ほとんど知られていない小さな物語も、ひとつ通過点となる
「見本出来」となったので、出来上がった本を紹介したいと思います。


①書影の雰囲気

写真は友人の写真家さんに撮影してもらった

まずは、写真を見てもらいたい。

写真はたまたま、タイミングが合って
友人の写真家さんに頼み込んで撮ってもらったんだけれど
とにかくその写真が最高すぎて、この写真を撮ってもらうために
僕は本を作っていたのではないかと錯覚するレベルで
自分の本の世界観を投影した大好きな写真になった。

その写真家さんに、自分が初めて作った本を手渡しで贈ったのだけれど
「お前、サインはちゃんと入っているんだろうな?」と言われて
人生で初めて、自分のサインを入れることにもなり、また貴重な経験になった。

もう自分で語らずとも、写真からその本の雰囲気を感じ取って欲しくて
そのまま写真を、まずは見せたい。

僕の人生で初めて、自分の本を創ったら
こんな風に、なりました。

写真を撮ってくれたアキさん、本当に感謝しかないです。
ありがとう、大好きすぎる。
早くまた逢いたい、これからもっと面白いことを一緒にやりたい。
その写真家さんが背中を押してくれなければ、僕は本づくりなんてしなかった。
自分の人生を変えてくれた人に自分の本を撮影してもらえたこと。
この事実だけで、すでに感無量で、逃げずに本作って、本当によかった。
想うたび、泣きそうになる。
まだ、誰の手にも届いていないけれど
すでに僕に撮っては、意味のある、価値のある本だ。

②1冊目 「余白」

自分のはじめて作った本のタイトルは

「余白」

になりました。

このタイトルに辿り着くまでに、たぶんメモ書きで2万字くらいは軽く書いたのだけれど、本当にいつまで経ってもタイトルが見えてこなくて、右往左往して、カッコつけてみたり、迷走したり、誰かの言葉を借りてみたり、たくさんの選択肢を手に取ったのだけれど、ふと気付いた。

それは2冊目の本がすべてカタチになったあとのこと。
「できた!」と思ったけれど、そういえば1冊目どうなった?と思って、僕は終わっていない事実にぶち当たり、頭を抱えていた。

2冊目をカタチにした後の脱力感と、もう力が残っていない手のひらを見つめながら、1冊目の本の原稿を画面上で流し見していたら、最後の方に入っていた言葉が目に飛び込んでくる。

「え、これ、タイトルなんじゃないか」

その言葉と向き合い、見て、視て、感じて、思考して。
悩むというか、そういう時間は意味ないな、と思って。
ただ、直感にしたがって、コレだと思ったタイトルをと思っていた。
ずっと悩んでいた答えは、すでに本文の中にあって、何度も校正した際に自分が繰り返し読み返していた言葉。

「余白」

思えば出版チームとしての屋号も、直感的に「余白者」と名乗ることを決めて、ずっとその言葉をそばに置いていた。

近くにあった、大切な言葉。
その言葉を、本のタイトルにする。
何も迷いが無くなった。

余白者として作る、最初の本は「余白」というタイトルに決まった。

本の顔は、シンプルに。
本の中身は、テーマを決めて、文字は最小限に、物語を編む。
のちに余白者という出版チームについて書くときに綴るつもりだけれど
僕が思う「余白」とは「呼吸がしやすいこと」だと思っている。

呼吸がしやすい世界で、ただただ、生きること。
日々、呼吸がしにくい時間を感じる世界かもしれないけれど
そんな中で、少しでも呼吸しやすい世界を感じることで
わずかでも生きやすい世界になったら、いいな、と。

生きづらい世界にも、余白があること。
その余白を感じることで、少しでも呼吸しやすくなること。
安心して、あなたは生きていいんだと、思えること。

僕には想いがある。
そういう世界を、友に、家族に、子供たちに、共有していきたい。
共に歩くなら、そういう世界がいい。
そして僕は、余白と共に、在りたい。

そんな想いで、1冊目を編みました。

本の内容についてはまったく触れてないけれど
直感的に響く人がいたなら、手に取ってもらいたい。
考えずに、感じて、手に取ってもらいたい。
そういうモノを大切にしている人に、触れてもらいたい。


③2冊目 「僕があなたに最期に伝えたいこと」

1冊目よりも先にできた、僕が最初にカタチにした本。

「僕があなたに最期に伝えたいこと」

着手したのは、2月末のことだった。
具体的にどんな流れで出来上がったのかは、本のあとがきに書いたのだけれど、この本のテーマは「遺言」だ。
とても重いテーマにしたのは、自分の中で生と死を問うことが多かったのと、2024年1月1日に起きた震災から、改めて自分の命について深く考え、日々を生きる中で「僕は後悔なく生きているのだろうか」ということを改めて見つめて、今しかこのテーマで書けないと思って考えたとき、このタイトルが降りてきた。

自分の内側をとにかくえぐり、奥底の深層心理にまで入って、内観し、言葉を紡ぎ出したので、執筆はかんたんなことではなかった。

けれどそこまで向き合ったからこそ、自分の内側からの声に耳を傾け、言葉にし、本に落とし込むことができたから、自分も好きな内容になったと思う。

別に、特別な言葉なんて書いていない。
真新しさも、驚きも、そんなことは書いていない。
けれど、一人の人間が、本気で命と向き合ったときに
絞り出した言葉が、一つひとつの言葉が、遺言のように、刺さる。
全力で向き合った言葉たちが、どれかひとつでも、手に取ってくれた人に深く「問い」を作ってくれたのなら、いいなぁと、思っています。


④本ができてからも、まだ物語は続く

やっと書けた。
自分が作った本がカタチになってから2週間。
本の紹介を書くことが怖くて、全然書けなかったけれど
どんな文章であれ、ようやく言葉にできたことに、ホッとしている。

これからもっと本を知ってもらえるようにと、本来なら積極的に宣伝しなければということになるはずだけど、なかなかそこも踏み出す勇気が、あまりなくて。
自分のペースで、細々と書いていくことになるのかなと、思う。

とはいえ、もう文学フリマ東京38まで3週間を切った。
いよいよなんだなぁと思うけれど、実際には出展する実感が湧かないのと、イベント当日も本当になんとかなるんだろうかという不安とがある。
最悪、ブースに本を並べて、イベント時間はずっと座り続けるだけになるかもしれないけれど、それはそれとして。

いまできることを、また一個ずつ進めていこうと思う。
12月のイベントも出展することに決めたので、そこまでのスパンで考えて、次の本に着手するなど、やることは変わらず、ずっと動き続けていければいい。

ゆっくり、落ち着いて、呼吸をして
またここから、新たな気持ちで、歩んでいければ。
とりあえずは5月19日を目標に、進んでいきます。

では、また。

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